2022年1月1日土曜日

病理診断を学ぶ 〜 泌尿器

 泌尿器領域の病理診断に関する本は多岐にわたる.個別の本もあるにはあるが,ここでは総論的に全体がまとまっている本を中心に紹介し,和書について個々の臓器の本を参照してみる.たくさん本があるので見たことのあるものを中心にある程度取捨選択をしていることに留意を.

まず WHO bluebook から

WHO Classification of Tumours of the Urinary System and Male Genital Organs (2016)

これは 4th edition の本.恐らく今後数年以内に 5th edition が出版されると思われるので急いでいるあるいは今後泌尿器領域を専門とするのでなければ敢えて購入する必要はない.しかしながら疾患分類の基本の本と言える.

Urologic Surgical Pathology (2019)

泌尿器領域における中心的なテキスト(乳腺でいう Rosen, 軟部でいう Enzinger etc 的な位置付け).ちなみにどうでもよいが,泌尿器領域の病理診断の本を検索するときには uropathology あるいは genitourinary pathology というキーワードで検索をするとある程度網羅的である.

泌尿器病理診断アトラス: 臨床と病理の対話で学ぶ (2021)

検索をしているとこういう本も見つかった.まだ読んでいないが,都築豊徳先生は泌尿器病理では世界的に有名で恐らく間違いはないのだろう.

Uropathology: A Volume in the High Yield Pathology Series (2012)

だいぶ古い本で正直購入はおすすめしないが,かつて自分が愛用していた本で今でもたまに見る.High Yield Pathology Series は箇条書きでとても参照しやすい.皮膚と合わせて愛用している.


腎生検についても言及をしないわけにはいかないのだが,腎生検自体は不得手.腎病理の先生たちがよく使っている,あるいは読みやすそうな本を数冊挙げる.

Diagnostic Pathology: Kidney Diseases (2019)

Colvin の本として有名.箇条書きで読みやすく,情報量が多いとのこと.

Heptinstall's Pathology of the Kidney (2014)

いわゆる大御所的な本.そろそろ改訂が望まれる.

腎生検病理診断取扱い規約 (2019)

日本腎病理協会が腎生検病理アトラス改訂版を出しているのに,なぜここで規約を発行する必要があるのかという本質的な問いはさておき,簡潔にまとまっており,参照するのには便利.

ジョーシキ!腎病理診断エッセンシャル (2020)

腎病理のみかたについて,基本的なところから丁寧に解説されている.きちんとやるならとても良い本.

腎生検診断Navi (2016)

腎生検を始めた人あるいは腎生検なんぞ見る必要がないという人向け.人間に理解可能な言葉で記載されている.


病理診断を学ぶ 〜 心血管

循環器に関する本は正直ほとんどないし,そもそも提出される検体のバリエーションも少ない. 提出される検体のほとんどが非腫瘍性疾患と思われる.

正直個人持ちする必要はないと思っているが,どのような本があるのかを知っておいても良い.

循環器診療に活かす 心臓血管解剖学 (2016)

循環器病理について情報を求めるときの多くは病理解剖のときだと思われる.結局の所心臓の解剖がわかっていないと,先へは進めない.結局こういう本が必要だったということになる.

Practical Cardiovascular Pathology (2021)

この 2021 年の本は見ていなくて,前の版の本を愛用していた.アミロイドーシスや心筋梗塞など知りたいような内容がだいたい記載されており,非常に有用である.

Cardiovascular Pathology (2022)

この本の前の版を使っていたが,正直とても使いやすい!というものでもない.厚みがあって情報量は多いし,比較的定期的にアップデートされている.


昔の本として心血管病理アトラスなどがあったが,古すぎるので省略した.

病理医としてのキャリアパス:中間点

# 次はいずこへ どどたんせんせはいわゆる around 40 で,この職場で留まるべきか次にどこかに行くべきかをそろそろ悩まなくてはいけない感じなっている.ある程度 public なこういうブログで書くべきかは悩ましい感じもするが,ごく普通の人の普通のキャリアパスについての具体...