# 卒後は 17 年目,病理は 15 年目
自分は 2009 年に大学を卒業しているので,2026 年 4/1 現在だと,卒後 17 年目になる.卒後 15 年目のとか,20 年目の,みたいなタイトルの本を見るが,その節目を超えてさらなる大台に突入してしまった感じはある.
初期研修期間の 2 年を除けば,病理歴は 15 年目になる.病理を始めた時期が 2011 年頃で,気持ち的にはその当時と何ら変わりはないのだが,そこそこの実力と引き換えに体力は徐々に衰えていく感じはまぁ確かにある.
# 病理を始めたときに思い描いていたこと
病理を始めたときに,「コンピュータで病理診断ができるようになる未来」を考えていた.もちろん,今でいう AI なんて思いつくはずもなく,プログラムを組んで画像解析をすれば診断ができるはずだと考えていた.そのためには病理診断を行うにはどういう要件が必要で,それを明確にすることが必要だった.
しかし,現実はそうでもなく,偉い先生が「こう思うからこう診断する」という風に捉えざるを得ないくらいの,気分に近い診断もあったりして,一筋縄にはいかないことも知った.この診断基準の闇については,分子生物学的な知見や観察者間の変動に関する検討が導入され,だいぶ解消したように思う.形態的根拠が主流で,免疫染色は参考所見と考える当時からすると本当に隔世の感がある.
# 偉そうにできない
加算の要因を除けば,結局,病理診断は資格や経験年数よりも実力がものをいう世界で,しかも分野が多岐にわたるので,ちょっとニッチで特殊な分野について数年頑張ればトップクラスになれる要素がある.そのニッチで特殊な分野に需要があるかと言われると,ニッチで特殊であるが故に,多分ない.
専門医を取得前後の若い病理医の先生くらいであればマウントをとることはできるが,それ以降で専門を持っている先生に対しては,かなわない.一見矛盾することを言うと,病理医として一人前になるのには病理医専属で 10 年くらいは必要であるが,一部の分野の専門性という意味では数年あれば十分と言える.ずっと後輩の先生から教えてもらって,「なるほど!」と納得することや,「先生,こういうのは当たり前ですよ!」と言われることが少なからずある.昔はこうだったんだけどなぁ...
# 理想と現実の狭間
そもそも大学を卒業して医師免許を取得した時点で親孝行はしたし,もういいかなと思っていたのもあって,今はピークを過ぎた暇つぶしみたいなところが無きにしもあらずではある.病理医を始めたときは,定年間近の先生たちがバリバリ診断をしている姿をみて,あそこまで辿り着けるのだろうかと思っていた.
だいぶ正直に言うと,当時思っていたレベルには大体到達しているように感じている.しかしだ,ゴールポストが圧倒的に動いている.分子病理学の知識がどんどん必要になってきている.今はがんと遺伝性疾患に対してだけど,今後絶対に非腫瘍性疾患もゲノム検索の対象になってくる可能性が高いし,学ぶことはどんどん増えてくる.
正直わかんねーと言いながら,なんとか勉強していっている感じだけど,定年間近の先生たちみたいに振り落とされる日が来るんだろうな.実際,分子病理専門医の取得を諦めた先生はそこそこいる,特に形態診断を重視してきた診断界隈で.研究系の先生は頑張って取っている人が多い印象.
# 次の十年
とりあえず遅いとわかっていながら今更ながら AI なるものの勉強を始めてみた.どのように病理診断と画像解析に活用できるのか,QuPath や HALO AI とにらめっこしながら様々なものを試しているところ.
そして,病理診断を次の十年後も続けているだろうか,という謎はある.その時に病理診断のあり方がどうなっているのか.正直五年後すら想像することが難しくて,でもそれは楽しみかもしれない.
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