2017/07/03 1st edition.
2017/9/14 Last updated.
○ 尿路上皮とはなにか?特徴があるようでない上皮
・尿路上皮=移行上皮であり,表層には傘(表層)細胞 umbrella cell がかぶさっている
・尿路上皮は重層するように見えるが,全て基底膜と連続している
(例:集合写真ではみんな顔が映るように背の高さを違わせているが,全員地面に足がついている)
・尿路上皮は角化や腺腔構造,線毛など明瞭な構造がなく,もともと特徴が乏しい
・尿路上皮が腫瘍化した場合にしばしば尿路上皮の形態学的な特徴がなくなることがある → Uroplakin 等の免疫染色で一応認識できるが,尿路上皮に特異的といえるマーカーは少ない(なぜか CK5/6 や p63 といった扁平上皮のマーカーが陽性になる)
○ 膀胱の上皮性腫瘍は flat か papillary かがとても重要
・非浸潤性の尿路上皮癌は
平坦な病変:urothelial carcinoma in situ
乳頭状増殖:non-invasive papillary carcinoma, low/high grade
の 2 種類に分けられる
・乳頭状病変だと認識しやすく TUR されやすいが,平坦な病変だと TUR しにくくなるためどちらの病変なのかは重要
・しかし,浸潤してしまえば平坦なのか,乳頭状かどうかは関係なく,invasive urothelial carcinoma (定義上 high grade だが,たまに臨床医から grade は?と聞かれる → high grade ですと答えれば良い) になる
○ ちょっとでも乳頭状構造が見られれば papillary urothelial carcinoma とする
・乳頭状尿路上皮癌は一応膀胱鏡下で認識しやすく,TUR という治療が選択できる
・よって腫瘍上皮に線維血管間質の介在が見られれば(上皮の間に間質を含むことが「乳頭状」の定義になる)きれいな乳頭状構造ではなくとも,papillary urothelial carcinoma として診断
・丈の低い場合は「低乳頭状 low papillary」という用語を用いることができる
・異型の弱い乳頭状尿路上皮病変:乳頭状構築がきれいに出てくれば,上皮の異型は弱くとも積極的に non-invasive papillary carcinoma, low grade とつけやすい(上皮の異型が強ければ high grade)
・ちなみに異型の弱い乳頭状尿路上皮病変については WHO 分類で papillary urothelial neoplasm of low malignant potential となっているが,定義や区別も若干曖昧であり,現行の取扱い規約では合わせて non-invasive papillary urothelial carcinoma, low grade としている.どどたん先生的にも,low malignant potential の病変は再現性が低い印象を持っており取扱い規約の方針に賛成している
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