# Introduction
- 過形成は,組織や臓器を構成する細胞数の増加によって容量が拡大する現象である.
- 主として細胞分裂能をもつ組織に生じる可逆的な適応反応を指す.
- 生理的条件下ではホルモンや成長因子による刺激により起こり,機能需要に応じた組織量の調整として働く.
- 一方で,慢性的な刺激や異常なシグナル伝達によって生じる病的過形成は,しばしば腫瘍発生の前段階とみなされる.
- 過形成は「増える」ことそのものではなく,増える必要があったという環境の記録として理解されるべきである.
# Body
過形成は発生の背景と制御機構により,生理的過形成と病的過形成に大別される.
## 生理的過形成
- ホルモン性刺激や組織修復の過程でみられる.
- 代表的な例は,乳腺の妊娠・授乳期における腺上皮の増生や,肝臓切除後の再生性過形成である.
- この過形成は刺激が消失すれば可逆的で,組織構築は正常範囲内に保たれる.
## 病的過形成
- 慢性的なホルモン過剰(例:子宮内膜過形成,副腎皮質過形成)や,慢性炎症・感染による刺激(例:HPV 感染による上皮過形成)により生じる.
- 制御機構が部分的に破綻しており,持続的刺激が腫瘍化の温床となる.
- 特に上皮系組織では,過形成と異形成の境界が診断上の重要点である(が,しばしば難しい).
## 形態学的特徴
- 細胞数の増加による上皮層の肥厚や腺構造の拡張が主体である.
- 核異型や細胞極性の乱れを伴わない点が腫瘍との鑑別に重要である.
- 長期化した過形成では間質反応や線維化を伴い,慢性刺激の存在を示唆する.
# Practical Approach
- 過形成を観察したとき,まずその刺激の性質と持続性を推定する.
- 細胞が増えるにはそれなりの理由があるはずである.
- ホルモン性,機械的,炎症性など背景によって意義が大きく異なる.
- 病的過形成では,異型の有無・分布・層構造の保持を評価し,腫瘍性変化との連続性を考慮する.
- 「単なる過形成」で終わらせず,その過形成が何を代償し,そして何を誘発しようとしているのかを読む.
- 過形成は,組織が刺激に対してまだ“秩序を保って増えている”段階を示すものであり,腫瘍との違いは「制御が残っているかどうか」にある.
0 件のコメント:
コメントを投稿