2017/07/03 1st edition.
2017/9/14 Last updated.
・病理総論的には前立腺癌は基本的に(いつくかのまれな例外を除いて)腺癌
・前立腺の領域では Epstein 先生たちがあまりにも有名で,ある種の独特な世界を作っている → https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26956509
・腺癌の grading の根拠となる Gleason score は何年かに一回「びみょー」な変更がされている.多分見比べてみないとぱっと見分からない
○ 前立腺生検は弱拡大で見る 〜 細胞異型は評価しにくい
・一般的には次の 2 点が重要だと言われている
1. 前立腺は弱拡大で見ること
2. 癌の診断には二相性の消失が重要
・理由ははっきりと書いていないことが多いが「前立腺癌は細胞の異型だけでは評価できない」 (→細胞異型はあることもないこともあって,細胞異型がなくても腺癌であることを否定できない)
・病理総論の細胞異型,構造異型のうち,構造異型で評価することが多い
・(細胞異型を見ないで)構造異型を評価するためには弱拡大の方が認識しやすい
・どどんぱ先生は弱拡大 → 強拡大で評価するのが面倒くさいから初めからある程度倍率を上げてみているけど,それでも普通は対物 10 からせいぜい 20 倍までしかみない.
○ 前立腺の構造異型とは?
・構造異型を端的に表したものが Gleason score の図(Gleason Grading system diagram)
・Gleason Grading system diagram を眺めると分かるが,前立腺における腺癌というのは基本的に小型の腺管を指している
・つまり小型の腺管が密に増殖することが前立腺における腺癌の基本形態で,癒合腺管や孤在性増殖,面靤壊死など特殊な構造が Gleason score 4, 5 あたりで認識できる
・結果として細胞異型を細かく見るよりも,小型の腺管の密な増殖(≒構造異型)を評価することが重要で,弱拡大で見た方が見つけやすい
○ 前立腺の 1 腺管レベルでの癌を示唆する所見
・前立腺癌の勉強し始めの際に個々の腺管単位での良悪性の判定方法を習う人も多いはず
・言われているほど実際にはあまり有用ではないが,それでも知っておくと癌であることをひと押しするのに役立つ
・二相性の消失:前立腺は外分泌腺なので,内腔の腺上皮細胞と外側の筋上皮細胞を有する.そのうち筋上皮細胞が消失することが癌の特徴(実質は定義になっている)ということ
→ 1 腺管単位で見ていくと二相性の消失が HE レベルで確認しにくいことも多い
・腺癌細胞の核には明瞭な核小体がある:腺上皮に細胞に細胞異型がほとんどない腺癌もあるので,結局は構造異型を頼ることになる
・腫瘍腺管には crystalloid (針状の結晶物)や酸性粘液があればより腺癌を示唆する
→ 100% ではないが,ほぼ 100% に近い所見.ちなみにアミロイド小体(丸い層状の沈着物)があると腺癌は否定的
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