2017年7月24日月曜日

子宮頸癌取扱い規約 病理編【2. CIN と SIL の関係】

2017/07/24 1st edition. 

○ CIN と SIL の関係 
・細胞診の SIL としては CIN1 = LSIL, CIN2, 3 = HSIL と読み替え可能
・CIN2, CIN3 の区別について:WHO 2014 では CIN2, CIN3 を分ける意義は乏しいとし,HSIL と一括して記載しているが,CIN3 になると conization になってしまう(≒ 流産しやすい)ため,妊娠,出産希望の女性患者の場合には可能な限り CIN2 と CIN3 を区別するよう要請があるかもしれないと記載されている.日本では産婦人科医からの要望が強く,従来通り CIN2, CIN3 を区別して記載する

○ CIN1, LSIL 
・CIN1 は平坦な病変で, 60% は消退,30% は遷延,10% は HSIL へ移行
・コイロサイトーシス:そもそも HPV 感染を表す形態学的な「所見」に過ぎなくて腫瘍 (CIN1) とすることに違和感がある人がいたが,組織像のみでの鑑別は難しいことも多く,再現性も低い,また鑑別に臨床的な意義が乏しい
・以上から WHO 2014 では HPV 感染と腫瘍性増殖をあわせて LSIL とした
・腫瘍性増殖の時に基底層より 1/3 に留まるまでの増殖を言うが,異常核分裂像,多形性など明らかな異型が見られれば CIN2/HSIL と記載(従来は基準を厳密に適用すると CIN1 と判定されていたもの)
・これと関連して,25 ページの表は分かりにくくて,CIN1 と HSIL がかぶっていて,この規約でも CIN1/HSIL という category があるようにみえるけど,本文中を読み解いていくと,(従来の規約で!)CIN1 となった症例は,今回の規約では HSIL とし,さらに CIN1 ではなくて CIN2 とする,ということなので,CIN2/HSIL と記載することになっている
・Condyloma も LSIL, CIN1 に含まれている

○ 講演会で個人的に聞いたことを踏まえた感想 
・LSIL は HPV 感染を指すのみで,HSIL は DNA に組み込まれた腫瘍性増殖を指す
・だから腫瘍性増殖が見られたら,もはや HSIL となる,ということになる,だから CIN1/HSIL という表記が成立しうる,とのことであった
・でもこの取扱い規約を見る限りは,CIN1/HSIL と記載する余地はなさそうで,なんか規約に書いて有ることとは違うが,,,,

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