2019年10月24日木曜日

静脈瘤 varicose vein (ただし食道静脈瘤は除く)

診断にあたって参考となるサイト・本:

臨床所見:
  • Chronic venous disease の一連のスペクトラムの疾患群で,米国では 23% が静脈瘤を有している
  • 女性,高齢者に多い
  • 静脈内圧の上昇,静脈弁機能不全,静脈壁の構造変化,炎症細胞浸潤,ずり応力の変化が静脈瘤の主因と考えられている
  • 静脈内圧の上昇は便機能不全や静脈血流の循環障害,腓腹筋の機能不全による
  • 静脈逆流は表在あるいは深部のいずれでも起こりうる
  • 弁機能不全は変形,断裂,菲薄化,弁尖の癒着で起こりうる
組織学的所見:【血管生検】
  • 膠原線維の増生を伴う血管内膜の肥厚及び平滑筋,弾性線維の配列の乱れ
  • (伏在静脈から採取した平滑筋細胞を培養したところ, I 型コラーゲン(堅牢さに関与)の過剰産生と III 型コラーゲンの減少(組織の伸展性に関与)が見られ,全体として脆弱性が増す結果となることが知られている)
  • 部位により内膜が肥厚する部分と菲薄化する部分が見られる
  • matrix metalloproteinases (MMPs) 及び tissue inhibitors of MMPs (TIMPs) の比率の変化により,壁に myxoid な変化が見られる
鑑別診断:
  • Arteriovenous malformation あたりなんだろうけど,教科書的には特に書いていないし,正直難しい感じがする(症例によっては overlap しそう).臨床的にはだいたい外れることはないから compatible with と書くしかない模様
  • 基本的に静脈瘤は静脈内圧の上昇が病変の本質でそれによる「静脈硬化」などの静脈の変性が主たる像だと考えると,AVM や血管腫との鑑別はつくか
診断をする上での雑感:
  • 鑑別診断で述べたとおりで,組織像の記述がなくて,論文から探さないと行けないような感じ.まぁ臨床医も特に病理診断に求めていないんだろうけど
  • なかなか検体として提出されることはないので,あまり典型的な像を記憶するのは難しいかもしれない
  • 食道静脈瘤も本来は同じものなんだろうけど,剖検例でよく見る静脈瘤と表在静脈の静脈瘤の組織像はかなり異なっているのであまり参考にならない

病理医としてのキャリアパス:中間点

# 次はいずこへ どどたんせんせはいわゆる around 40 で,この職場で留まるべきか次にどこかに行くべきかをそろそろ悩まなくてはいけない感じなっている.ある程度 public なこういうブログで書くべきかは悩ましい感じもするが,ごく普通の人の普通のキャリアパスについての具体...