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2022年1月1日土曜日

病理診断を学ぶ 〜 心血管

循環器に関する本は正直ほとんどないし,そもそも提出される検体のバリエーションも少ない. 提出される検体のほとんどが非腫瘍性疾患と思われる.

正直個人持ちする必要はないと思っているが,どのような本があるのかを知っておいても良い.

循環器診療に活かす 心臓血管解剖学 (2016)

循環器病理について情報を求めるときの多くは病理解剖のときだと思われる.結局の所心臓の解剖がわかっていないと,先へは進めない.結局こういう本が必要だったということになる.

Practical Cardiovascular Pathology (2021)

この 2021 年の本は見ていなくて,前の版の本を愛用していた.アミロイドーシスや心筋梗塞など知りたいような内容がだいたい記載されており,非常に有用である.

Cardiovascular Pathology (2022)

この本の前の版を使っていたが,正直とても使いやすい!というものでもない.厚みがあって情報量は多いし,比較的定期的にアップデートされている.


昔の本として心血管病理アトラスなどがあったが,古すぎるので省略した.

2021年6月6日日曜日

病理診断を学ぶ 〜 肺・縦隔

2022/01/01 内容を少し見直しました.ほとんど変わりません.

呼吸器関連は結構名著も含めて多いと思われる.本当は全て紹介しておかないと (Dail and Hammar's 等) あれが足りない,これが足りないと言われそうである.

ただ,実際に参照する,参照できる本は限られておりここでは独断と偏見で本を選び掲載する.

Thoracic Tumours: Who Classification of Tumours (2021)

結局今では WHO 分類を除いて腫瘍について語ることができなくなってしまった.もちろん批判の対象となりうることもしばしばあるがそういうのも含めて WHO 分類はスタンダードと言える.病理部に備え付けられていることがおおく敢えて買う必要はないが,持っておいても決して損はない.

Practical Pulmonary Pathology: A Diagnostic Approach: A Volume in the Pattern Recognition Series (2017)

Pattern recognition series は比較的有名で,実は肺が最初に登場している.そして肺病理で成功をしたから?その後続々と登場している.軟部腫瘍は比較的成功している方で皮膚病理はイマイチ(Weedon skin pathology と著者が一緒である).さて,肺病理についてはこの本が世界的に有名で,人気がある.一応買って読んで見て確かに有用かもしれないが,少なくとも胸部腫瘍については WHO 分類が基本となるのでだんだん登場する頻度が少なくなってきている.パターン認識で分類しようという試みは悪くはないが,この本が人気なのはパターン認識というよりも実際の記述が丁寧だからだと思っている.

人気の本で他のシリーズと比べてかなりの頻度で改訂されていたが,ここ最近はしばらく改訂されていない模様.

Diagnostic Atlas of Non-Neoplastic Lung Disease: A Practical Guide for Surgical Pathologists (2016)

かの有名な Katzenstein による非腫瘍性肺疾患の病理のアトラスで,写真のみならず解説も充実しており教科書的でもある.Katzenstein and Askin's Surgical Pathology of Non-Neoplastic Lung Disease (2006) が有名で,この本を持っている人はだいぶ少ないと思われる.2006 年の本が病態的な記載が中心であるのに対して,こちらの本は実際の診断に即した記載が中心となっている.さすが Katzenstein で,記述自体が非常にわかりやすい.有名な人が書いた本だからおすすめというわけではなく,この本自体が非常によく書けているからおすすめと言える.正直 WHO とこの本だけで肺病理に関してはとりあえず問題ないと思っている.

病理像+X線・CTで一目でわかる! 臨床医が知っておきたい呼吸器病理の見かたのコツ (2015)

現実的に入手可能,という意味においては日本語の本だと実質的にこれ一冊となる.写真が小さいのはしょうがないのだろうか.肺病理アトラスも良いのだがいかんせん古すぎるし,おそらく再販されることもないだろう.

Spencer や冒頭に紹介した Dail and Hammar's 等大御所と言える教科書は少なくないはずであるが,最近の(出版頻度という意味での) activity はあまり高くない.

病理診断を学ぶ 〜 胎盤

 胎盤病理は難しい.見えている現象すべてが必ずしも胎児や母体の異常と相関が付けられる訳ではないから.その上胎盤が提出された時点で治療後の状態であり,特殊な事例を除いて特に還元できることがない.

とはいえ,実務上胎盤病理の診断が求められておりここでは比較的有用と思われる本を紹介する.

胎盤病理アトラス(2021)

著者いわく,10 年は使えるように書いたとのこと.内容もそこそこ充実しており確かに使いやすい.2021 年は胎盤関連の書籍が一気に出版された年.特に和書は品切れになることも少なくないのでほしいと思ったら早めに購入を.

目でみる胎盤病理 (2002)

昔からあるよい本.薄い本ながらよく書けている.おそらく病理部で見ることが多いだろう.今では絶版になっているようで,敢えて高いお金を払って購入するほどでもない(他にも良い本がたくさんある).職場にあればぜひ参照してみてほしい.

周産期医療にかかわる人のためのやさしくわかる胎盤のみかた・調べかた (2016)

どれか一冊と言われたら,確実にこの本をおすすめする.比較的新しい本で実際に診断をする上で疑問に思うようなことはだいたい記載されている.もう少し内容が多くても良いような気もするが,現在日本語で入手可能な教科書としては群を抜いて良い.

Atlas of Placental Pathology (2021)

AFIP の胎盤病理の本.こちらも網羅的でおすすめ.5 版が直近で出版されている.

Pathology of the Human Placenta (2021)

胎盤病理界隈ではおそらく大御所とされている Benirschke による胎盤病理の本.おそらく情報量としてはこれが一番多いと思う.直近で出版されており,今が一番の買い時か.

Manual of Pathology of the Human Placenta: Second Edition (2011)

個人的には一番のおすすめ,なのだがいかんせん出版からかなり時間が経過しているのがとても残念.非常にわかりやすく記載されており,疑問に思うようなこともきちんと説明がなされている.早く第三版を出してほしい!!と思っている.そこらへんを全て併せ飲むことができるのであれば,日本語の本は「周産期医療にかかわる人...」で英語はこの本を買うと胎盤病理の大半は網羅でき,さらに深く勉強したい人は Pathology of the Human Placenta まで行くと良いだろう.

Pathology of the Placenta: A Practical Guide (2019)

比較的最近出版された本.本来は読んでから感想を書くべきなのだが流石にここまでは手を出せていない.ぱっと見良さそう(笑)

2021年5月5日水曜日

病理診断を学ぶ 〜 婦人科

2022/07/31 情報を更新しました.

特にこれといって新しい情報はなく,やはり WHO が中心とならざるを得ない.最近は出版のサイクルが少し鈍くなってきた気がする.


婦人科病理については流派のようなものがあり,それによって病気の命名方法が異なっている.とはいえ,WHO 分類に集約されつつあるので,WHO 分類を基本に,よく参照するテキストについて紹介をする.

Female Genital Tumours: Who Classification of Tumours (2020)

WHO 分類が基本で,ここで大きく変わり周囲のテキストがそれに追随する.とりあえずこの本からスタートすると良い.

Blaustein's Pathology of the Female Genital Tract (2019)

有名な Blaustein の婦人科病理の本.今回の版は挑戦的であり,索引が省略されている.目次からたどり着けないような初心者は使うなという玄人向けの本.冗談.索引はここからダウンロードできる.

Diagnostic Gynecologic and Obstetric Pathology (2017)

Blaustein と双璧をなす,Crum & Lee の婦人科病理の本.どちらか好みの方で良いと思われる.

Atlas of Gynecologic Surgical Pathology (2019)

こちらも婦人科病理の本だがアトラス的であり情報量としてはやや少ない.

産婦人科病理学診断図譜 (1998)

非常に古い本だが,正常構造や非腫瘍性疾患についても詳細に記載されているため,とても有用.特に婦人科病理に興味がなければ個人持ちをしなくてもよいがまだ販売されており,持っておいても損はない.地味にシェーマがわかりやすくて講義なんかをするときにも便利.

Gynecologic and Urologic Pathology: Similarities, Differences and Challenges (2019)

なかなかおもしろい試みの本.生殖器という共通性からどのように疾患が発生していくのか.対比をしながら提示している.

胎盤病理アトラス (2021)

胎盤病理に新しい player が参入した.著者らいわく,10 年は使える本を目指したということで,確かに網羅性やわかりやすさという点で文句はない.

周産期医療にかかわる人のためのやさしくわかる胎盤のみかた・調べかた-わかりやすい検査・診断チャート付 (2016)

胎盤病理という点ではこの本も捨てがたい.誹謗中傷になるので,どこの本とは言わないが,所詮感想文程度でしかない本をよりもよっぽど良い.

卵巣腫瘍アトラス,子宮腫瘍アトラスもあるが現在では入手不可能になっており,参照する本から除外した(子宮腫瘍アトラスは内容も古くなっており少し参照しにくいがそれでも非腫瘍性病変などは有用).もし図書として有していれば是非参照したいところ.

病理診断を学ぶ 〜 頭頸部

2022/01/01 内容を少し見直しましたが,殆ど変わっていません.

頭頸部は様々な臓器からなる領域であり,雑多な集まりになっている.甲状腺を頭頸部に含めるのか,内分泌に含めるのかは教科書によって異なっている.

WHO Classification of Head and Neck Tumours (2017)

Gnepp's Diagnostic Surgical Pathology of the Head and Neck (2020)

Diagnostic Pathology: Head and Neck (2022)

Head and Neck Pathology: A Volume in the Series (2018)

WHO 分類を原則として,比較的近年出版されている Gnepp や Diagnostic Pathology あたりが参照しやすいテキストと言える.

上記本は頭頸部領域について広く扱っているが,こういう本は日本語に関しては腫瘍鑑別診断シリーズ以外はほぼないと言っていい.ただ,各臓器ごとの本がいくつかあるので提示しておく.

口腔病理アトラス (2018)

唾液腺腫瘍の組織診・細胞診 (2018)

眼病理アトラス (2020)

Schuknect's Pathology of the Ear (2010)

口腔病理アトラスは唾液腺病変も含んでおり,どれか一冊と言われるとおすすめできる.耳の病理診断に関する本はほぼないものの, Schuknect は比較的よく書けている.少し古いが買っておいて損はないと思われる.

唾液腺腫瘍アトラスはとても良い本だとは思うが流石に古くなりすぎているので参照する本からは除外した.



病理診断を学ぶ 〜 脳腫瘍

2022/01/01 内容の確認を行いました.

脳腫瘍に限らず,現在では WHO 分類が事実上,あるいは実際腫瘍の分類の原則になっており,WHO blue book 以外は解説書的な位置づけにならざるを得ない.

特に脳腫瘍は分子遺伝学的な根拠に基づいて再分類されているため,昔の教科書の情報自体が陳腐化してしまう.現実的には WHO bluebook をまず第一の参照根拠とし,その他の本は理解を促すための本という位置付けにしたほうが無難.

現実的には癌取扱い規約及び WHO bluebook を参照することが多く,

WHO Classification of Tumours of the Central Nervous System (2016)

発行から 5 年経過しており,流石に最新とは言い難くなってきている.最新の話題については cIMPACT-NOW Update と命名された論文で定期的に提供されている.

WHO 分類は 2022 年に新しい版が出版される予定.

脳腫瘍臨床病理カラーアトラス (2017)

アトラス脳腫瘍病理 (2017)

脳腫瘍取扱い規約 第4版 (2018)

実際の診断にあたっては日本語の本が使いやすく,上記の本を参照することが多い.どれも写真が多く,比較的よく書けている本であり参考にしやすい.

Practical Surgical Neuropathology: A Diagnostic Approach (2017)

脳腫瘍の病理診断について,現実的には WHO と上記日本語の本で十分(それ以上は専門的にすぎる)だが,強いて英語の本を挙げるとすると,pattern recognition series が比較的有名である.

Diagnostic Pathology: Neuropathology (2022)

Diagnostic Pathology シリーズはあまりここで取り上げないようにしているのだが,そもそも改訂されている本が少ない中で唯一改訂がなされている.

脳腫瘍病理入門Q&A200 (2015)

この手の本としては珍しく入門的な書籍である.脳外科を志望する研修医の先生におすすめ.もちろん病理の研修医に対してもおすすめ.


病理診断を学ぶ 〜 分子病理専門医試験

2022/01/01 内容を改訂しました.2021 年度実施の試験を受験された先生の意見を反映しました.

2020, 2021 年に 2 回分子病理専門医試験が行われた.

分子病理専門医試験自体がまだ成熟していない,今後変化しうる試験ではあるが,今後の受験にあたって有用と思われる本を列挙していく.

分子病理専門医試験の対策ページを現在作製していないため,便宜上ここに列記する.なお,試験の受験をクリアするためには e-learning をすべてクリアし記憶することと,講習会の内容を理解することが必要十分である.プラスで購入する本は,そのための補助的な資料という位置づけと考えると良い.

日本病理学会 e-Learning(ゲノム診療用病理組織検体取り扱い規定)

e Precision Medicine Japan

遺伝性腫瘍 e-Learning

ゲノム研究用病理組織検体取扱い規程

上 3 つは一つのアカウント登録で相互に学習可能.アカウント登録はすぐにはできないので余裕を持ってみること.遺伝性腫瘍以外の e-learning はマストと言える.e Precision Medicine は基礎編と臨床編があり,少なくとも基礎編はマスト,臨床編は出来ればクリアできるとよいがかなり時間がかかる.

がんゲノム病理学 (2021)

がんゲノム医療遺伝子パネル検査実践ガイド (2020)

がんゲノム医療結果報告書の読み方と患者への伝え方 (2020)

臨床検査 2020年 10月号増刊号 特集 がんゲノム医療用語事典 (2020)

ゲノム研究用・診療用病理組織検体取扱い規程 (2019)(講習会の指定テキストで分子病理専門医試験受験志望者は全員持っているはず)

遺伝子診療よくわかるガイドマップ (2018)

最初に説明したが,結局の所 e-learning と講習会のテキストを理解することが必要十分なわけで,いかにそこに到達するかが問題となる.2021 年 12 月にがんゲノム病理学が出版されて,これが実質公式参考書?かのような宣伝がなされていたが,本の網羅する範囲と試験範囲は微妙にずれていて,思ったほど出題されなかったという意見がある.2021 年度の試験を受けた先生からは公式の講習会の内容を理解することが必要十分で,がんゲノム病理学は後半のエキスパートパネルの問題が有用とのことであった.

自分も含め,多くの先生はがんゲノムなにそれ?という人が多いと思うので,まずは「がんゲノム医療遺伝子パネル検査実践ガイド」と「がんゲノム医療結果報告書の読み方と患者への伝え方」あたりで,そもそもがんゲノム医療がどのようになされているのか,という概要を理解することから始まる.

そして NGS を中心とした,がんゲノム医療の根幹をなすような技術について学習をすることが必要となる.そのためには遺伝子診療よくわかるガイドマップ」などで基礎的な部分を学ぶ.

そうしてある程度基本が固まったところで講習会テキストを読み,e-learning に取り組む.以上で午前問題対策はほぼ完璧と言える.午後問題対策としては C-CAT レポートの読み解きが必要となるが,それには実際のエキスパートパネルに参加し,腫瘍内科の先生に解説を頼むと良い

2018年6月11日月曜日

病理診断を学ぶ 〜 細胞診

2021/05/05 掲載されている本について情報をアップデートしました.
特に変更はない.細胞診は洋書もあるにはあるのだが,洋書は動きが悪い.個々の領域で本が出版されたりはしているのだが,まとまった教科書的な本は近年はほとんど出ていない.その一方でミラノシステムやパリシステムなど,各領域のガイドライン的な本が精力的に出版されている.細胞診は頭を使って診断を推定していくというよりももしかしたら,検査に移行しているのかもしれない.

2021/05/05 掲載されている本について情報をアップデートしました.

細胞診の本は昔から結構様々な種類の本が出ていて,古典的な本を含めると結構な冊数に渡る.ここでは主に細胞診専門医を取得しようとしている病理医を焦点に,臨床検査技師,婦人科など臨床医にも対応できるような,本を紹介していく.

ちなみに細胞診とは言っても基本は病理学なので,病理学の本も参照のこと.特に細胞診専門医を取ろうとする臨床医は自分の科以外の知識はかなり少ないはずなので,これらの本を読んで難しいと感じたら,シンプル病理学などを通読して通り一遍の知識を軽く頭に入れておくと良い.

読む・解く・学ぶ 細胞診Quiz50 ベーシック篇 (2014)
読む・解く・学ぶ 細胞診Quiz50 アドバンス篇 (2014)

おすすめ度:★★★★★

この本ははっきり言ってアンチョコ本の部類に入る.この本を読んだからと言って,細胞診ができますなどと言える代物でもない.しかし,それでもこの本をおすすめするのは,おそらく細胞診の勉強をしている人は(養成所の学生を除けば)病理部でルーチンワークをこなしながら仕事をしている人か,あるいは普段細胞診に接することのない臨床医のはず.

そのような人に「細胞診を学ぶ人のために」を渡してこれを読めというのははっきり言って酷な話.細胞検査士や細胞診専門医を受験しようとしている人はなるべく細切れの時間を活用して勉強しないないといけなくて,そういうニーズに沿っている.

ポケット細胞診アトラス (2013)
おすすめ度:★★★★★

この本の良いところは,写真が豊富,写真がきれいなところ.写真がきれいというのは当たり前のようでとても重要で,汚い写真をいくら睨んでもポイントはつかめない.解説もそこまで長くなくてサラッと読める.

もちろん解説の深さは若干足りないし,これ一冊,そもそもこの本だけで勉強する人はいないだろうから,何度も何度も繰り返しめくって output と復習をすると画像のイメージが定着する.

細胞診アトラス (2021)
おすすめ度:★★★★☆

比較的新しい細胞診のアトラスで,組織と対比して参照できる.確かに悪くはないのだが,写真が少し小さめであることと,1:1 の対比で少し広がりに欠ける.総じて悪くはない.


改訂新版 臨床検査技師を目指す学生のための細胞診 (2013)
おすすめ度:★★★★☆

この本は臨床検査技師の学生向けの本だが,どちらかというと病理医あるいは臨床医向け.病理のトレーニングを始めたレジデントが細胞診の標本の作り方や極めて基本的なことを学習する機会は実はそんなになくて,かといって当たり前過ぎて意外とスクリーナーに聞けない.この本で大まかな知識を入れてスクリーナーに質問するとよい.臨床医もなおさらで,おそらく標本作製の過程など見たことない先生も多いだろうから,この本はわかりやすく書かれている.薄いのですぐ読める.

サイトスクリーナーを目指す臨床検査技師はこの程度の内容は学習済みなはずなので,基本不要のはず.

細胞診ワンポイント講座―知っていれば役立つ細胞所見 (2017)
おすすめ度:★★★★☆

細胞診はキーワード(あるいはクルー)が結構多く,その意味を理解していないと何を言っているのか,どういうニュアンスなのかがわからないことがままある.そんなときに役立つ本.通読するというより調べ物的な立ち位置.

アトラス細胞診と病理診断 (2010)
おすすめ度:★★★☆☆

この本は内容が若干古くなってはいるが,一冊で大まかに網羅できるためとても便利.細胞診と組織診を対して提示しているので,比較して勉強できる.ただ,言うまでもないが写真が少ないため,知識を入れ込むための本と割り切って使うと良い.

細胞診を学ぶ人のために (2019)
スタンダード細胞診テキスト (2019)
おすすめ度:★★★☆☆

どちらも細胞診の伝統的な本で,一般的には一応買うことが勧められる.と言っておく.確かに細胞診の網羅的な resource としてはとても有用.サイトスクリーナーを目指す臨床検査技師はこの本を通読することが求められるが,細胞診専門医を目指す病理医や臨床医はそこまでの知識は求められない.

学会が出版しているガイドライン

意外とよくまとまっている.できれば定期的に改訂してほしいが,著者が多いと難しいのかもしれない.

細胞診のスキルを磨くためには問題演習が必要で,問題集は比較的数多く出版されている.


他の明らかに難問すぎる問題集は意図的に省いている.

2018年6月2日土曜日

病理診断を学ぶ 〜 乳腺

2022/01/01 掲載されている本について情報をアップデートしました.
特に大きな変更はない.結局のところ,WHO 分類が基本にあってあとはそれを補うような位置付けになりがちである.乳腺疾患は非腫瘍性疾患も含まれているが,結局臨床的には癌か癌じゃないかの二択で十分であることが多いのと,免疫染色を行えばある程度蹴りがつくのでバリエーションとしてはそこまで多くはない.

2021/05/05 掲載されている本について情報をアップデートしました.
* 特に大きな変更はありません.
乳腺の本を参照することって実際問題あんまりなくて,なんといっても取扱い規約と WHO,あとは AFIP といったところ.

こういうことを言うと乳腺を専門とする先生には失礼かもしれないけれども,乳腺病理における疾患のバラエティは少なくて,鑑別診断でポイントとなることは限られている.難しい病変でも免疫染色を行うことである程度は決着がつくこともある.

現実的には WHO 分類及び規約,及び鑑別診断アトラスを見ながら診断をすることが多い.規約と WHO 分類に乖離が生じており悩ましい.

Breast Tumours (World Health Organization Classification of Tumours) (2019)

WHO bluebook はもはや,乳腺腫瘍(のみならず)全領域の基本的な本と言える.今回の改定ではそこまで大きくは変わっていないが,髄様癌が消えてしまい,invasive breast carcinoma の一亜型になっている.Rosen や AFIP もあるにはあるが,少なくとも腫瘍については WHO に従っておけば問題ない.5th series に入ってから,定義や診断に必要な要件などの記載がより鮮明になっている.

Rosen's Breast Pathology (2020)

これも言わずと知れた Rosen の教科書.大したこだわりはないのだが,まぁ細かいことも含めてよく載っている.腫瘍性病変については定義などの問題もあり WHO に軍配があがるが,特に非腫瘍性の病変で悩んだときに使う本ではある.

Biopsy Interpretation of the Breast (2017)

洋書で比較的新しく,かつそこそこ安い本としておすすめ.特にこれと言ってすごいというわけではないのだが,一通り揃っている.洋書でなにか一冊といったとき,ハンディなので専門にするのでなければはじめの一冊としてよいかも.

臨床・病理 乳癌取扱い規約 第18版 (2018)

だいたい,大して内容が変わっていないのに,18 版も重ねて何しているの?という批判はさておき,まぁ実際問題取扱い規約に書かれている内容で十分日常業務は事足りる,という意味では個人的に気に入っている.

浸潤性乳管癌の亜型の変更も結局何が言いたいのかよくわからないし.まぁともかく,個人持ちする必要はないけれども,日本で病理をやっていく上ではやはりこれが基本.しかし,稀な組織型については,WHO 分類を参照してくれというのは投げやりすぎないか?

乳癌 (腫瘍病理鑑別診断アトラス) (2016)

日本語の本としては,結局のところ,規約とこのアトラスで 9 割程度は網羅されている印象.これで書いていないあるいは不十分な記載があれば,腫瘍であれば WHO, 腫瘍あるいは非腫瘍であれば Rosen を参照するというのが大体のルーチン.しかし,規約の前に規約に改訂してしまってどうするんだろうか.また改訂するの?という感じ.




2018年3月4日日曜日

本をどこで買うか

2025/3/4 見直しと簡単な改訂を行いました.結局ほぼ変わりません.特に洋書については極端な円高にならない限りは結局 amazon が総合的に安いことが多いです.

# 和書は amazon, 楽天,yahoo あるいはあれば大学生協のどれか
  • Amazon:一般的,定価.ポイントがつきにくい.でも中古商品があったりするので,意外とお得に買える.マーケットプレイスの商品は比較的安価なものが多い印象.
  • 楽天:楽天カードを持っている人(楽天経済圏で生きている人)は有利.定価.ポイントが付きやすい.本以外の商品は割高な印象.
  • Yahoo ショッピング:Yahoo カードあるいはソフトバンクユーザー(Yahoo/Paypay 経済圏で生きている人)は有利か.定価.ポイントが付きやすい.還元率は楽天より上な印象.
  • ヨドバシ・ドット・コム:楽天,Yahoo ショッピングと同じ理屈.楽天,Yahoo と変わっていないのならばこちらを選ぶのも一つ.
  • 大学生協など:大学とかで生協があるのであれば積極的に使ったほうがよい.数% でも割引してくれることが多い
  • m3 や民間医局では独自に本を取り扱っていて,ポイントが付いたり還元してくれるところもある.
どこで買っても基本的に同じはずだけれども,どうせ買うならオトクな方が良い.和書は原則割引がないと考えた方がよく,ポイントなどの,自分の経済圏を見極めて購入先を考えるとよい.

# 洋書は現在はでは amazon.co.jp or amazon.com ほぼ一択か

まず前提として円安で (2025/3/4 時点で 1 ドル 149-150 円程度),洋書を購入するのは結構大変.多少の価格差であれば梱包の丁寧さと時間的な有利さから amazon.co.jp がお勧め.

  • Abebooks:単一の書店ではなく,楽天のようなモールの集合体.一番安いお店を検索できる.結果的には amazon.com, amazon.co.jp よりもかなり安い(正確に言うと昔は安かった).ドル決済と円決済どちらかを選べる.有利な方を選べば良い.
  • Amazon.co.jp:一番簡単に買える.丸善や南江堂で買うよりもだいぶ安いけど,他のサイトに比べると若干高め.だが,ものによっては一番安いこともある.日本語,日本で決済できるので初めて買う場合は,アマゾンがお勧め.
    • Amazon マーケットプレイスでは Amazon 本体よりも少し安めになっている.ただし,海外から郵送するため日数がかなり掛かることに注意を.
  • Amazon.com:amazon.co.jp で検索をしてそれと同じものを amazon.com で検索してみると良い.ドル決済と円決済どちらかを選べる.ただし,送料が結構掛かるので,co.jp よりも高くなることがある.ただものによっては結構安い.
  • Book depository:イギリスの出版社で,送料は無料.ドル決済と円決済どちらかを選べる.値段はまずまず.amacon.co.jp でも出店しているので買うならそっちのほうがよいかも
  • Betterworldbooks:医学書の取扱いは少ない(しかも版が古いものが多い).もしあればかなり安いことが多いのでお勧め.
AFIP, WHO については南江堂(あるいは日本の輸入取り扱いもと)が最速.もし一秒でも早く手に入れたい,かつお金は気にならないのであれば,南江堂で注文するのも一つ.

# WHO オンラインはおすすめ

近年 WHO がオンラインでの購読を始めた.一年間約 16000 円くらいで,正直非常に便利で,これを使うともとに戻れなくなる.腫瘍の診断は結局 WHO 分類が根拠になることがほとんどで,かつ単なる定義の説明のみならず,遺伝子異常や背景なども説明してくれており,症例報告などをまとめる際にも足がかりとして非常に有用.

また WHO は最近 subscription サービスも始めておりそちらも比較的評判のよう.自分の専門分野は書籍で購入しつつ(過去の版を参照する必要があるため),それ以外についてはオンラインでというのが賢い気がする.今後サービスがどう展開されるか不透明であるが,少なくとも現状非常に有利なので是非ともおすすめしたい.

AFIP は定期購読という選択肢もあるが,そんなに安くないのと,AFIP は製本が立派なので,買って本棚に飾って悦に入るのが良い.

クレジットで支払うとき,ドル決済にすると購入日と決済日のレートが異なることがあるので,そのリスクを考慮すると円決済でもいいんだけど,若干レートが不利になる.例えば debit などを使うと,比較的近い日のレートを使うことができる.まぁ上がるか下がるかは神のみぞ知るわけで,あまり気にしなさすぎるのも一つ.

2018年2月28日水曜日

病理診断を学ぶ 〜 肝胆膵

2022/01/01 掲載されている本について情報をアップデートしましたが,特に変わりありません.

AFIP 以外に膵臓病理として独立した本がないというの実情で,胆道系も同様の状況.やはり WHO bluebook の充実っぷりが半端なく,結局その他の本はそれを補うような立ち位置にならざるを得ない.肝については非腫瘍性疾患もそこそこの位置を占めるがそれは AFIP や biopsy interpretation series などが有用かと思われる.

2021/05/05 掲載されている本について情報をアップデートしました.
肝胆膵の本でなかなかいい本はない気がする,という元も子もないことを言ってもしょうがないのだけれども,いくつかある程度読める日本語の本を紹介したあと,洋書を何冊か見てみることにする.ちなみに,肝病理の本というのはあっても,胆膵系の本というのはかなり少ない.膵臓だけで一冊というのはなかなか難しいらしく,どうしても肝胆膵の中の一冊という扱いになるらしい.

洋書については foundation in diagnostic pathology series とか,amirsys のシリーズとか色々出すぎていて混沌としているので,とりあえずこれは!と言える本だけ取り上げる.

Digestive System Tumours (World Health Organization Classification of Tumours) (2019)

WHO は基本.最近改訂されており比較的参照しやすい.

臨床に活かす病理診断学 消化管・肝胆膵編 第3版(2018)

値段もそこそこで手頃な本.肝胆膵の本というわけではないけれども,比較的わかりやすく書いているため,手始めに読む本としてはなかなかよい.また久しぶりに読み直してみたが,改訂するたびに,おそらく読者の意見を汲み取っていて,いわゆる臨床医(あるいは病理の初心者)が求めている本になっている.病理診断の基本は消化管であるので,病理自体をこの本から始めるのも意外とベストかもしれない.ベストセラーなのか,日本の医学書にしては結構頻繁に改訂している印象.当然だが分量的には少なく,細かく調べるには不向き.

この本に限らずだけど,消化管,肝胆膵は消化器内科医の需要が結構あるらしく,結構いろいろな本が出ている.良く言えばとっつきやすい,まぁ catchy な表面的な本が多くなっている.

肝病理標本の読み方(2001)

かつてはこの本が肝病理の本としては gold standard と言われていた.多分も売っていないと思うし,流石にこの本じゃなくてもいいようなきがするが,実際の病理診断レベルで言うと,世の中は意外と先には進んでいないようで,この本でも結構事足りることが多い.薄いので,一読するのはおすすめ.多分一読しただけでは理解は難しいと思うけど.


全陽先生による,比較的最近の肝生検のテキスト.少し項目建てが独特で項目に到達するに苦労する.比較的よく書けているテキストだとは思うが,スッキリしない感じもしなくはない.Amazon では入手不可能になってはいるが,書店ではまだ入手可能である.

肝臓を診る医師のための肝臓病理テキスト (2013)
胆道疾患を診る医師のための胆道病理テキスト (2015)
膵臓を診る医師のための膵臓病理テキスト (2020)

日本語で書かれた,肝・胆道系・膵臓のテキストで比較的まともに記載されている本.もし一冊買うとすればこのどれかを買っておけばとりあえず大丈夫と言えるだろう.もっとも英語の本の方が圧倒的に充実しているので,日本語の本を持っておく必要があるのかと言われるとなかなか難しい.

MacSween's Pathology of the Liver, 7e (2017)
Odze and Goldblum Surgical Pathology of the GI Tract, Liver, Biliary Tract and Pancreas (2022)
Surgical Pathology of the Liver (2017)
Biopsy Interpretation of the Liver (2021)
Scheuer's Liver Biopsy Interpretation (2020)

MacSween は昔から有名だけど,実はというほどでもないけど,読んだことないのでよくわからない.Odze は消化管と合わせて一冊になっていて,肝胆膵もそこそこ詳しいので,どれか一冊持つとすればこれがおすすめ.そして肝臓だけに限るけど,surgical pathology of the liver と biopsy interpretation of the liver がとてもおすすめ.肝臓の腫瘍で悩むことよりも非腫瘍性疾患で悩むことが多くて,しかも検体が提出される頻度が少ないことと合わせて結構苦手意識がある人は多いと思う.もちろん腫瘍も網羅されているけれど,この本を書いた人たちはわかりやすく説明することにとても長けている.学会会場などで見かけたら騙されたと思って手にとって見るのがおすすめ.

基本的には上記以外の本で言うと WHO bluebook や AFIP (非腫瘍性疾患を含む)がおすすめである.




2017年12月27日水曜日

病理診断を学ぶ 〜 皮膚

2022/01/01 掲載されている本について情報をアップデートしました.
がとりあえず大きな変更はありません.

2021/05/05 掲載されている本について情報をアップデートしました.
* 日本語の本を中心として新しい本がどんどん出版されていますが,正直全て買う必要があるのか微妙な感じです.著者が結構かぶっていたりするので,実際に手にとってみて良さそうなものを買ってみると良いでしょう.

皮膚病理は難しい,というか病理医が細かく知る必要はない気がする.という元も子もない前提をさしておいて,幾つか本を紹介してみる.皮膚病理は結構たくさん本があって全て紹介していると発散しそうなので,幾つかに絞って,かつ洋書は大御所のものに限ることにする.

まず最初の第1歩としては,,,

改訂新版 皮膚病理学 (2012)

この本は 2012 年と書いてあるが,2000 年以前のかなり古い本.出版元が変わってカバーだけ差し替えた感じだけど,本質的には変わっていない.皮膚科自体が古い用語を好む領域なので(多分幾つかあると思うのだが,免疫染色などよりも形態学的診断が好まれるから,とか炎症性皮膚疾患などは遺伝子異常等とはあまり関連がないことなどか?→あまり関係がない,というのはちょっと言い過ぎた.関係があっても組織学的診断には反映されにくいとしておこう),実際問題新しい概念というのはそんなに登場していなくて,この古い本でも有用.申込書の臨床診断に書いてある診断名を理解できない人は少なからずいるはず.そういう時に便利.

皮膚科サブスペシャリティーシリーズ 1冊でわかる皮膚病理 (2010)

はじめに言っておくと,決して一冊では分かるようにはならない.この本を嫌っている人が少なからずいて,結構重要な疾患にもかかわらず,鑑別診断でわずか数行コメントするに留まっているものがそこそこあるということ.まぁ写真もきれいだしきちんと載っているので結構有用だとは思うのだけれども,一冊で十分というのははっきり言って言い過ぎ.まぁ色々載っているので便利ではある.

実践皮膚病理診断 (2017)

この本は 2017 年に出たばかりの比較的新しい本.この本の良いところは炎症性皮膚疾患の分類法.炎症性皮膚疾患については Ackerman (surgical pathology じゃない方)のアルゴリズムが有名だけれども,superficial perivascular dermatitis とすべきか spongiotic dermatitis とすべきかとか,悩むことがしばしばあって,このアルゴリズムは結構使いにくい.著者らは,ハイブリッド診断として,どこの所見から入っても診断にたどり着くように工夫をこらしている.もちろんこれが全て,というわけではないのだが,なかなかわかりやすいと思う.比較的新しい診断アルゴリズムで結構おすすめ.

皮膚病理組織診断学入門(改訂第3版) (2017)

この本はとても有名で,3 版になってから一回り大きくなった.この本は結構昔からあるので愛用している先生は多いのでは?鑑別診断が丁寧に書いてあるので取っ掛かりがつかめたら,そこを頼りに鑑別がしやすい.ただ,謎なのがなぜ病名がアルファベット順にしているのか.ただ,実際にはこれ,調べようとするとき意外と分かりやすかったりする.

みき先生の皮膚病理診断ABC (1) 表皮系病変 (2021)
みき先生の皮膚病理診断ABC (2) 付属器系病変 (2007)
みき先生の皮膚病理診断ABC (3) メラノサイト系病変 (2009)
みき先生の皮膚病理診断ABC (4) 炎症性病変 (2013)


みき先生の本の素晴らしさは特に言及する必要はないと思う.まぁこんなにありふれた疾患に対して鑑別診断も含めて丁寧に記載している事自体がすごいということ.ここで細かく説明するよりもとりあえず本を手にとって見て欲しい.何かが変わるはずだ.ちなみに表皮系病変から update されている.


皮膚病理について,これ一冊でという比較的まともな本が何冊も登場してきた.特に付属器腫瘍の本は網羅的でよく書けている.病理診断リファレンスも網羅的だが,腫瘍・非腫瘍を一冊で網羅しようとするのはなかなか難しいように思う.いずれもとてもおすすめの本


確かに良さそうに思うのだが,正直皮膚病理の本が何冊もあってもしょうがない.ここまで買う必要があるのかという疑問も出てこなくはない.

皮膚科医をターゲットにしているせいもあって,和書はほんと挙げればキリがない.気が向いたらまた追記することとして洋書を数冊提示して終わることにしよう.

WHO Classification of Skin Tumours (Who Classification of Tumours: International Agency for Research on Cancer) (2018)

腫瘍の分類においては WHO 分類を無視することは出来ない.Keratoacanthoma などの分類で日本とは考え方が異なる部分もあるが,原則的 WHO 分類に従うべき.

Lever's Histopathology of the Skin (2014)

リンクを貼っておいていうのも何だが,Lever は少し読みにくい.他の本に比べて写真が少ないので何を言っているのかがわかりにくいことがある.ちなみに皮膚科の大御所の先生たちは Lever 自身が書いた版を使って勉強しろと言っている.古本で amazon に転がっているので興味のある人はどうぞ.

・McKee's Pathology of the
Skin (2019)

分子生物学的なことなどを含めて,おそらくマッキーが一番詳しいと思っている.写真も大きく内容もとても詳しいので,皮膚病理の最後の砦として調べ物をするには最適.ちなみにマッキー先生はもう引退している.

Weedon's Skin Pathology (2020)

現時点でどれか一冊洋書をと言われると,この本がお勧め.これは一冊にまとめているので重たくて腕が抜けそうになるが,情報量は当然多い.ちなみにどの本もそうで,特に炎症性皮膚疾患はその傾向が強いけれど,著者によって分類方法が結構変わってきたりする.どれが正解というのもないので別にいいんだろうけれども,非専門家としてはどれか一冊に軸足を置いておいたほうが良いと思う.Weedon, Mckee もどちらも最近改訂されており,いずれか一冊で十分だし,皮膚病理が好きであれば両方とも持っておいても損はない.

Inflammatory Dermatopathology: A Pathologist's Survival Guide (2016)

炎症性皮膚疾患の診断の仕方を記載した良書.コンパクトで著者いわく週末かければ読めると言っているが,non-native の日本人としてはまず週末だけでは集中力が持たない.この本は結構現実的なラインで話を勧めている.Spongiotic dermatitis と psoriasiform dermatitis は時として鑑別が難しくどちらとしても良い(所見をきちんと記載すること)など現実的なことを言ってくれている.Sample report が秀逸.Cleveland Clinic ではこういうふうに書いているのかというのはとても参考になる.Clinicopathologic correlation is recommended. がやたらと多いのは気になったけど笑.


皮膚の軟部腫瘍の比較的数少ない本.High-Yield series と同じスタイルの本.皮膚軟部腫瘍に関する本は非常に少なく,貴重な本.皮膚軟部腫瘍は皮膚 WHO bluebook の他に軟部腫瘍のテキストにも記載がある.

あとは個人的な趣味に走る.

Pearls and Pitfalls in Neoplastic Dermatopathology (2016)
Pearls and Pitfalls in Nonneoplastic Dermatopathology (2016)


この本の良いところは鑑別診断について丁寧に記載しているところと,病変の典型的な所見と経時的な変化を細かく書いてあるところ.母斑などは経時的に呈する像が変わることがよくあるけれども,その所見も丁寧に記載されている.


病理診断を学ぶ 〜 骨軟部領域

2022/07/03 掲載されている本について情報をアップデートしました.

あまり改訂と呼べるような内容の本はない印象.

2021/05/05 掲載されている本について情報をアップデートしました.
* 新刊本の更新程度です.腫瘍について genetic な情報については常に更新されるのでどの本をとっても最近とは言えません.とりあえずなるべく新しい本を見るのが良いと思われます.

骨軟部領域ははっきり言って日本語の本が少ない,とても少ない.日本語の本もあるにはあるけれども,かなり限定的で悪性腫瘍しか扱っていないだとか記載が少ないだとかで詳しく調べるには不向き.さらに非腫瘍性骨関節疾患に至っては一冊しかない,しかも絶版.

そういう behind な状況の中でおすすめされるのはやはり洋書になる.非腫瘍性骨関節疾患,骨腫瘍,軟部腫瘍の順に本を提示していく.

Orthopaedic Pathology (2009)

非腫瘍性骨関節疾患の代表的な教科書の一つ.そもそも非腫瘍性骨関節疾患は非特異的な所見が結構多くて臨床病理相関が極めて重要.もっというとレントゲンをある程度読めないといけないことと,整形外科の疾患について(Perthes 病とかPaget 病とか)ある程度知識がないと読み進めるのは難しい.

他には

Orthopaedic Pathology (2015)
Non-Neoplastic Diseases of Bones and Joints (Atlas of Nontumor Pathology) (2011)

あたりが有名でよく書けていると思う.Non-Neoplastic Diseases of ... は AFIP のシリーズなのでこっちは比較的入手可能.

そういう知識がまず足りない人(臨床研修で整形外科的な処置に巡り会えなかったり,整形外科を回らなかった人)には

病気がみえるvol.11 運動器・整形外科 (2017)
整形外科 (国試マニュアル100%シリーズ) (2011)

あたりが有用.どちらもよく書けているので,両方とも買っても損はない.

非腫瘍性骨関節疾患の教科書は英語でもそんなに多くはなくて(細かいことを言うとあるのはあるんだけれども,腫瘍,非腫瘍を扱った本の多くは腫瘍にボリュームを割いていて,非腫瘍をメインとした教科書は少ない,ということ),あとは絶版だけど(一応リンクは張っておく)石田先生の本が超有名.

非腫瘍性骨関節疾患の病理 (2003)

この本はかなりわかりやすいと思うけれども,石田先生自体が超絶優秀な人なので(余談になるけど,大昔の病理と臨床か Pathology International には確か病理専門医試験の合格体験記が載っていたような気がする.石田先生の合格体験記を見るとすごい,at a glance),我々凡人には理解できないところもあると思われる.整形外科の教科書を見ながら勉強すること.

骨腫瘍については比較的本が多い.全部紹介してもキリがないけれども

Soft Tissue and Bone Tumours (World Health Organization Classification of Tumours) (2020)

この本はおすすめというよりも,分類学の要の本なので,骨軟部腫瘍を専門にするのでなければ最低でもすぐ見れるところにおいておけば良いと思う.専門的に見ようと思うのであれば是非購入すべき.

Dorfman and Czerniak's Bone Tumors, 2e (2015)

骨腫瘍のかなり大きなテキストで,ボリュームは多いけれども,比較的地に足の着いた記載があるのが特徴(悩ましいときも素直に悩ましいと書いてある).初めて見る疾患はここらへんまで調べれるとよい.

Diagnostic Pathology: Bone (2021)

Amirsys 社の箇条書きシリーズ.このシリーズは骨に限らず他の巻もそうだけど,名だたる執筆陣を確保していて素直にすごいと思う.値段が爆高なのが困るけど.今回からちょっとだけど非腫瘍性骨関節疾患が入ってきており,少し充実している.

Practical Orthopedic Pathology: A Diagnostic Approach: A Volume in the Pattern Recognition Series, 1e (2015)

この本は実は読んだことがないけれども,有名な pattern recognition series の一つ.改訂される気配がない.

日本語の本では石田先生の本がとても良く書けている.

骨腫瘍の病理 (2012)

ただ,これ残念なのが前回の WHO が改訂される直前に出た本であること(ただし良悪性を含めて本質的に変わるものではないし,controversial なものは適宜言及されているので実際には問題ない).

軟部腫瘍について有名なのは

Enzinger and Weiss's Soft Tissue Tumors: Expert Consult: Online and Print, 6e (2019)

だけど,これ診断名が微妙に WHO と異なっている(これはもう完全に流派の違い,どちらでつけても問題はないと思うけれども,一応 WHO に従ったほうが無難).消化管,軟部腫瘍で有名(最近 Rosai and Ackerman Surgical Pathology を書いた)Goldblum 先生が editor をしている.

Modern Soft Tissue Pathology: Tumors and Non-Neoplastic Conditions (2016)

GIST で有名な Miettinen 先生も軟部腫瘍について本を書いている.なんとなく,Enzinger の方が詳しい気がするけれども,多分 Enzinger は多くの病理検査室に常備してあるので,自分で買うのはこっちにしても良いかも.内容は Enzinger とそんなに変わらないけれども,写真は若干小さい.どれか一つと言われたらやっぱり Enzinger にはなるけれども.ちなみにやっぱり GIST については手厚い記載がなされている.

Biopsy Interpretation of Soft Tissue Tumors (Biopsy Interpretation Series) (2015)
Practical Soft Tissue Pathology: A Diagnostic Approach: A Volume in the Pattern Recognition Series (2018)
Diagnostic Pathology: Soft Tissue Tumors (2019)

三冊同時に提示したけれども,biopsy interpretation, pattern recognition, diagnostic pathology シリーズの一員でいずれも結構丁寧に書いてあっておすすめの本.まぁ他の本もそうだけど値段がめちゃくちゃ高いのが難点.


一番新しい本ということで.著者自体がだいたいかぶっているので,正直そんなに内容に差はない.なんだかんだいって腫瘍は WHO に集約されてしまう.

【結論】
骨軟部腫瘍は勉強しだすととても奥が深いので,あまり関わる気がなければ石田先生の日本語の本で済ませるのも一つ.そしてどの本も書いている人は同じ人だったり,同じ流派の人だったりするので,どれを選んでも多分あまり変わらないと思われる.

改訂に当たってざっと探してみたが,あまり変わりはない.結局腫瘍は WHO 分類に集約されてしまうので,本自体の個性がなくなりつつある.そのなかで唯一挙げるとすれば Dorfman は個性が光る本でちょっと古いが持っておく価値は十分ある.

2017年12月24日日曜日

病理診断を学ぶ 〜 解剖学,組織学

2025/03/04 掲載されている本について情報をアップデートし,いくつか追加しました.ほぼ変わっていません.組織学,解剖学の本は基本的な事実は 10 年は変わることはないので,予算に余裕がなければ 1 版古い本でも問題はない.一方,Histology and Cell Biology といった分子生物学的知見が反映されている本はなるべく新しい本が良い.

【ここで載せている本について】 
  • 病理診断を実践するためには健全な解剖学及び組織学の知識が必要
  • 実際のところ,解剖学については細かい筋肉や神経の名前までは求められることはないものの,組織学については学生の時に習った内容以上のレベルが求められる
  • ここで紹介している本は基本的に全ておすすめできる本(★ 5 つレベル)で,これらから自分の合うものを選んで常に手元に置きながら勉強すると上達は早い,,かも!
入門組織学 (2013)

この本を侮ることなかれ.病理診断のトレーニングを始めたばかりの人(学生,研修医にかかわらず)基本的な組織学の知識が欠落していることが多い.それは自分もそうだったので特に非難するつもりはないけれども.病理診断に必要な組織学の約 80% 程度を容易に提供してくれるとても良い本.組織学の試験対策としては少し物足りないかもしれないけれども,業務をこなす上ではとりあえずこれらくらいの知識が入っていれば十分.バカにせず丁寧に読むこと.


悪くはない本.どちらかというとアトラス的な立ち位置.正常構造を知るには良いが少し内容が薄い印象.レジデントの先生に聞いてみてもうーんという感じの返事であった.バーチャルスライドを見た人はいなさそう.


Q シリーズの新組織学もなかなか悪くない本だけれども,上記の入門組織学の完成度及び読みやすさが群を抜いているので,少し色あせて見えるところ.この Q シリーズは発生学,解剖学と合わせて同じテンポで説明しているので,相互性を重視するならこの本もおすすめ.あるいは入門組織学からの二冊目として購入しても良い.

どうでもよいが,Q シリーズはたまに改訂されているようだがどこが変わったのかよくわからない.


この伝統ある本も両藤田氏が引退して執筆者が変更になってから急に今風の本になってしまった.まぁ古い本の方が味があるといえば味があったのかもしれないけれども,流石に古風すぎるのと説明が若干おかしいところがあるので改訂自体は歓迎すべきとおもう.この本は昔の本を持っている人はそのままで良くて,病理部にあれば個人持ちする必要はないと思う.基本的なこと(そもそも膠原線維ってなんだっけ?)を知りたくなった時や知らない解剖学的用語が登場した時に調べることが多い気がする.

組織細胞生物学 (2022)(洋書 Histology and Cell Biology 2025)

少しレベルの高い本.分子生物学的な知見を踏まえた,組織学の本.最初に使う本ではないけれども,(特に免疫染色のからみなどで)少し突っ込んで知りたくなった時に使う本.個人として一冊もっておくと何かと便利.

カラー図解 人体の細胞生物学 (2025)

この本は,カラー図解 人体の正常構造と機能 全10巻縮刷版 (2025) の姉妹版として発行された本で,人体に限った分子生物学について記載している.トータルで 300 ページ未満で意外と読みやすい.分子生物学の本は結構分厚かったり記述が詳しくて,挫折してしまいがちだけど,この頁数であれば,なんとか行けそう.これらの時代,病理診断には分子生物学的な知識は必要不可欠で,まず最初にレビューするには格好の本.


病理と臨床という雑誌の増刊号.この雑誌はそもそも病理医による病理医のための雑誌みたいなもので,増刊号も結構我々のニーズを満たしてくれるいい本を出している.増刊号は正直全部買ってもいいくらい痒いところに手が届く感じ.でもこういう本って本当は文光堂にお願いするんじゃなくて,病理学会が先導して積極的に出していくべきだと個人的に思っている.

話がそれたけど,この本も少しレベルが高い.実際に診断をしている最中に気になったことなどを調べるのに向いている.雑誌なので?多少の誤植があるがそこはご愛嬌.すぐ売り切れになるので早めに購入の検討を → 人気の高い本はたまに再販されることがあるようだ.


病理診断に使える,組織学のアトラスはあまりいいのがない,というのが正直なところ.なぜかというと,組織学アトラスとして販売されているものには HE 写真が少なくて特殊染色がとても多いから.我々は HE 染色を基本にして診断をしているので,例えば心筋の線維化をみるのもまずは HE 写真がほしいところ.でも多くのアトラスは Azan 染色あたりを出してこれでもか!って具合に線維化を示している.その中で「機能を中心とした図説組織学」は病理医が書いているだけあって HE 写真が多いのでおすすめ.他は本屋さんか図書館でめくりながら使いやすいものを選ぶと良い.

Histology for Pathologists は少しレベルの高い本.ある程度基本的な組織学の知識が頭に入っている前提で更にわからない病変を調べるときに有用.持っておいてもいいし,病理部にあればそれを使っても良い.

最後に解剖学を中心とした本を幾つか...


解剖学のとっかかりとして最適.ここでは病理学,病理診断を学ぶために有用な本という位置付けなので周辺の領域の本については通読を求めてはいないのだが,(一度解剖学を学んだという前提ではあるが)通読が現実的な本.難しいことを書いてあるわけではなく,いわゆる基本的な教科書の位置付け.専門家からすると入門書だが,一般の人にとっては習得すべき目標となる.

入門組織学と双璧をなす本と考えてもらって良い.まずどれかと言われると,ここからスタートすると良い.



この本はかなりおすすめ.解剖学,組織学,生理学(+生化学)を網羅し,臓器別にまとめてある.一通り概観が出来るので,とても見やすい.正直それぞれの専門書レベルに細かく載っているかと言われると微妙なところがあるけれども,それでも絵も豊富でとてもよい(もっというと講義の資料に使いやすい).


解剖学アトラスは必要.病理解剖をする時や外科材料の切り出しを行う時のオリエンテーションを確認する時に.どどたん先生にはなかなか理解しにくいがこれらの解剖学の本はしょっちゅう改訂されている.一体に何を変えようというのであろうか苦笑(細かいことを言うと,解剖学における事実自体は変わらなくても,治療法などの進歩により臨床的な意義が変わってくることはあり,それによってスポットの当たり方が変わることはよくある,それにしても改訂しすぎ).最新の版は少し高いので,1つか2つ古い版くらいであればなんの問題もなく使えるので,中古にこだわりがなければおすすめ


病理で必要な解剖アトラスはおそらく 2 種類あると思っていて,一つは病理解剖や手術検体のオリエンテーションを理解するの必要な解剖アトラスと,もう一つは画像所見を読み解くのに必要な解剖アトラス.別に画像診断をしているわけではないのだが,画像上病変がどこにあるかを理解するうえで画像とある程度対比された解剖アトラスがあるとよい.こういうニーズに応える本.手持ちでもよいし,病院に一冊あるだけでもよい.

Gray's Anatomy: The Anatomical Basis of Clinical Practice, 42e

有名なグレイズ・アナトミー.我々病理医は解剖学の専門家ではないので,他の分野の本こそちゃんとしたものが実は必要.どういうことかというと病理診断に関する最新の知識は簡単に Pubmed や医中誌などで引っ掛けられる(∵検索ワードが簡単に思いつくから).でも解剖学に関する疑問点をうまく引っ掛けられるような検索ワードが思いつく人はそんなにいないと思う.だから病理以外の分野を調べようとすると,ちゃんとした教科書があると助かる,という話.病理診断に特化した組織学の本はいくつかあるけれども,病理診断に特化した解剖学の本は実はない.だから最後の拠り所としてグレイズ・アナトミーが一冊あるととても有用(これに関しても個人持ちの必要はないと思う).

** 解剖学の本は実際はあまり使うことはないので,必ずしも個人持ちする必要はないが,買って読むと得られるものが結構多いと思う.全て買えとは言わないが一冊くらいあるといいかも.





2017年12月23日土曜日

病理診断を学ぶ 〜 消化管

2022/01/01 掲載されている本について情報をアップデートしました.
2021/05/05 掲載されている本について情報をアップデートしました.
* 消化管病理の本は全体的にあまりアップデートはされていないようです.WHO blue book が 2019 年に出版されているため,それを反映した本が出てくる可能性はあります.

消化管病理の本は正直言うと日本の本がよく書けている.わからないことがあれば J-Stage や医中誌辺りで検索をすればわかりやすい総説がたくさんある.そのことを前提にした上で洋書を中心に紹介していく.少なくともどどたん先生が読んだことがある本のみを提示しているので,重要な本でも抜けているものがあるのは了承してほしいところ.

Digestive System Tumours (World Health Organization Classification of Tumours) (2019)

WHO は基本.最近改訂されており比較的参照しやすい.

Fenoglio-Preiser's Gastrointestinal Pathology (2017)

消化管病理学では大御所の本.細かい病変についてもよく書けている.あとは他の本も同様だが,日本の基準と欧米の基準とは違うことがある(特に癌の基準)ため,その基準をそのまま当てはめるとなかなか難しいことがある.

Morson and Dawson's Gastrointestinal Pathology (2013)

Fenoglio-Preiser's とほぼ同様の立ち位置の本.同じ項目について 2 冊読み比べてみたけれど,書いてある内容はどちらもほぼ同様.

Non-Neoplastic Disorders of the Gastrointestinal Tract (AFIP Atlases of Tumor and Non-Tumor Pathology, Series 5) (2021)

AFIP の評価は高くて一定しているが,その中でも非腫瘍性病変のシリーズは他に本がなかなかない上で貴重.特に消化管生検は非腫瘍性病変も結構多いので,細かい病変を調べる時に有用(2021 の 5th series はまだ見ていない).

箇条書きスタイルで有名な Amirsys (現在は Elsevier) の消化管シリーズ.全体的によく書けていると思うけれども,イマイチ網羅性に欠ける印象.

Odze and Goldblum Surgical Pathology of the GI Tract, Liver, Biliary Tract and Pancreas (2022)

この本は消化管だけではなく,肝胆膵も入っているためお得.どれか一冊と言われると,この本を購入するのも良いかと思われる.

臨床に活かす病理診断学 第3版: 消化管・肝胆膵編 (2018)

これらの本はどちらかというと入門的な本.消化管病理は病理診断の基本であるため,こういう本から導入するのも悪くはない選択肢である.


この本は読んだことがないのだが,新しい本ということで一応取り上げた.非腫瘍性疾患に関する本.


2017年11月3日金曜日

病理診断を学ぶ 〜 専門医試験受験

2022/01/01 掲載されている本について情報をアップデートしました.
同様に実質的におすすめできるような本はありません.ちゃんと書きます.

2021/05/05 掲載されている本について情報をアップデートしました.
 * 実質的にはあまり更新しておすすめできるような本はありません.

病理専門医試験を受験するに当たって最低限必要と思われる本を列挙していく.他のカテゴリーでも提示している本もあるけれども,あくまで専門医試験を受験するにあたって,使い方も含めた観点から記載している.

・I, II 型問題(法律などの問題は除く)に対する出題に対応した本
・過去問を研究することは大前提(ここでは敢えて言及しない)

外科病理学 (2020)
おすすめ度:★★★★★

・とりあえず現時点 (2020/05/19 執筆時点)で一番オススメができる本
・フルカラーになりかつ内容が新しくなったこの本は現時点で外科病理学の勉強をしようとする人全てにに対しておすすめ
・Ackerman/Rosai や Sternberg の日本語版という位置づけだけれども,内容的にもまずまず標準的で日本の実情に合わせた内容になっており使いやすい
・専門医試験直前で見直すのは難しいとは思うがそれでも写真がカラーであり頭に入ってきやすく,ざっとみなすのばベター
・病理を初めて間もない人は,まず分からないときに最初に読む日本語の本としてここからスタートして専門書に移動するとスムーズでそうやって慣れておいてから通読を目指すと良い

病理診断クイックリファレンス (2015)
おすすめ度:★★★★★

・数年以内に病理専門医試験を受験しようとする人はこの本にアクセス可能な状況(買うあるいは借りるあるいは病理検査室にある状態)にしておくこと.
・試験に出やすい(出しやすい)疾患の宝庫.この項目を選択した人が誰だかは知らないし,実際の出題にあたっては特にこの本からというわけではないのだろう.
・しかし「ちょっと難しいし,知らないとぱっとは診断できないけど,実地臨床で遭遇しうる」という疾患が集められており,試験のレベルと十分合致している.
・この本は病理と臨床という雑誌の増刊号であり,普通の本と違って原則的に版を重ねることはない.必要と思ったら早めに入手しておくこと.またこういう増刊号は定期的に出版されており,数年以内に必要なければ次まで待つのも1つ.


組織病理アトラス (2015)
カラーアトラス病理組織の見方と鑑別診断 (2020)
おすすめ度:★★★★★

・最低でもどちらか,可能であれば両方共通読すること.版は 1-2 版古いものでもかまわない.版が違うと写真も違ってくるので,複数の版を読み比べても良い.
・疾患概念が変わってくるものもあるけれども,それは病理専門医試験を受験するレベルの病理医であれば十分吸収して解釈できるはず(病理診断クイックレファレンスあたりで補正しておく).
・通読した上で,過去問に出題された疾患については,再度確認すべき.文章の説明はあまり読まなくても良い.写真で疾患が想起出来るレベルまで昇華させる.

病理医・臨床医のための 病理診断アトラス Vol.1 (2009)
病理医・臨床医のための 病理診断アトラス Vol.2 (2010)

おすすめ度:★★★

・なんとなく伝説となった?,彩の国さいたま病理セミナーをまとめた本(主催者が○になったから急遽中止になって終了したようだ).
・正直写真がいまいちで,説明もまぁまぁと言ったところ.受験生はこの本をみて,どういう疾患が出題されうるのかを研究すべき.出題予想疾患一覧みたいな位置付け.必要に応じてネットで画像検索をして補完する.
・まぁ値段が高いので借りるなどしても良い.多分試験が終わったら使うことはないだろうから.
・さすがに古くなってきている.

・癌取扱い規約
おすすめ度:★★★★★

・当然自分で買う必要はない.病理検査室に必ずあるはず.
・試驗前にぱらぱらと写真の部分だけを読み流していくと,非常に勉強になる.
・普段は該当項目だけしか熟読していないと思うが,全臓器を俯瞰して見ると,腫瘍に関しては一通りの知識の棚ができる.
・ちなみに峰先生から教えてもらったけど,精巣腫瘍取扱い規約ははじめの写真に誤植がある笑

病理診断を極める 60のクルー (2014)
おすすめ度:★★★☆☆

どどたん先生は一応通読したけど,まぁ便利といえば便利.受験業界的にはいわゆる「ヨコのつながり」の本.臓器別というよりも診断クルーをかなめにして臓器横断的に所見を読み解いていくタイプの本.かなり応用的な本なので初心者やあまり自信がない人は読まなくても良い.専門医試験に有用かといえばいまいち.ただ,こういう視点をもつことは実地臨床ではとても重要.時間がある人は読むと参考になることが多いと思う.

というかタイトルが良くない.もう少し難し目のタイトルを付けないと.たまにこの本を学生が間違えて買ってしまって,「これ読んでもわかりませ~ん」って言うはめになる.

読む・解く・学ぶ 細胞診Quiz50ベーシック (2014)
読む・解く・学ぶ 細胞診Quiz50アドバンス (2014)
ポケット細胞診アトラス (2013)
おすすめ度:★★★★★

・病理専門医試験には細胞診の問題も出題されることを忘れてはいけない.多くの病理医は細胞診をちゃんと見ていない.これは病理の研修医にも言えること.これを反映してか,病理専門医試験には細胞診の難しい問題は一切出てこない.
・対策するだけ無駄.ただ,多くの人は病理専門医を取得後に細胞診専門医も受験すると思われるので,せっかくの機会に体系的な勉強をするに越したことはない.
・そのなかで Quiz 50 は比較的簡単かつ薄いので読みやすい.病理出版業界で有名な清水先生と仲間たちの本ではあるけれども(正直出し過ぎな感はあるけれども),とてもいいところをついてくるので仕方ない..
・ポケット細胞診アトラスは分量は多いが,写真がとても綺麗で,この像を頭に叩き込んでおけば大抵は戦える(細胞診専門医試験においても戦える).

病理専門医試験を見据えた場合には細胞診の問題は決してコスパが良いとは言えないが,将来的なことを踏まえると,どちらかあるいは両方とも買っておいて損はない.




病理診断を学ぶ 〜 病理解剖

2022/01/01 掲載されている本について情報をアップデートしました.
特に変更はない.病理解剖の位置付けなどは欧米と日本では異なるように見え,記載の方法などは非常に独特とも言える.よって洋書はあるものの (hospital autopsy, medical autopsy などで検索),実際の使用という観点からは疑問符がつくので敢えて記載していない.

2021/05/05 掲載されている本について情報をアップデートしました.

病理解剖に関する本は正直言ってかなり少ない.その上病理解剖のやり方自体が各大学によって全く異なっており,これで絶対大丈夫というのは言いにくい.特に解剖は診断と違って手技が重要なものなので,こればかりは教科書を見ただけで習得できるものではない.

英語の教科書もなくはないが,実際に参照する機会は少ないと思われる.

ということを前提にした上で,以下に提示する.

おすすめ度:★★★★★

比較的最近出版された,病理解剖に関する指南書で,実際の写真が豊富に含まれておりわかりやすい.どれか一冊と言われたら網羅的な「徹底攻略! 病理解剖カラー図解」をおすすめするが,他の人が持っていたり病理部に置いてあったりするのであれば,こちらの本も悪くはない.

徹底攻略! 病理解剖カラー図解 (2015)
おすすめ度:★★★★★

著者(編者)の出版意欲には頭が下がるというか,若干胡散臭いところもあるけれども,少なくともいま日本で出版されかつ入手可能な病理解剖の本の中で一番読みやすくかつマトモな本.どれか一冊と言われたら,間違いなくこの一冊をおすすめする.網羅的かつ一般的なことがきちんと記載されており,好感がもてる.

病理解剖―“わからん”が“わかる”へ (2010)
おすすめ度:★★★☆☆

上記の病理解剖カラー図解が出るまでは,比較的おすすめの本(であった).悪くはないのだが,絵や図が少なく文章メイン.あと,計測すべき事項が詳細に書いてあるが,なぜ計測すべきかなどが細かく書いていない.決して悪い本だとは思わないが,現時点ではこの本を積極的に推す理由はない.二冊目として買っても悪くはないが,,,.

あたらしい検案・解剖マニュアル (2018)
おすすめ度:★★★★☆

専門医試験を前提としたときにはこの本が活躍することはない.しかしながら,病理解剖をやっていて,事件関連なのでは?とか裁判沙汰になるのでは?と思うことは少なくない.現実的に法医学教室に勉強にしに行くことは難しくて,法医学の先生たちがどのようにやっているかということを見ることは少ない(もっというと,法医学教室によってもやり方が全然違うので意外と難しい).この本は一つの例としてある程度網羅的に書いているので,とても参考になる.

・病理と臨床 Vol.30 2012年臨時増刊号 病理解剖マニュアル
おすすめ度:★★★★☆

現時点では入手不可.でも心配はいらない.病理と臨床は数年ごとにテーマをぐるぐる回していて,おそらく数年後くらいにはまた病理解剖マニュアルの特集が組まれることでああろう.読む人も書く人も業界人なのでそこら辺は十分理解して執筆している.現時点で標準的な病理解剖の手法が記載されている.でもページ制限があり詰め込みすぎるきらいなのと,著者による多少の濃淡があるのと,全体としての統一性にややかけるので通しでは読みにくいかもしれない.

・病理解剖とその技術 (病理技術マニュアル)
おすすめ度:★★☆☆☆

この本,まず手に入らない.1983 年の本なので,昔からある病理検査室あるいは誰かが寄付しないと,そもそも見ることすら不可能.病理解剖の手技自体がそもそも枯れた技術なので,なかなか新しい本が出にくい,というのが現実.今回挙げたものなかでは多分いちばん詳しい本であるのは確か.もし病理検査室にあれが一度手にとって見ると良い.学会はこういう本をもう一度発売あるいは PDF などの形で会員に配布すべきだと思う.そういうことをしてこそ学会に所属する意義があるというもの.

おすすめ度:★★★★☆

病理解剖はやっておしまい,ではない.その後に臨床病理相関を検討する,CPC が待っている.病理解剖について勉強をしようとしている人たちは,すでに研修医の時に経験済かもしれないが,どのように CPC を進めていくべきか(正解ではなくとも)一つの目安にはなると思う.

個人持ちするというよりも病理部に買ってもらったほうが良い本ではある.

病理診断を学ぶ 〜 病理組織診断学全般

2025/03/04 掲載されている本について情報をアップデートしました(WHO, AFIP は一部のみ).

ここ 10 年くらいは知識のサイクルがどんどん早くなっていて,その傾向のもと,一冊ですべてを網羅するタイプの外科病理学テキストは出版自体が難しくなっている印象があります.有名なアッカーマンの外科病理学も 2017 年以降は出ていませんし.新しいと言われている外科病理学も 2020 年で止まっています.多分少なくとも今後 5 年は改訂されることはないでしょう.Update されかつ complete な本を探すのは難しいですが,やはり日本語という意味では外科病理学からスタートして AFIP, WHO あるいは pathologyoutlines などで各論のさらに細かい内容を補足するのが良いのかなと思っています.

2021/05/05 掲載されている本について情報をアップデートしました.
【ここで載せている本について】
  • 病理診断を専攻しようとする専門研修医に対する本です.学生向けの本ではありません.間違って買わないようにしましょう.
  • もちろん学生だから読んではいけないということはなくて,病理診断部に出入りしていて,実際の病理診断に対して馴染みのある人や意欲の高い人はいるでしょう.
  • 将来的に病理を志すのであればここの本を買って読んでみるのも一興.
  • ただ,その前に基本的な知識は必要で,病理学を学ぶ,に書いてある本を参考にして 1-2 冊入門書を読んでからにしましょう.
  • 臨床各科と違って病理診断は知識や技術があれば資格の優先順位は低いです.がんばってください!

2017年10月31日火曜日

病理に関するおすすめ本 〜 病理学を学ぶ

【コメント】
2025/03/04 本のリンクや版を含めて少し更新しました.ほとんど変わっていません.ロビンスなど定期的に更新されている本とルービンなどあまりアクティブではない本が大きく別れています.入手の容易さや情報のアップデートなどからは原則的に出版から 5 年程度以内の本を選ぶようにすれば大丈夫です.ただ,古い本でも解説やレイアウトに魅力がある本は多いので,最新の本を持ちつつ古い本も図書館などで探してみてください.

2019/09/23 比較的閲覧件数が多いので,コメントしておくと,リンクは最新の本へ変更しています.書いてあることはほとんど変わりません.シンプル病理学やわかりやすい病理学ですらわかりにくいと感じる人は少なからずいると思いますが,それはもうしょうがないです.どどたん先生の総論の授業を受けるのが一番です.

【ここで載せている本について】
  • 病理診断に関するおすすめの本(病理学を学ぶ学生,細胞検査士を受ける臨床検査技師,学生,病理診断に興味のある臨床医,病理専門の研修医)を紹介しています. 
  • 簡単な本から難しい本まで様々な本を紹介していますが,全てを買う必要は到底ありません.
  • 基本的には教科書+アトラス(あるいは簡単なテキスト+詳しい教科書+アトラス)で十分です

15 年目の悲劇

# 卒後は 17 年目,病理は 15 年目 自分は 2009 年に大学を卒業しているので,2026 年 4/1 現在だと,卒後 17 年目になる.卒後 15 年目のとか,20 年目の,みたいなタイトルの本を見るが,その節目を超えてさらなる大台に突入してしまった感じはある. 初期研...