前回の続きです.長くなってきたので分けました.
4. 定時より早めに帰宅
研修医の皆さんは,臨床各科をローテートしているときに定時で上がることはできましたか?多分ほとんどできていませんでしたよね?病理部はチャンスです!定時あるいは定時より早く上がるチャンスです!定時より早く上がっていいのかという疑問はありますよね?
多くの病院では医師の残業代は支給されておらず,労働裁量制が敷かれており定時より早く終わることについては問題はありません.最近では研修医の労働時間は厳密に守られており,時間外を積極的に支給している病院もあります.
しかし,そういう病院であっても原則的に時間外労働をさせないということに焦点を置いているので,そもそも定時よりも早く帰る研修医は想定していないことが多いです.
でも理由もなしに定時より早く上がるのはちょっと気が引けると思います.ここではいくつか事例を紹介します.これらをローテートさせたり,また複合させたりしてうまく言い訳してみてください.
- 宅配物が届くから(冷凍ものなどというとより切迫感が出て good)
- 親が来て迎えに行かないといけないから
- 役所や銀行で手続きをする(引っ越しや結婚に関するものでも構いません,積極的に平日にぶち込みましょう)
- 病院受診をする
稀に親戚が死んだことにする人がいますが,流石にやりすぎです.もし本当に亡くなったのであれば病院から弔電を出す出さないの話になるので,ややこしくなります.また危篤状態もちょっと微妙で,繰り返すと信憑性に疑問を持たれやすくなります.
初期研修医が終わる,2-3 月頃には手続き関係が多くなることは我々も承知しているので,上記理由をうまく使いまわして半日勤務にしてみたり,有給消化をしたりと有意義に過ごしてください.
間違えてもこの時期に発熱や腹痛等の症状で早退するのは慎みましょう.話がややこしくなるので.ただし,微熱や体がダルイと言った COVID-19 を思わせなくはないけど,でも微妙で多分違うだろう程度の症状であれば積極的に休みを取りましょう.今の時期限定の裏技ですが.
5. ひたすら教科書を読む,臨床の
ここでは病理医になる気はない人を対象にしています.病理診断は少し特殊でおそらく何冊教科書を読んでも,実際の標本を見て診断を書いて指導医の feedback を受けないと実力をつけるのは難しいと思います.
一見すると知識で食っている診療科のように見えるのですが,やっていることは意外と体育会系です.
ここで言いたいのは,病理診断に関する本を読む暇があるくらいならば,行きたい診療科に関する本を読んでおいたほうが数倍有意義だよという話です.
実際,病理部をローテートしている研修医の先生たちは病理診断に関する本を読んでいる人はほとんどいなくて,感染症の本だったり輸液の本などを読んで有意義に過ごされています.病理診断に関する本を読んでいる先生も,自分の行きたい診療科の病理診断の本を読んで,実際の標本と照らし合わせて勉強されています.
(まぁ病理総論の基本がなっていないといくら照らし合わせて勉強しても,ただ目の前を通り過ぎるだけなんですけどね)
というわけで,皆さん有意義に過ごされているようですが,どどたんせんせのおすすめとしては病理の次にローテートする診療科の本を読んでおき予習しておくことです.そうすると次の診療科を回ったときにスムーズに溶け込むことができると思います.
番外編〜
ここからはきこりんせんせ @kiko12139 のおすすめの番外編です.
1. これだけは!依頼書の書き方
皆さん,依頼書ってどう書いていますか?本当に各科の先生方は思い思いで書いてくださっていて, 一言程度の「病理診断お願いします」から病歴サマリーを転記した,無駄だらけの超長文まで様々あります.
病理診断の依頼書の書き方については,おそらく研修医の最初のオリエンテーションで習うことがあるかもしれませんが,まぁ皆さん当然覚えてないですよね?そして病理部をローテートするとわかると思いますが,病理医はいつも依頼書の項目が不足していると文句を言っています.
はいはいといって受け流しましょう.
まともにやりあっても時間の無駄です.「そうですねー」「自分も臨床各科に進んだから気をつけますねー」程度で軽くやり過ごしましょう.
一般的にいかなる検体であっても必要な情報というものはあります.
- ID (臨床 ID 及び病理 ID)
- 年齢,性別
- 採取部位,検体個数
この要素が抜けていると,そもそも病理診断自体が出来ません.でもこれらは検体を出す段階でほぼ自動的登録されるもので,臨床医が気にすることはありません.
そして一般的にこれらに加えて,次の要素を書くことが求められています.
- 臨床診断
- 現病歴(治療歴・既往歴を含む)
- 画像所見,その他の検査所見
- 臨床的な鑑別診断
- 特殊な検索要望項目(例:好酸球数カウント,ピロリ感染の有無)
でも何が必要で何が必要でないかというのはある程度病理診断自体に精通しないとわかりませんし,必要な情報というのは鏡検してそれから判明することもあります.
つまり,完璧な依頼書の記載ということ自体が無理ゲーなのです!かといって,病理医に対して「書けるわけ無いだろー」って真正面から文句を言うのもあまり大人げないので,はいはい,と適当に受け流しましょう.
ちなみにですが,病理部の業務は病院内ではありますが,どちらかというと B to B 的な業務です.臨床医は顧客ですので,顧客に対して怒るのはあまり適切とは言えません.もし診断が難しいと思われたら,その旨を診断文面に記載をして臨床医からのアクションを待つべきだと思っています.
若干似たような理由にはなりますが,最近は学会発表をするから写真が欲しいと言われ,かつ発表者に自分(病理医)の名前が載っていないときは,なるべく具体的な話をせず要求された写真をメールで送る(納品)ようにしています.たまに組織像を教えてほしいという依頼もありますが,その場合は写真に annotation をつけることによって可及的に回避しています.
ちなみに誤診疑いの案件の場合は積極的に一緒に標本を見て納得してもらうようにしていることが多いです.
2. 生食はダメ!検体提出
病理の検体提出方法はそんなに種類は多くはないのですが,病理検体の提出は臨床業務からすると端の中の端なので,臨床の先生が多くのことを覚えるのは難しいと思います.
原則的にはホルマリンで良いのですが,例外としては迅速診断用は乾燥を防ぐためフィルムなどでくるむ(なるべく生理食塩水にはつけない),電顕用にはグルタールアルデヒド,蛍光抗体法には OCT compound による凍結,フローサイトメトリーや染色体検査には生検体などと,目的によって微妙に異なります.
でもそんな細かいことを覚える余裕はないと思います.ここでは「どうしても分からない!!」となったときの対策として次の 3 点を覚えておきましょう.
- まず病理部へ電話をして相談
- 夜間などで病理部がつながらなければ,ホルマリンにつける,もしホルマリンがなければ冷蔵庫 (4 ℃) で保管して明日朝病理部へ相談
- 細胞診の検体はとりあえず冷蔵庫 (4 ℃) で保管して明日朝病理部へ相談
もちろん,これはベストではありません.でも,最悪の状態は回避できるはずです.