【Last updated】2024/11/07
乳腺の解剖・組織
正常を知らずして異常がわかるはずもありません
末梢乳管+小葉 = terminal duct lobular unit という単位を形成
ここが乳癌の発生母地と言われている
乳管,小葉のいずれも本質的には似たような構造で,内腔側の腺上皮(乳管上皮)と基底膜側の筋上皮からなり,腺上皮と筋上皮の二相性を呈する
この二相性の特徴は「腫瘍の浸潤」を評価する上で非常に重要なポイント
乳管は集まって最終的に乳頭に開口する
乳頭部付近では乳管が複雑に入り組んで一見悪そうに見えるので要注意
あくまで筋上皮細胞が見られることが浸潤を否定する根拠となる
乳管,小葉は基本的に乳腺間質という膠原線維性の結合組織の中に埋まるようにして見られる
乳腺間質周囲には脂肪織がある
癌の波及度の評価の際に「乳腺間質 → 脂肪組織 → 皮膚(多くは真皮)」と広がる
エコー上では他にクーパー靭帯が重要な指標として用いられている
実際組織標本で見てもよくわからないし,教科書でもあまり言及はされていない
おそらく乳腺間質も靱帯も同じ膠原線維からなっており,区別が難しい
乳癌の名称
WHO 分類では浸潤癌 invasive carcinoma という名称を用いているが,日本では浸潤性乳管癌 invasive ductal carcinoma という名称がまだ一般的
乳管癌が乳管発生,小葉癌が小葉発生というわけではなくて,いずれも乳管から小葉へつながる一連の terminal duct lobular unit (TDLU) 由来だということがわかってきたため,ductal carcinoma と記載する必要性が乏しくなった
とはいえ,従来の乳管癌と小葉癌は形態的にも病変の広がりという意味でも多く異なっており思考の整理として有用
従来の乳管癌は ductal carcinoma in situ -> 浸潤すると invasive carcinoma となる
癌取扱い規約と WHO bluebook には相互に齟齬があるが,なるべく WHO に寄り添いながら説明をしていく
癌取扱い規約についてのあれこれ
乳癌取扱い規約は以前から他の癌と比べて,独自路線をひた走ってきたと言われている
浸潤性乳管癌の亜分類 tubule forming / solid / scirrhous は世界的には Histological grade で集約されている
乳腺病理の大御所先生たちはどうやらこだわりがあるようで?18 版でも同様に継承されている
乳癌だけではないが,世界基準に合わせるべきという意見と,日本独自の分類で世界にエビデンスを発信すべきだという考え方があって,どちらがいいのかしらね
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