# Introduction
- ある分化成熟した細胞が,環境により異なる分化方向の細胞へと置き換わる可逆的変化を化生という.
- 組織幹細胞が異なる遺伝子発現プログラムを選択して分化する結果として生じる.
- 新しく別の細胞が異常な方向へ変化するのではない.
- 本来,環境変化に対して組織が防御的に適応しようとする反応で,もとの機能を失う代わりに生存性を高める代償的戦略である.
- 刺激が長期に持続すると異形成を経て腫瘍化へ至る場合がある.
# Body
発生の背景により,主として上皮性化生と間葉性化生に分類される.
## 上皮性化生
- 慢性刺激により,上皮がより耐性のある型へ置き換わる.
- 代表例は,喫煙や慢性気管支炎に伴う気道上皮の扁平上皮化生,胃食道逆流によるBarrett 食道(円柱上皮化生),慢性膀胱炎における扁平上皮化生などである.
- いずれも本来の機能(線毛運動や分泌機能など)は失われるが,物理的・化学的刺激への抵抗性が得られる.
- 持続刺激下では DNA 損傷の蓄積や分化制御異常により異形成 → 癌化が進行しうる.
## 間葉性化生
- 線維芽細胞などの間葉系細胞が骨・軟骨・脂肪などに分化する現象で,骨化性筋炎や慢性炎症巣での軟骨形成などが例である.
- この変化も可逆的だが,刺激が持続すると組織構築が恒久的に変化する場合がある.
## 形態学的特徴
- 上皮化生では,細胞の極性変化と細胞質性状の変化(粘液性 → 好酸性など)が主体である.
- 異型が目立たない範囲では単なる化生と判断されるが,異型の出現や層構造の乱れがみられる場合は異形成との鑑別が必要である.
- 細胞診(特に子宮頸部細胞診)では,化生細胞に異型的な変化が見られた場合,異型化生 atypical metaplasia という用語を当てる.
# Practical Approach
- 化生を認識した際には,まずその刺激源と方向性(どの細胞型からどの細胞型へか)を推定する.
- 上皮性化生では,環境刺激の持続時間と再生の繰り返しが鍵であり,これが腫瘍化リスクの判断に直結する.
- Barrett 食道や胆管上皮の化生などでは,背景炎症の持続・酸化ストレス・再生促進因子の関与を考慮する.
- 病理診断では,化生「刺激に対する組織の再プログラミング」に対する機能の変化であり,機能変化が形態に反映されていると考える.
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