2018年5月29日火曜日

4. 膀胱 TUR 検体・細胞診での戦い方


2017/07/03 1st edition. 

2018/5/28 Last updated. 

○ TUR のボロボロの検体との向き合い方 
・TUR 検体はしばしば,よく,通常,だいたい断片的になっていてかつ焼灼変性が強い
・焼灼変性が強いところは評価できない,これは仕方ない.評価できるところで評価するのがポイント
・見慣れてくると,核線を引いていても腫瘍細胞の集まり方(上皮下の脂肪織内にこの集まり方はおかしい!)でわかってくる
・浸潤性尿路上皮癌はなぜか小型の腫瘍胞巣が散在するように浸潤することが多い(乳頭状・平坦限らず)
・筋層浸潤の評価について,筋層とみなすには平滑筋細胞が束状に集まっていないと言いにくい

○ 尿細胞診のみかた ABC
・尿細胞診は変性との戦いになる
・基本的には papillary urothelial carcinoma, high grade あるいは urothelial carcinoma in situ といった high grade の病変は比較的拾いやすくて,それ以外の low grade の病変は拾いにくい(細胞の増生が定義みたいなもの)
・取り敢えず Class III. 困ったら Class III を合言葉に.

○ 最後に 
・WHO で定義されている low malingant potential などには触れていない(個人的には定義もやや曖昧で再現性が低い印象)

1. はじめに

2017/07/03 1st edition.
2017/9/14 Last updated.

○ 膀胱生検と前立腺生検は診断のある程度方向性が決まっている  
・基本的にはいずれも癌の診断が主体で,病理総論的な読み方・考え方で概ねいける  
・悩みどころ,注意すべきところがいくつかあるが,いくつかのコツを掴めば診断はスムーズ  
  
○ 若い先生の悩みどころ  
・前立腺生検って弱拡大で見ろって言うけど,小さすぎてよく見えない! (見なくて良い) 
・Gleason score は 1-5 まであるけど,1,2 ってみたことない! (つけなくて良い) 
・尿路上皮癌って扁平上皮癌とどう違うの?同じにしか見えない! (先生もよくわかんない) 
・尿路上皮癌の G1, G2, G3 ってどこにも載っていない! (旧規約だから) 
・尿細胞診はいつまで経っても Class III ばっかり.新しい報告様式はどうなっているの? (これは後日に) 
・こんな疑問に答える診断マニュアル ? 
  
○ この診断マニュアルの方向性は少しずつ変わってきている  
・当初は胃生検,結腸生検等これが見れないと飯が食えないというマニュアルを目指していた  
・教科書を参照することを前提に,網羅性よりも,扱う疾患に濃淡を付けて,強調すべきところを強調するようにしていたつもり(いわゆるボン・キュッ・ボン like な note)  
・実際見てくれる人が病理医とは限らず臨床の先生もいることがわかってきたので,臨床病理相関も少し意識することにしてみた  
・それでも,まずは病理組織標本から start する病理診断学というスタンスは一貫している

病理医としてのキャリアパス:中間点

# 次はいずこへ どどたんせんせはいわゆる around 40 で,この職場で留まるべきか次にどこかに行くべきかをそろそろ悩まなくてはいけない感じなっている.ある程度 public なこういうブログで書くべきかは悩ましい感じもするが,ごく普通の人の普通のキャリアパスについての具体...