2017/06/25 1st edition.
2017/07/07 Last updated.
○ 反応性変化 vs 低異型度管状腺腫
・胃生検では再生異型と癌の鑑別は永遠のテーマであったが、結腸・直腸生検ではあまり問題にならない
・むしろこれを腫瘍とすべきか悩むようなどーでもよいがどーでもよくない病変に遭遇することが多い
・正直程度の強い反応性変化と異型のとても弱い管状腺腫の区別は難しいが,弱拡大で見たときに領域性に腺管が増えていれば管状腺腫というふうに便宜上持っていっている
○ リンパ腫(特に diffuse large B cell lymphoma)vs 低分化な腺癌
・迷ったら免疫染色をすればよろしい.そのためには迷えるだけの経験が必要
・頻度からすると腺癌のほうがよっぽど多いので,たまにみるリンパ腫に気づけることが重要
・リンパ腫の増殖パターンは独特で,個在性,核の多形性が強い,あと necrotic debris が多い印象
○ 女性の場合は内膜症には特段の注意が必要
・結腸直腸の内膜症を腺癌と間違えるなというのは有名だけど,結構みんなスルーしてしまう
・よーーーーーーーくみると,結腸の腺管と内膜腺は異なる見え方をするが,三流病理医には無理
・あとヒントになるのは間質の変化(単調な紡錘形の間質細胞,分泌期後期であれば間質が decidual change を起こす)でそこに気づけば,ER, PgR, CD10 出して決着が出る
・腺癌っぽい増殖の仕方(形が乱れ場所が不規則なところにある)けど,異型が弱い場合には内膜症を疑う
○ 癌との鑑別が難しい時にやるべきこと~なにはともあれ deep cut 5 枚
・難しい要素として病変が小さい場合は deep cut をするだけで診断がつくことがおおい(深切りにまさる特染なし!)
・deep cut をつける際に,p53, Ki67 を追加で出すとよい(deep cut 前・後かは検体の性状による → 要はどっちでもよい).
・p53, Ki67 の評価は難しいが,いずれも表層まで陽性になっていれば,より癌として強いニュアンスを持つ.あとは自分が非腫瘍部と思っているところと,腫瘍部とおもっているところに解離が見られること
○ 癌との鑑別が難しい時にやるべきこと~Group 2 の付け方
・Group 2 は基本的に sessile serrated adenoma/polyp (SSA/P) に対して用いる(過形成性ポリープにはつけない)
・変性が強くてそもそも腫瘍性かどうか判定しにくい場合にも Group 2 をつける
○ 癌との鑑別が難しい時にやるべきこと~Group 4 の付け方
・Group 4 を付ける場合には,基本的に「腺腫」vs 「腺癌」の鑑別が難しい場合が多い
・どこまでを腺腫とするか,どこからを癌とするかは指導医と要相談(病理診断というのはある種の記号で,極論どちらでも良く,臨床医と連携が取れていれば実際はどういう診断をしていても)
・生検であれば鑑別が難しい,という記載は許容される.
・手術検体,ESD 検体については多少味をつけて腺癌としても良いと個人的には思っている
○ レポートの記載の仕方
・Colitis (Proctitis) vs inflamed colonic mucosa
・非腫瘍性病変の場合,炎症の見られる結腸粘膜組織に対して colitis と書くか,inflamed colonic mucosa と書くかは流派による
・結腸直腸粘膜組織は通常でも炎症細胞浸潤が見られており,いわゆる腸炎と正常腸粘膜の差は実は明確ではない
・どちらを使ってもよいが,つく指導医によって突っ込まれる可能性があり,こればかりは仕方ないとあきらめる
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