2017年5月27日土曜日

食道生検のやっつけかた【1. はじめに】

2017/05/27 1st edition.  
2017/12/25 Last updated.  

○ 誰を対象にしているのか 
・この文章は病理医を始めて 1-2 年目の先生,病理診断に興味のある消化器内科の先生あたりを対象にしている
・必要な背景知識は医学部の学生の下から数えて何番目程度の人に設定しているので,臨床検査の学生さんや興味のある看護師さんでも読める,はず

○ 食道生検は難しい?
・よく食道生検は難しいと言われることもあるが,それを言い出すと全部難しいことになる
・どの臓器でも同じだけれどもちゃんと手順を追って標本を見ていけば,そんなに難しくはない
・食道生検特有の難しさとしては逆流性食道炎などの炎症に伴う異型が挙げられるが,ある程度割り切った考えた方をすれば迷いは減る


○ 食道生検では病変を大きく 3 種類に分ける
・胃生検は Group 1-5 までに分類されている
・食道生検では「良性・反応性,悪性,その他のよくわからない病変」の 3 種類に分けるが,本質的な考え方は Group 分類と同じ
・世の中どんなに考えてもわからないことはたくさんあるわけで,はっきり言って悩んでもしょうがない

○ なぜ食道生検の診断で悩むのか
・悩むべきポイントはだいたい一緒で,腫瘍性なのか反応性なのかは常に悩まされる
・Clear cut に診断できる術があるわけではない
・経験が少ないとどうしても明快な答えを出そうとしてしまいがち

○ わかりやすくするために
・単純化,理解の容易化のために必ずしも適切ではない表現を使用している部分がある
・この文章を読んだあとにきちんとした教科書を読んで,知識を固めていくこと

○ 内視鏡所見との対比について
・本来は内視鏡所見との対比をすべきと言われているが,このマニュアルではあえて内視鏡所見との対比は重視していない
・どどたん先生がそこまでの知識を持ち合わせていないのと,検査センターでの診断についてはそこまで細かい情報が得られないことが多いから
・またこれを言うと反論されそうだが,食道生検は腎生検,皮膚生検,骨軟部領域ほどには臨床病理が重視されていない(ちなみに消化管の腫瘍性病変自体が病理総論の腫瘍の考え方で大方説明できる)


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