2023年2月11日土曜日

病理診断科への勧誘

# 勧誘の必要性

そろそろ新規の勧誘をせねばということで種を撒く意味を込めて,今日はちょっと病理診断科の魅力について話をしみてみようかと思う.その前に病理と臨床の校正の原稿や他にも執筆する原稿があるが仕方ない.ちなみにここでは勤務時間の調整がし易いとか子育てしやすいから,とかそういう安直な議論はしない.なわけ無い.

どこから始めるか悩みどころだけど,まずは現状の認識から.


# 病理診断従事する医師

結構異論はありそうだが,多分病理診断に従事している人は大体 3000-4000 人程度と考えられる.専門医の番号が 3000 番台半ばであり,レジデントは当然専門医を持っていないし,専門医を持っている人でもほとんど研究にシフトしている人もいるため実際の数は不明である.

そして他の診療科と違うのが定年後もよくも悪くもダラダラと働き続けられることで,体力等に応じて病院や検査センター等働き方を選べるという点にある.自分の知っている限りでは 80 歳を超えても働いている人がちらほらいる.いい加減流石に止めてほしいけど.他の診療科に比べて手技的な要素よりも知識,経験的な要素が大きく,知識の寿命が比較的長い.もちろん新しいことが常に生み出されているのは病理に限らず,常に update が必要だが,基礎ができていれば講習会をちらほら聞くだけでも十分なことが多い.


# 病理診断科の特性

診療科としての特性上,患者を見ないのだがそれをメリットと感じるかデメリットと感じるかは人それぞれである.ただし,初期研修を終了しかつ病理診断に対して本腰を入れてやっている人ならわかってくれると思うのだが,病理診断科はれっきとした「臨床」にほかならない.外野からは顕微鏡を見ているだけと思われるかもしれないが,顕微鏡を通して見える風景を臨床的なコンテクストでどのように解釈するのかその価値判断が臨床医の先生がやっている診療そのものである.表面的なものだけにとらわれずにもう少し深いところを覗いて見てほしい.

もう一つ,すべての診療科を対象にして臨床医と対等に議論ができるという点は特筆すべきポイントである.自分は学生の時からいろいろなことを勉強したい,理解したいという漠然な欲求を持っていて,残念ながら能力がついていかずに試験の成績もいまいちであった.例えば皮膚科や整形外科の領域は学生のときはマイナー科目で,正直疾患の体系の理解すら危うい感じであった.もちろん今だって完璧かと言われると微妙だが,少なくとも疾患については教科書を参照しながらある程度は語ることができる.多分臨床にそのまま進んでいたら行く診療科にもよるけど分からないまま「それは専門ではないので」と扉を閉ざすことになっていたかもしれない.

もちろん他の診療科を批判しているわけではないし,それぞれ(進まなかった自分には分からないが)魅力を持っているはずである.みんなちがってみんないい.


# 他の診療科との違い

すべての診療科を俯瞰する診療科として放射線科や総合診療科,ある程度集団が限定されるが産婦人科や小児科もあるだろう.手技を含む診療を捨てた代わりに,確定診断を担うという立ち位置を獲得し臨床医と対等に議論をする事ができるのが病理診断の魅力と言える.

学生や初期研修医の先生が我々の仕事を 1 から 10 まですべて覗く機会はあまりないかもしれないが,自分の診断業務の中では,標本を見る 3,調べ物 3,切り出し 2,おしゃべり(症例のディスカッション)2 くらいの配分になる.勤務施設によるが,大学などでは症例に関する議論をすることが多い.それは病理医同士や,床医に電話をすることもある.自分は臨床医への電話の敷居がとても低いので,ちょっとカルテを調べてわからないことは直ぐに電話をしている.その時に病理診断報告書を見るだけでは伝わりにくいちょっとした tips を織り交ぜてついでに情報提供をするのが良好な関係性を作るポイントなのだがそれはまた別のお話である.


# 病理診断業務としての勉強

そして,業務の中では本を読んだり文献を調べたりという要素がかなり多く占める.特にレジデントのときにはそれで時間がかかるといっても過言ではない.もちろん病理学的所見については丁寧に教えているが,それを聞いてさらに自分で調べて納得し,鑑別診断を含めた周辺情報を仕入れるということが診断技術向上のために必要である.業務とは勉強を含めた総合的なものと言える.

業務の中に勉強が含まれることには副次的な効果がある.参照する文献は必然的に英語が多くなるのと,病理診断において保険診療はほとんど関係ないので(厳密にはあるが),英語の教科書の内容をそのまま使える.多少の違いを無視すれば病理診断は global といえる.学生の頃熱心に英語の勉強をしていて,社会人になってから使う機会がないから錆びるかなと思っていたが,参照する教科書の多くが英語で,結局日々,維持向上している.ただ最近は ChatGPT や Bing AI, Bard が登場してきて雲行きが怪しくなっているが(それもまた別の話).


# 収入面のお話

収入面に関する議論は避けて通れないのでここで言及する.昔は病理は稼げない,実家が太くないと病理医をやっていられないと言われた時期もあった.でもそれは病理学の研究者としての話で,病理診断医として働く限り,他の診療科とはそこまで変わらない.ただし,病理専門医を取るまでは一人前とみなされないので一人で sign out ができないなどの制約がつくことが多い.個人的には不満で,臨床医は専門医の有無に限らず独立して診療をしているのに,病理医は非専門医は常に仮免扱いなのは不公平だと思っていた.

でも考え方を変えると,専門医取得後は独占的になり,他の人の参入を実質的に締め出せるので,頑張って欲しいところ.昔は 5 年だったが 4 年,3 年と研修期間が短くなってきている.でも試験の内容は 5 年の時から変わらないので大変かもしれないが,きちんとステップを踏めば確実に到達するし少し時間がかかっても構わないと個人的に思っている(専門医機構は受験回数の制限等と不穏なことを言っているが).

専門医取得後は検査センターなどで働くとかなりコスパがよい仕事が得られる.莫大な収入というわけではないが,単価は相当高い傾向にある(検査センターで働いている人は時給換算で 20000 万円/hr 程度の働き方をしていることが多く,やりようによっては 3-6 万円 /hr といった働き方も十分可能).


# 落ち葉拾い(顕微鏡を見るのが苦手?)

そろそろ落ち葉拾いをして,畳み込みをかける.顕微鏡を見るのが苦手とか教科書を読むのが苦痛だから病理は合わないという人をちらほら見かけるがそれはもったいない.

実際,自分は病理学実習まで顕微鏡の両眼視ができなかった.片眼が弱視なのもあってそもそも両眼視すること自体を諦めていた.でも実習中のある瞬間に両眼で立体的に見ることができて感動したというのは入るきっかけになった理由の一つ.顕微鏡が苦手と言っている人でも殆どのケースで一ヶ月見続けていれば次第になれてくるので全く問題ない.

メガネでもなんでも見ることさえできれば病理診断をするのには問題ないし,今後は WSI でパソコン画面で診断ができる可能性が高い(実際 PMDA 認証を受けている機器が数種類あって,するかしないかは別にして可能である).


# 落ち葉拾い 2 (本を読むのが嫌い?)

後教科書を読むのが苦手という人が多いが,自分も教科書を cover to cover で読むのはあまり好きではない.峰先生や electric mouse みたいな変人のみができる所業.しかし,教科書を読むのは苦手でも分からないことに対していろいろな方法で調べることが嫌いな人は少ないと思っている.

わからないことを調べて解決するという体験から得られる快感とそういう積み重ねが自信につながる.わからないものを理解したいという欲求は誰でも持っているものであり,仕事として真正面から取り組めるのは病理のメリットと考えている.


# まとめ

もちろん強制するものではないし,強制はできないのでせいぜいどうですか?という程度に留まる.この記事を読んで,どこかにひっかかるところがあれば是非見学にいらしてください.お待ちしております.


2022年12月11日日曜日

病理専門医試験の総括(病理解剖編)

# 今年の病理解剖の試験は違った

例年の病理解剖試験はリード文(臨床経過)を読めば,主病変の診断がわかるような問題設計がなされていたが,今年は過去十年程度ではおそらく初めて?リード文だけでは主病変が判明しない問題であった.例年からは主病変はリード文でほぼ決まってくる症例ばかりであった.

その一点において,過去とは異なるため少し難易度が高く感じることがあったかもしれない.詳細は実際の標本が閲覧できる状態(剖検講習会)まで待つ必要がある.


# しかし主病変は過去に出題された IVL であった

血管内 B 細胞性リンパ腫 IVL 自体は過去にも出題されている(2002 年).その点においては過去問を丁寧に潰しておけば,IVL の概念自体を知らなかったということにはならないと思われるが,20 年前の問題まで丁寧にレビューすべきかという疑問は残る.

残念ながら yes と言わざるを得ない.これは病理解剖問題に限らず,I+II 型問題でも過去の問題が再度出題されることはある.ただし,疾患概念自体が変化し出題にそぐわない問題も含まれており,ある程度の取捨選択は必要である(病理専門医試験を受験しようとしている人にとってはその程度の差は十分に吸収できるであろう).


# 他の細かい話

例えば,脳梗塞の存在は肉眼所見等から類推可能であるが,膜性腎症や IVL については標本(WSI) から読み取って診断をする必要がある.WSI 自体は多くの施設や研究会等で採用されていることから見たことがない人はまずいないと思われるが,細かい操作方法は機種により異なる.現実的にはある程度の練習はしてもよい.

前立腺癌がオカルト癌として入っているのは定型的であろう.

フローチャートは例年通りで,がんから始まって最終的には呼吸不全,循環不全から死亡という定型的なストリー展開である.

GIST のようなリスク層別化されている腫瘍は副病変に入っている.高悪性度の場合は主病変に入れるべきかという疑問が残るが,おそらくその点はあまり心配しなくてもよい.定義のはっきりしないものはある程度採点時に考慮される(過去にも模範解答で副病変の肺炎が直接死因になったことがありそれも物議を醸した).

あと模範解答に免疫不全?と?を入れるのは個人的にどうかとは思う.受験生が使うのならまだしも模範解答に不確定な要素を含めるのはあまり良いとはいえない.


# 今後の傾向と対策

近年ガラスの標本から WSI に変化したことで出題の傾向が変わりうる.

WSI での出題が可能になったことで 100 枚以上同一の品質で作製する必要がなくなり,結果として,さらに希少な疾患や微小な病変の出題が可能になったため,これまでに出されなかった疾患が出題される可能性は考慮される.

最終的には各年の出題委員の意向に左右されるのだが,例年としては主病変はわかりやすいように,仮にわからなくても所見がきちんと記載できるような出題設計がなされている.

例えば,SLE や強皮症,ALS などの全身の臓器所見をきちんと暗記していなくても一つ一つの標本や肉眼所見を丁寧に拾っていけばある程度記載できるような配慮がなされている.特に近年では主病変は多くは過去に出題されている疾患がほとんどであり,過去に出題された疾患を YearNote や内科学の教科書を見ながら整理するだけでも十分過ぎるお釣りが来るはずである.

# おまけ

昔は同一症例で多彩な病変を含む解剖症例が選択されていたが,現在ではそのような症例を選ぶことが難しいらしく,複数の症例から組み合わせられているとされる.よって剖検症例の創作感が強くなり,本当にこんなに病変があっていいのだろうか?と思うかもしれないが,あくまで試験として対峙する必要がある.



2022年12月7日水曜日

病理専門医試験の総括(疾患当てクイズ編)

どどたんせんせは毎年病理専門医試験で公開された問題を集計してデータベースを作成している.そのデータベースからいくつか抽出して考察をしてみる.

# 全体的には正答率は上昇する傾向

言うまでもなく,病理専門医試験では同じ問題が繰り返し出される.そのため過去問を丁寧にレビューすることが点数を上乗せするために必要になる.

多くの疾患では過去に出題されたときよりも正答率は上昇している.正答率が 4 点を超えるようなもともと正答率が高めの疾患は多少変動する程度である.そのため,究極的にはよくある疾患は全員が応えられるために出題しにくくなるが,それでも全員解答できる事を考えると,学習の基本は過去問によるべきである.


# 過去に出題されたものの今回正答率を下げた問題

その中で正答率が明らかに下がった疾患は以下の通りである.

  • Adenomatous goiter
  • Amyloidosis
  • Asbestosis
  • Endometrial stromal sarcoma, low grade
  • Langerhans cell histiocytosis

問題の問われ方も多様化しており,疾患自体は知っていても設問に答えられなかった可能性がある.これらの疾患の共通点を指摘することは難しいが,例えば endometrial stromal sarcoma, low grade は leiomyoma/leiomyosarcoma との鑑別が難しくなることもあるし,Langerhans cell histiocytosis はある程度 working knowledge として鑑別診断に加えておかないと診断自体が難しい.教科書を参照できない状況下で診断を下すためにはある程度の経験を要する.


# 今回新規に出題された問題

分類の仕方によってだいぶ異なるが,2001-2021 までの過去の出題例から見て新規出題と思われる疾患を抽出してみた(亜型等での新規出題は除く).

  • # Mucous cyst
  • # Spirochete
  • # IgG4-related sclerosing cholangitis
  • # IgA nephropathy
  • # Granulomatous orchitis
  • # Adenomyosis
  • Serous tubal intraepithelial carcinoma
  • # Extramedullary hematopoiesis
  • Osteochondroma
  • # Toxoplasma infection
  • # Eosinophilic esophagitis
  • Metastatic clear cell carcinoma
  • # Lactating mammary gland
  • # Gynecomastia
  • T-lymphoblastic lymphoma
  • # Atrophic vaginitis

T-lymphoblastic lymphoma は ALL としては過去に出題されている.今まで(過去 20 年間に) IgA 腎症が出題されていなかったこと自体もびっくりだが,見てわかるように新規に出題される疾患の多くは非腫瘍性・良性疾患である.しかも日常診療で遭遇しうる絶妙なラインを問うている.特に今年はこの傾向が目立っている.

これは単に試験勉強ができているだけではなく,日常診断をきちんと行っているか,そして正常構造をきちんと把握しているかどうかという基本的な実力を問うている.あとは,腫瘍は遺伝子異常で診断される頻度が増えたため,古典的な HE 染色で診断というパターンが減っていることも考慮される.

特に細胞診の atrophic vaginitis は陰性症例として流され普段病理医の診断の場に登ってこない施設もあるかもしれない.病理専門医である以上は陰性症例であってもきちんと把握してその責任を果たしてほしい,というメッセージなのかもしれない.

# 今後の対策

今回の分析では過去問を完璧にすることで 82% の問題は正答を得られる可能性があることが分かり,疾患当クイズ (I+II 型) については現行の過去問やクイックレファレンスなどの勉強方法で十分である.

高得点を望む人や余裕のある人は「病理と臨床 2017年臨時増刊号 病理診断に直結した組織学」などの正常組織の復習するとさらに点数が上乗せされるであろう.

本記事ではあまり言及をしなかったが,I 型の○✕問題ではがんゲノム医療関連の出題も増えている.○✕問題は配点が少なくコストパフォーマンスが極端に悪いのだが,分子病理専門医を見据える意味でも勉強して損はないので,腰を据えてじっくり学習するのも良いと思われる.

法律関係や保険診療関係は学習をしようとしても幅が広くなるかつルールが変更されるので,深入りはおすすめしない.

2022年10月9日日曜日

国際協力的ななにか

 # Improvement of macroscopic pictures.

前回カンボジアに 2 年ぶりに行った時に,デジタルカメラを置いてきた.デジタルカメラと言っても,ASC サイズのミラーレス一眼レフカメラである.本当は full size の一眼レフカメラが良かったのだが,まぁ手元にあったカメラで使い道も特にないしいいかという感じ.マクロ写真撮影用カメラとしては十分なスペックである.

スマホでマクロ写真を撮るのでなくて,マクロ写真をこうして撮影してほしいという要望を込めて実際に切り出しを一緒に行ってこう使ってほしいと具体的なデモンストレーションをしてみた.

そこからしばらくして,様子を見ているときちんと使いこなしている!接写の写真も撮影しているし,検体の記録としては問題ない.さらに嬉しいことに,切り出し図を書くためにタブレットを導入しようかと考えているとのこと.ここ 2 年間その必要性を懇懇と説いてきたが,思わぬところで急に理解してもらえたような気がしている.

# How about other hospitals?

KSFH へ見学に行った時に病理部を見せてもらって,切り出しや診断の部屋などを見て回った.その時は特になんとも思わなかったが,後でふと写真撮影台がないことに気づいた.別の病院の先生に聞いてみたところ,他の病院がどうやっているか話し合う余裕はなく昔の話しかわからないと前置きをしつつ,一般的には肉眼写真は珍しい症例や特殊な症例などしか撮影しないと言っていた.

切り出しの段階でどうやって当該症例が珍しいのかを判断しているのか疑問に思いつつも,面倒を見ている検査センターでやっている手術検体の写真は全例撮影というのは結構彼らにとっては普通では無いことなのかと理解できた.そのようなトレーニングを受けて来なかったらそりゃ面倒だと思うに違いない.こういうのは実際に行ってみないとわからない.

# Quality Control

2021 年のコンサルテーション症例のうち自分が彼らの意見に同意したのは 50% であったのに対して,今年はそもそもコンサルテーションされる症例が少ないのもあるが,75% を超える同意である.実感としても大外しはしないし,残りの 25% も全く違うというわけではなくて,このように診断したほうがよいのでは?という修正も含まれている.もちろんこれはだめ!っていう大外しも若干は含まれている.

本当は 2020 年からやっておけばよかったと後悔しているが,とりあえずまぁデータを取得しておいて良かった.こうしないと振り返り自体が難しくなる.

# What's next?

次に考えているのは症例報告.資金的にも経験的にも自分ひとりでは不足しているので,両者ともに面倒を見てくれるメンターを確保済.まだこれと言える症例に出会っていないが,なんとかして結びつけたいところ.


2022年9月19日月曜日

スイスを行った旅行記みたいなもの 3

 # 落ち葉拾い

  • 飛行機に乗る際にはとても楽な格好をしたほうがよい.下はジャージと上はシャツという非常にラフな格好で飛行に乗ったが,完全に正解であった.一つ後悔すべきはスリッパを忘れたこと.これがあれば完璧だった.薄手のブランケットを持っていったけど,いらなかったかな.とはいえあまり荷物にもならないので次も持っていこうとは思う.
  • 思ったほど仕事はできない.滞在中にいろんな仕事を片付けてしまおうと意気込んでいたが,当然できない.これはもう諦めて仕事をしないほうが生産的の様に思った.
  • 現金はほぼ不要.変な話日本人の先生とご飯に行った時に割り勘にする時に使ったくらいでほかはクレジットカードの決済でいけた.引き落としのときがちょっと不安ではある
  • スイスは携帯電話がつながる必要がある.いわゆるフリー wifi のほぼ全ては SMS で認証をすることが法律で義務付けれられているようで,そのためには携帯電話をつなげる必要がある.契約次第だがフリーなのに余計なコストがかかる可能性がありちょっとめんどくさい.sim を契約する手間や面倒さを考え,結局楽天モバイルをそのまま使った
  • 9/7 以降の話,という前提で.PCR 検査が不要になったので,非常に行きやすくなった.MySOS アプリを入れて事前認証をするほかはほぼコロナ前の旅行と同様になっている.羽田空港でまあまあ歩かされた他には特に特段トラブルはないし,全体的にはほぼ許容範囲内と言える.
  • 運良くコロナにかからずに済んだが,正直どこに感染リスクがあるかはわからず,マスクはなるべくしておいたほうが良い気がする.特に海外では uncontrollable な要素が多いので.



2022年9月17日土曜日

スイスを行った旅行記みたいなもの 2

 # ヨーロッパ病理学会

内容的なものは多分書いてもすぐ陳腐化しそうでとりあえず置いておくにしても,すごく印象的だったのが,誰もマスクをしていないということ.正確にはマスクをしている人はいたけど,感覚的に 20 人に 1 人くらいで,屋内でも屋外でもあまり変わらない印象であった.ただ,つけている人をよく観察すると N95 マスクに近いような,ごついマスクを付けている人が多かった.そうそう,あとは会場の受付のスタッフはマスクを付けていた.

そこで会った病理医の先生にちょっと聞いてみたところ,「規制自体は撤廃されているからつけていない人が多い.自分は心配だから室内ではつけているけど」とのことで,一応マスクを持ち歩いているようだった.

後日談としても会場でコロナが集団発生という話も聞かないから,結局は大丈夫なのだろう.ヨーロッパにいると,どうしてもコロナなんかもう問題ではない,過ぎ去ったイベントだという印象を強く持つ.

# スイスの物価

言うまでもないが,非常に高い.比較のために Coca cola zero 500 mL ペットボトルの値段を定点観測していたが,ホテルの自動販売機だと大体 5 CHF くらいで為替は刻一刻と変わっているが,大体 700 円くらい.スーパーとかだと比較的値段は安めで,1.5 CHF 程度で購入可能だがそれでも,210 円で日本よりも明らかに高い.日本の 3-4 倍くらいと言う認識がちょうどよさそう.

スイスの人もやはり高いと認識しているようで,ジュネーブでは国境を超えてフランスに買い物に行くみたい.国境を超えると安くなるというのも変な話だが,全然価格が異なるそう.

# スイスの言語

公用語とされているのはドイツ語,フランス語,イタリア語で,結構場所によって話される言葉にだいぶ差がある.とりあえず英語は通じるが,バイリンガルとはいえないような人も少なからずいる.

バーゼルからジュネーブに移動する際に電車の中で途中から聞こえてくる言語が変わったことは気づいていたが,どこらへんが境界なのか興味のあるところではある.

フランス語を duolingo で勉強していて,ジュネーブでフランス語を少しだけ披露するととても喜ばれた.本当はもう少し話したかったけど,フレーズが出てこなくて残念.おそらくあと 1-2 年くらい勉強をすればいけそうなきがしている.

# 学会の中

学会の講演やポスターはまぁ一般的なもので新しいと感じた話題がいくつかあったほかは特段なく,あまり言及するほどでもないが,一つ挙げるとすると,

企業展示の多くがデジタルパソロジーと NGS を中心とした遺伝子パネル検査の 2 つが主流となっていたこと.他にごく少数の染色機器や顕微鏡があったくらい.オリンパスの人と話をしたけど,特に目新しい話題は出てこなった.

# 検査センターへ

ジュネーブにある,とある検査センターに訪問をさせてもらった.なんと時差ボケで 2 時間遅刻をかますという大失態をしたが,とりあえずなんとかなった.なんとかなってないかもしれないけど,遅刻したものはしょうがないので,ごめんなさいを繰り返すのみ.

検査センターは検査センターでなかなか興味深い話を沢山聞けたけど,多分 compliance の問題があってちょっと難しいそうなので詳細は省略.

# 結局学会に行ってよかったのか

当院(当科)はどうやら,国際学会は筆頭でも自腹か研究費をとって行けという方針になった?ようで,しょうがないのでしばらくは自腹でいくことになりそう.そのために検査センターの標本を眠い目をこすりながらぼちぼち診断をしている.検査センターに文句を入れたらコスパの悪い外勤を切ろう,そうしよう.

そこまでして国際学会に参加する意義があるのかと言われそう.個人的には多分あるんじゃないかと思って約 7 年くらいなるべくコンスタントに参加をしてきた.結果的にはありそうな雰囲気はあって,昔某放射線科の先生に言われたことは間違いではなかったのかなという気はしているが,本当の正解は誰にもわからない.

# 海外が better とは限らない

一応自分としては日本では他の大学への同一ポジションでの平行移動はしないと決めていて,次行くとすれば市中病院か検査センターか廃業(産業医?etc)と決めている.これまで複数回平行移動をしてきて,大学病院がどういうものかは十分分かっているし,経験の多様性という意味でもこれ以上よそを経験することで得られるものと異動による不連続を考えると,異動することのメリットが上回ることはさほどない.

他のオプションとして考えているのは,海外で病理医として働くというライン.某国であればすぐ行っても歓迎されそうだし,そうじゃない別の国でもいいかもしれない.資格上あるいはポジションの問題もあり,すぐには実現しないとは思うが,とりあえずアンテナは張り巡らせておく.

ただ,海外だからより自由で payment もいいという考えは多分捨てたほうが良さそう.フランスの病理診断事情を聞いていた時に,あれこれ日本と同じじゃない?と変に納得しながら聞いていた.おそらくどこの国でも大体の傾向は同じで,多少の差がある程度なんだろうと思う.どこにいても自由でかつ不自由.


2022年9月15日木曜日

スイスを行った旅行記みたいなもの 1

 # スイスは遠い

ヨーロッパ病理学会に演題を出してみたので,まあ行く必要があるかと言われると本当は微妙なのだが,とりあえず行ってみた.

比較的直前寄りだったので,ちょうどよいチケットがなく,また途中寄りたいところもあったので,かなり変則的なチケットになった.

# 日本→ドバイ→チューリッヒ

会場はバーゼルであったのだが,バーゼルまで行くチケットは非常に高く,折衷案としてチューリッヒ行きのチケットとした.それでもだいぶ高いけど.直行便のチケットを買う裕福さもなく,ドバイ経由の安いチケットに.

ドバイまでの飛行機はほぼ満席であった.よくよく見てみると,ドバイまで行ってそこからヨーロッパ各地へと飛ぶフライトがあるように見えた.ハブ空港までまずはお客さんを一括で乗せてそこから各地へトランジットさせる感じ.日系の航空会社ではなかったが,機内ではマスクをするように乗客にアナウンスしていた.

ドバイについたのは夜中だが,プライオリティパスの使えるラウンジは激混みと言える位混んでいた.料理もカレー的なものとデザートでお世辞にもバラエティ豊富とは言えないが,あるだけ全然マシと言えよう.シャワーもあるが,きちんと記入して置かないといけない上に,適宜顔を出して自分の名前がどこらへんにあるのかをチェックしないといけない.慣れればなんともないがちょっと面倒.

あとドバイの物価は非常に高い.ちょっと計算してみたが空港価格とはいえ日本で買うものの 4-5 倍はする.どうせ機内食も出るだろうしとここは我慢.

チューリッヒについたときにちょっとしたトラブルがあった.ポスターの筒が行方不明.Baggage lost へ行き確認してもらい戻って待つ,来ない,また行くを二回くらい繰り返し違うレーンに置いてあったことが判明.そりゃわからんわ.

# チューリッヒ→バーゼル

チューリッヒについてから電車でバーゼルに向かう.大体 1 時間くらい.チケットは結局 SBB mobile で買うのが便利だということがわかった.バーゼルに宿泊する場合は BaselCard というものが配られ,市内の交通機関は無料で使える.チェックイン前でも有効のようで,バーゼル駅までのチケットを買えばあとは宿泊者である旨を証明できれば ticket control のときも問題ないようだ.結局色々考えたがチケットは SBB mobile で購入した.意外と簡単であった(安くはなかったけど).

これは有名な話だが,スイスでは改札がないので,基本的にチケットを持っていれば十分.一度 ticket control があったが,スマホの QR コードを提示しそれをスキャンし終わりという感じ.一応正規で購入しているため問題はないはずなのだが,こういう違いは結構気になってしまう.多分一度やれば問題ないかと.

チューリッヒもバーゼルもみんなだいたい英語を話せるので問題ないが,電車内の掲示がドイツ語のみのものも多く,何書いてあるのかよくわからないという現象がしばしば起こる.重要な掲示は英語,ドイツ語,フランス語,イタリア語で書いており,実質は特に問題ない.

15 年目の悲劇

# 卒後は 17 年目,病理は 15 年目 自分は 2009 年に大学を卒業しているので,2026 年 4/1 現在だと,卒後 17 年目になる.卒後 15 年目のとか,20 年目の,みたいなタイトルの本を見るが,その節目を超えてさらなる大台に突入してしまった感じはある. 初期研...