2022年6月19日日曜日

オンラインのレクチャーを聴く

 # オンラインのレクチャーを流しておく

つい先日行われた臨床細胞学会のオンラインを聞きながら単位を取得.すべて聴けるのは良いが,総コマ数でいうとおびただしい数になってしまうので,とりあえず専門医機構などの単位取得を前提にちょこちょこと.

とはいっても,ちゃんと聞くと難しいのでとりあえず聞いたフリになるかな..ダラダラ聞いていても,いくつかはへーと感じることがあるのでこういうのも悪くはないとは思う.

ただ,active window にしないと放送が遮られるので,別の作業をしながらするときにはパソコンをべつにようしないといけない.まぁ自分はパソコンがたくさんあるので困ることはないけれども.

# 細胞診専門医試験を受験する人に

どうやら病理専門医試験が 9 月に行われる様になったために,細胞診専門医試験を受験する際に「病理専門医合格見込み」での申込みができなくなっているよう.ただし,現在交渉中で,以前と同様に見込みだそう.

うちでは細胞診専門医の価値が極端に低い.むしろ持っている方が損をするような仕組みになっている.これはさすがにどうなのかなという気持ちがしなくもないけれども.役職者が価値を見出していないということが多い気はしている.

臨床細胞学会自体が金にがめついという印象があるのは否定できないが,それはそれとしてある程度歴史のある学会である.専門医機構のサブスペに入れるかどうか,という懸念はあるが,少なくとも実地的には細胞診断に即して存在してきた学会であり,日本の細胞診断に大いに寄与していることは確実である.

諸外国と併せて鑑みると,細胞診専門医は例えば皮膚病理,血液病理などと同様にサブスペシャリティとして認知されている.そのため少なくとも自分は病理専門医+細胞診のサブスペシャリティがあると対外的に言えるし,まぁ実際ともそんなには相違はないか.

# 学会の準備をせねば

そろそろ学会の準備をしないといけない気もするが.そういえばまだ案内はないな.




2022年6月17日金曜日

病理検査依頼書の書き方

 # 結局まともな病理検査依頼書なんてかける人なんてこの世には存在しない

これが結論.病理医も臨床医もその点は間違えている.昔は「病理診断をするときに,臨床情報が不足しているのは臨床医の quality が低いかトレーニングが足りないからだ」と思っていたが,米国やその他でも似たような状況なんだなと理解してもう一度考え直した結果たどりついた結論.

# 病理診断をするときに依頼書のどこに着目しているのか

病理検査(診断)依頼書の書き方の講義をする病理医はたまにいる.そこでは大抵の場合は「〇〇や△△の情報を記載してほしい」という話し方がなされる.それは間違っていないのだが,そのなぜが伝わりにくくインパクトとしては弱い.

そこで,依頼書のどこに着目して書いているのかについて少し例を挙げて書いてみる.これを読んでもらえたら依頼書の書き方のイメージが少し湧くのでは?と期待している.

胃生検,60 歳女性.これくらいは書かなくても依頼を出す時点で自動的に付与されている.それを確認して標本を見る(臨床情報をあとから見る,という病理医もいる).胃底腺領域の胃粘膜内に癌があるな.しかも低分化.粘膜内だけど,いわゆる carcinoma in situ と呼べる部分がなく,腺癌の有り様としてはやや不自然.辺縁から採取したのであれば粘膜内進展として acceptable か.でももし中心部から採取されたのであればやはりおかしく癌の転移についてはどうなのか気になる.

と,ここで病理診断に必要な情報が出てくる.

  • 採取部位:胃底腺領域であることはよいとして,病変の中心なのか辺縁なのか
  • 他の原発性癌の可能性:既往歴があるのか,なければ全身検索はされているのか
ここでもし直近で乳癌の既往があるとなると,乳癌の転移の可能性はということで ER, PgR, GCDFP15, GATA3 などが施行される.肺癌があれば TTF1, etc という風に何を原発と考えるかで次の action がダイナミックに変わってしまう.女性だし乳癌の可能性も考慮しないと考え,免疫染色を行っている最中に,「結果どうですか?あっ癌の可能性がある?ちなみに右肺上葉に 5 cm 大の腫瘤が上部消化管内視鏡検査前に見つかっていて,こちらは別の肺癌かと考えています!」なんて言われた日にはなんで別って言い切れるんだよ!みたいな気持ちになってしまう.

でももし癌がなくて慢性胃炎であった場合には詳細な既往歴や臨床経過も無駄になってしまう.そうすると「要領悪く臨床経過をだらだら書きやがって!」という感想になる.さらにピロリっぽい菌をごく少数見つけたときに除菌後かいなかという情報がないとはっきりとものを言いたくなくなる.ピロリ菌は癌であれば(あれば記載をするが)ほぼ問題ない.

どこに着目しているのか,という答えは難しく,組織像によって必要な情報は変わるので本質的には難しい.答えがわかっているとそりゃたしかに必要だよなということになるのだが,答えが見えないのに解答に必要な補足情報を過不足なく提供するのは不可能で,病理検査依頼書がきちんとかけている先生は病理に出す前から病理診断の予測がついている事が多い.

# カルテを見ればいいじゃないか

たまにこういう臨床医がいる.カルテに詳細に記載しているのでそちらをご参照くださいと言われる.やってみればわかるがカルテを開くのは結構面倒.贅沢な病院では病理診断システムと電子カルテが相乗りしているところもあるが,電子カルテを別の端末で参照するところも少なくない.

たとえとして適切ではないかもしれないが,気持ち的には外来で患者を一人見て,すぐに処置室に様子を見に向かう感じ.施設によるが往復するのにも結構時間がかかる.それを患者一人に対して全てしろというのはあまりにも酷である.

コロナ禍での病理医としての働き方

書きながらちょっと話が途中から脱線しているが,それはそれでよいことにする.

 # 結局コロナはあまり働き方を変えてはくれなかった

もちろん現状ではまだ新型コロナウイルス感染症が収束したとは言い難いが,まぁある程度収束しているとみなしてもよいだろう,良くも悪くも new normal と言われている新しい生活様式が始まろうとしている.どちらかというと near normal が近いかな.総括ではないが.

病理医としての働き方をする上で,コロナは大きく変えてくれることを期待していた.在宅が中心で,職場に行くのは切り出しだけ,あとは WSI でスキャンされた画像が送られてきて自宅で診断を入力する.定期的に zoom や Teams で会議をしながら,youtube を見る.お気に入りの音楽をかけながらゆったりと仕事をする.

少なくとも自分のところではそれは実現しなかったし,他のところもほぼ通常営業をしている.病理はその仕事の有り様を大きく変えられるチャンスでもあったのだが.自分が長であれば間違いなくやっていただろうが,そこはしょうがない.

# やはり face to face での仕事は大切なのかもしれない

今日はレジデントの先生の診断を一緒に multiheaded microscope で議論をしながら診断のサインアウト(正確にはさらに上に上級医がサインアウトをする)をしていた.単に診断をチェックするだけならば,特に顔を合わせる必要はないが,一つの症例から学べることは多く,そういうときに脱線を踏まえながら見ていくほうが結果的に学習の効率という点では遥かによい.

例えば,大動脈粥状硬化症による動脈瘤を見たときに,典型的な粥状硬化がどのようにして形成されるのか,という病理総論の知識を踏まえつつ,さらに進行すると中膜の弾性動脈が断裂して血管壁が不明瞭になり瘤状に拡張することや解離を起こすこと,ときに炎症性大動脈瘤という炎症細胞浸潤が目立つような形態をとることを話す.解離は中膜外 1/3 に起きやすく,そして炎症性大動脈瘤の場合,形質細胞浸潤が目立っていれば IgG4 関連疾患や現在ではほぼ見ないが梅毒 4 期も鑑別に挙がること.そして梅毒では vasa vasorum が侵されることなどを話す.

最近では一つの症例や疾患に対して,診断ができるだけではなく,様々に語れることが大切なのかなと考えていて,例えば一つの大動脈粥状硬化症をとっても丁寧に説明している.こういう細かいことをきちんと聞いてもらえるように話をすることは face to face 以外では難しいような気がしている.つい先日米国から来日した病理医の先生の講演で質問をしても結局 face to face に戻ったという旨の話であった.

# Case based approach

自分は比較的初期から?学習をする際には症例ベースで学んだほうが結果的には効率がよいと信じていて,今でも実践している.結果的に診断がかなりゆっくりになっているが.

レジデントの先生と標本を見るときにも,当該症例をベースにして常に揺さぶりをかける.もし「AE1/AE3 陰性だったら先生は何を考える?」「臨床情報がなかったらどうやって鑑別診断を組み立てる?」「もし生検 3 個中に 1 個だけあった癌のある切片がないと仮定したら,どうコメントする?良性とだけ返す?」そうやって一本道しかないようにみえる簡単な症例の難易度を上げていって常に考えながら診断をするように促す.

ある意味ゲームみたいなお遊びだが,それをするはある程度熟練してかつ専門医を取得する前までの先生のみ.トレーニングのはじめの先生はまだそういう揺さぶりを耐えるほどの実力はないし,専門医を取得した先生に対しては(よっぽど間違っていなければ)自分は原則指導をしない.それだけ専門医というものは価値があると思っているし,その先生の主体性を尊重すべきだと思っているから.

2022年4月4日月曜日

病理診断をしている時に考えていること

# ちょっと面白そうな話題

病理診断をしている時に何を考えているのか,その思考回路を明らかにするのは意外と難しいのと,恐らくどこかで似たような話題について触れた気もする.しかし大切なことではあるので少し書き連ねてみよう.

https://twitter.com/ddtns/status/1510104439318716425

この投稿の内容をまとめ直して brush up させたものである.

# 病理診断も臨床診断も基本的なところは変わらない

診断学という本を参照してもらえると分かるが,基本的には検査前確率(≒有病率)があって,そこに種々の検査を行っていく過程でその疾患に対して陽性(=診断確定)か陰性(診断の除外)を行っていく.その検査の感度・特異度により陽性的中率,陰性的中率が計算され,当該検査を行うことで検査後確率がどの様に変化するかを見ていくことになる.

病理診断もおおむね同じで,いくつかの鑑別診断を考えたらあとはそれぞれの疾患に対して肯定あるいは否定するような所見を丁寧に集めていき最終的に病理学的診断を決定する.診断によっては(例えば神経内分泌腫瘍のグレーディング)かなり厳密に決まっているものもあれば,腺癌や扁平上皮癌等厳密には決まっていないものもある.

異なることとしては,臨床推論のように身体診察や検査の感度特異度がまだ完全には整備されていないため,個々人の感覚や経験に依存しているところがある(これも時代が進めば整備されてくるのでは?と思っている).

# 病理学的所見と免疫染色や FISH, PCR が病理で言う検査に相当する

臨床診断(臨床推論)を進めていく上で病歴聴取,診察や検査を適宜行うわけだが,病歴聴取や診察に相当するものがだいたい肉眼所見だったり組織学的所見だったりする.多くはそれで診断がつき,さらに追加で「検査」を行いたいときには,我々でいう特殊染色や免疫染色,FISH, PCR+NGS? などが該当する.検査まで行くと全般的に特異性が高くなるが,範囲が狭まるので陰性だった時に検査後確率の変動が乏しい.

言い換えると,肉眼所見や HE 染色での観察が不十分だと免疫染色を下手に出しても陰性ばかり(あるいは retained)で結局診断には結びつかないよ,ということである.耳が痛い読者も少なからずいるのでは?

# 病理学的所見は比較的ゆるく考えている

○藤誠先生とか臨床医からたまに言われることとして,

病理診断って気分で診断しているんでしょ?

というのがある. これは最初の項目で述べたように所見自体の感度・特異度,疾患定義が若干不明瞭であることに起因する.どこまでの異型が腺腫でどこからの異型が腺癌とするのかについても大腸腫瘍でよく議論になる.正直なところ,最近では一致率の低さから議論にすらならないが.最近の診断基準ではこのような気分や知識,経験の揺れに起因する診断の不一致を防ぐような診断基準が採用されてきており,実際は問題なくなってきている.例えば子宮頸部の carcinoma in situ と severe dysplasia は昔から人によって診断が異なっていたが,今では CIN3 として区別しなくてもよくなっている.

また同じ様に見えるものでも文脈によって解釈が異なることもある.例えば分厚い膠原線維束は文脈によっては ropey collagen と判断するが,これが真皮内にあればケロイド線維と解釈する.見えているものは膠原線維でその部分のみは同じものなのだが,文脈によって解釈が変わりうる.

# 文脈とは何か?

例えば桃太郎のお話で,桃太郎がスマホを取り出して鬼を倒したところの写真を撮ってみたりおじいさんに報告したり,お宝をメルカリで売ったりしていたらおかしいな?と疑問に思うはずである.桃太郎がいつの時代の話か書いていないが,話の中に鬼がいたり川で洗濯をしたりすることから現代ではないことが容易に推測されスマホやメルカリがあるのは不自然だということになる.

一方同じお話でも,名探偵コナンやこちら葛飾区亀有公園前派出所などは登場人物や彼ら彼女らの行動,風景を変化させることで文脈を変化(進化)させており,携帯電話やパソコンが登場しても違和感がなくなっている.つまり桃太郎のお話も鬼 → 悪徳業者に変え,川で洗濯 → ドラム式洗濯機で洗濯とするとスマホやメルカリが登場する文脈が出来上がる.まぁではどうやって川を流れてくる桃と出会うのかという新しい問題が発生するが.

それはさておき,病理診断のたとえで考えてみる.皮下に付属腺との関係性の乏しい腺癌NOS としか言えないような病変が二か所出てきたとする.そんな稀な病変が二か所も同時に出てくるのはおかしいと気づく.それらを説明できる文脈を探さざるをえないわけで,原発巣二箇所よりも転移の可能性が考慮され,頻度や既往歴を勘案し,乳癌、肺癌、膵癌、前立腺癌などの存在はどうか?と疑うわけである.

# 文脈を読む力

いわゆる病理診断の能力をどう定義づけるかは難しいが,その漠然としたものを認めて話を進めると,何年かやればある程度は標本を読み解く力はついてくる.所見は一応取れているんだけど,診断がどこか変,という先生がたまにいて,そういう先生はその文脈を把握する力というか臨床知識が少ないことが多い.所見は大体合っているのに,その所見を統合した解釈で間違えるという残念な結果になる.

どどたん先生は病理医を志望している初期研修医が病理を回ることに対して比較的否定的である.病理診断の多くはこの分文脈に依存していると考えており,その文脈を身につけらるのは臨床医としての経験が非常に効率的だからである.もちろん単なる経験だけではなく臨床推論の過程自体も病理診断のロジックに類似性がある.病理医の記載する報告書をもとに臨床医が診断や治療を決定するように基本的に向かっている方向性は同じである.そういう意味では初期研修で全てを身につける必要はなくて臨床推論にどっぷり浸かるだけでも文脈を読む力は十分つけられる.

# よくある普通の疾患を丁寧に見ることが大切

文脈というのは文の前後の関係性を指す言葉であり,文脈が適切であれば文章を読んでいても引っかからない.これを病理診断に置き換えると,臨床的に胃癌を疑って生検された検体の病理診断が腺癌だったといった具合になる.このように,日々の診断ではごくごくよくある症例のよくある診断がほとんどで,珍しいものは少ないし珍しくてもそのほとんどは教科書に書いてある.

こういうありふれた普通の疾患や経過のどこが普通なのかを常に疑いながら診断をすることが大切である.なぜか.稀な病変や間違えやすい(間違えた)病変というのは,経験的に振り返ると,どこかで普通と異なる所見や臨床経過を呈していたことが多く,その違いはしばしば軽微である.些細な違いを見出すには普段から普通がどういうものかをある程度明瞭に認識する必要がある.

〇〇さんが髪の毛を 1 cm 切ったことを気づくためには普段から〇〇さんの髪の長さがどれくらいかを認識しておく必要があるのと同じことである.

# また稀なものに飛びつきすぎないこと

文脈を理解できていない先生がよくやる間違いとしては,世界に数例しかない稀な疾患をバンバン診断してしまうことがある.これも本質的には稀なものを見逃すのと同じことであり,そんなものが出てくる文脈ではないということが理解できていれば診断自体に慎重になる.よくある疾患のちょっと変わったバリエーションの可能性はどうか.

もし稀なものだと診断をしようとすると,その文脈を突き破るくらい高い特異性のある所見が必要になる.

# 結局は病理診断は操作的

結局のところ,病理診断は誰がどう書いてもある程度の範疇に収まるようにルールが設計されており,機械的,操作的とも言える.

2022年1月1日土曜日

病理診断を学ぶ 〜 泌尿器

 泌尿器領域の病理診断に関する本は多岐にわたる.個別の本もあるにはあるが,ここでは総論的に全体がまとまっている本を中心に紹介し,和書について個々の臓器の本を参照してみる.たくさん本があるので見たことのあるものを中心にある程度取捨選択をしていることに留意を.

まず WHO bluebook から

WHO Classification of Tumours of the Urinary System and Male Genital Organs (2016)

これは 4th edition の本.恐らく今後数年以内に 5th edition が出版されると思われるので急いでいるあるいは今後泌尿器領域を専門とするのでなければ敢えて購入する必要はない.しかしながら疾患分類の基本の本と言える.

Urologic Surgical Pathology (2019)

泌尿器領域における中心的なテキスト(乳腺でいう Rosen, 軟部でいう Enzinger etc 的な位置付け).ちなみにどうでもよいが,泌尿器領域の病理診断の本を検索するときには uropathology あるいは genitourinary pathology というキーワードで検索をするとある程度網羅的である.

泌尿器病理診断アトラス: 臨床と病理の対話で学ぶ (2021)

検索をしているとこういう本も見つかった.まだ読んでいないが,都築豊徳先生は泌尿器病理では世界的に有名で恐らく間違いはないのだろう.

Uropathology: A Volume in the High Yield Pathology Series (2012)

だいぶ古い本で正直購入はおすすめしないが,かつて自分が愛用していた本で今でもたまに見る.High Yield Pathology Series は箇条書きでとても参照しやすい.皮膚と合わせて愛用している.


腎生検についても言及をしないわけにはいかないのだが,腎生検自体は不得手.腎病理の先生たちがよく使っている,あるいは読みやすそうな本を数冊挙げる.

Diagnostic Pathology: Kidney Diseases (2019)

Colvin の本として有名.箇条書きで読みやすく,情報量が多いとのこと.

Heptinstall's Pathology of the Kidney (2014)

いわゆる大御所的な本.そろそろ改訂が望まれる.

腎生検病理診断取扱い規約 (2019)

日本腎病理協会が腎生検病理アトラス改訂版を出しているのに,なぜここで規約を発行する必要があるのかという本質的な問いはさておき,簡潔にまとまっており,参照するのには便利.

ジョーシキ!腎病理診断エッセンシャル (2020)

腎病理のみかたについて,基本的なところから丁寧に解説されている.きちんとやるならとても良い本.

腎生検診断Navi (2016)

腎生検を始めた人あるいは腎生検なんぞ見る必要がないという人向け.人間に理解可能な言葉で記載されている.


病理診断を学ぶ 〜 心血管

循環器に関する本は正直ほとんどないし,そもそも提出される検体のバリエーションも少ない. 提出される検体のほとんどが非腫瘍性疾患と思われる.

正直個人持ちする必要はないと思っているが,どのような本があるのかを知っておいても良い.

循環器診療に活かす 心臓血管解剖学 (2016)

循環器病理について情報を求めるときの多くは病理解剖のときだと思われる.結局の所心臓の解剖がわかっていないと,先へは進めない.結局こういう本が必要だったということになる.

Practical Cardiovascular Pathology (2021)

この 2021 年の本は見ていなくて,前の版の本を愛用していた.アミロイドーシスや心筋梗塞など知りたいような内容がだいたい記載されており,非常に有用である.

Cardiovascular Pathology (2022)

この本の前の版を使っていたが,正直とても使いやすい!というものでもない.厚みがあって情報量は多いし,比較的定期的にアップデートされている.


昔の本として心血管病理アトラスなどがあったが,古すぎるので省略した.

2021年11月8日月曜日

診断チェックのポイント

# 診断のチェックとは

診断のチェックには

  • 診断内容の質的チェック
  • 体裁(誤字脱字,内容相互の矛盾)に関するチェック
があり,セカンドとして診断医がチェックする場合は両者を確認している一方で,検査センター等で事務あるいは臨床検査技師がチェックする場合はほぼもっぱら後者になる.

ここでは,後者の内容を中心に,どどたん先生がどういう点に着目して診断内容をチェックしているか簡単に紹介してみようと思う.

# 診断文面の構成

これから話をすることは,腫瘍の手術材料を想定している.

病理診断報告には一般的な病理診断報告は次のような項目が含まれている.

・組織型
・腫瘍の局所的な浸潤 → Ly, V, Pn/neu, INF, int/med/sci
・腫瘍の広がり → pT
・切除断端:VM, HM, PM, DM, ow, aw
・背景病変や付属で切除された検体 → pN, pM

各項目ごとに見てみよう.その前に重要なこと.

その診断がその患者さんのものかどうかを確認すること.この手の間違いは極めてクリティカルである.

# 組織型
 
表記のチェックをするときに組織型の齟齬を指摘するのは難しい.報告書のみをみているだけだと間違いを指摘するのは不可能であり,結局書いてあることをそのまま是認するしかないというのが実際である.

するとせいぜい確認できるのは診断欄に記載している組織型と所見欄に記載している組織型が同一のものかを確認するくらいだが,一つだけ重要なポイントがある.

臨床診断と病理学的診断で良悪性がずれていないか.

良悪性の不一致は特段問題はないのだが,明らかに臨床的に良性を謳っている病変で,悪性と返している場合,そしてその逆は診断のチェックに回したほうが無難なことが多い.

# 腫瘍の局所的な浸潤

局所的な浸潤の記載は,脈管,神経侵襲であったり,間質量,浸潤様式に直結する.とはいえ,このような局所の浸潤は最終的なステージの記載には影響しないことがほとんどである.

ただし,脈管侵襲や浸潤様式がステージに影響すると判明しているのは自分の知っている限りでは次の通り.

・消化管 ESD 検体での浸潤癌
・精巣腫瘍
・膀胱 TUR (?)

文面のチェックだけではこれらが適切に評価できているかは不明であるが,消化管 ESD や精巣腫瘍については Elastica 染色や D2-40 染色などで脈管侵襲を見つけ出す努力がなされていてほしい(これは施設の方針にもよるが...).

# 腫瘍の広がり

これはほぼそのまま pT 分類に直結する.詳細は UICC や規約を参照せねばならず,ここで一言で言うのは難しい.pT 分類を理解するために参考となるような考え方を列挙する.

消化管を除く,多くの臓器の T 分類は 1-2 は腫瘍の大きさで規定されており,3-4 になってくると,その臓器特異的な,メルクマールとなるような構造物への浸潤を flag としている.例えば肺であれば胸膜を突き破るか,前立腺であれば精嚢へ浸潤するか,など.UICC の T 分類を眺めると,腫瘍がいかにして進展していくのか,その様が垣間見える.

甲状腺は例外的で年齢に寄り Stage が異なる.規約によってその cut off の年齢が微妙に異なっているから注意が必要.

# 切除断端

ある程度一人でサインアウトができるような病理医は切除断端がわからないということは恐らくないが,漏れる可能性がある.

# 背景病変・リンパ節

きちんとした?報告書であれば背景病変に関する記載が充実している方がよいが,まぁなくても良い.

リンパ節転移については,領域リンパ節意外は遠隔転移になるので,一応リンパ節は規約を見て確認しないといけない.


書いていてあまりパッとしない文章だが,今後 rewrite することを考えてとりあえず公開しておく.

15 年目の悲劇

# 卒後は 17 年目,病理は 15 年目 自分は 2009 年に大学を卒業しているので,2026 年 4/1 現在だと,卒後 17 年目になる.卒後 15 年目のとか,20 年目の,みたいなタイトルの本を見るが,その節目を超えてさらなる大台に突入してしまった感じはある. 初期研...