2017/05/27 1st edition.
2017/12/25 Last updated.
○ 明らかな良性病変はとりあえずそれでいい・明らかな良性についてはあまり詳しく述べる必要はない
・しかし,まだ専門医を取得していない人は指導医のチェックがある
・はっきり言って次に書く項目は抜けていたとしても致命傷ではないが(CMV, HSV は重症くらいか),良性と診断する前に次のポイントを確認しておく.いわゆる転ばぬ先の杖的なもの
○ 炎症細胞浸潤の有無については要注意
・胃生検や結腸直腸生検では炎症細胞浸潤というのは通常あるものなので,気にしないかもしれない
・しかし通常は食道粘膜扁平上皮に炎症細胞浸潤(リンパ球,好中球,好酸球など)はないので,少量でもあれば記載する必要がある
・それは原因はなんであれ,食道粘膜障害を示唆する所見になるからである
○ 角化,顆粒層の出現
・顆粒層や角層は通常皮膚で見られる構造物
・これが食道粘膜に出現するというのは端的にいうと「皮膚のような構造物になっている」ことになる
・言い換えれば,慢性的な刺激に対して皮膚のように防御している状態が示唆される
○ Glycogenic acanthosis
・上皮細胞内の細胞質が明るくなることがある
・PAS 染色を行うと紫色の顆粒が見え,グリコ-ゲンを多く含む扁平上皮の過形成(≒数が増える)だが,病的意義は乏しい
・内視鏡所見ありとしてまれに生検される
・どどたん先生は臨床医が glycogenic acanthosis として採取したと明示しない限り記載していない(病的意義が乏しいのと,glycogenic acanthosis 自体がそもそも程度問題でもあるため).
○ Candida, CMV (+ HSV) を見逃さない努力
・食道炎の原因は色々あるが,真菌・ウイルスはなるべく HE でも見つける,あるいは疑う努力をすること
・普通は内視鏡所見でわかるはずで,内視鏡の所見の記載を読み落とさないように(内視鏡の写真を見て判定できるようになれ,とまでは言わない).
・もちろん PAS,グロコット染色で比較的容易に判別できるが,ルーチンで染色を行わない施設もある
・特に,免疫不全の患者ではサイトメガロウイルスは見つけないと治療方針が変わってくるため,一言でも「臨床的に疑われる」という文言を見つけた場合には CMV 染色を行うべき(早期の CMV 感染では形態学的には証明できない)
・Candida, CMV, HSV 感染については教科書あるいは典型症例を頭に叩き込んでおかないと,いざ見かけたときに対応できない
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