調べたことのまとめ.胆嚢腺筋症ってなかなか病理診断のテキストに詳細に記載がなく,かつ非腫瘍性疾患なのであまり pick up されることが少ない.
メインの参照文献はここ.あとは適宜資料を漁ったり.
特になければ,このテンプレートをもとにする(産業医科大学の久岡先生が講義でよく使用するテンプレートをもとにちょっと改変したもの,いろいろなものに応用でき知識が整理されるので個人的には最近愛用している).
【臨床情報(年齢・性別・部位等)】
- 50 代以上の成人に多いが,小児例の報告もある
- 英文では adenomyomatous hyperplasia の記載が多い(英文ではこちらで検索をかけると引っかかりやすい)
- [病因・病態] 後天的な胆嚢の形成異常で,胆嚢内圧の上昇,慢性炎症によるもの,加齢・性ホルモン分泌・代謝などによる増殖性変化という説
- 約 9 割に胆石を合併
- 全般型 diffuse/generalized, 分節型 segmental, 限局型 localized type に分類し,分節型+底部型は combined ともいう
- 限局型は底部が多い.病変部では筋層の肥厚及び狭窄を認める
- RAS が十分に拡張していると肉眼的にも確認可能
- [疾患定義] 胆嚢壁 1 cm 以内に RAS が 5 個以上存在し,壁が 3 mm 以上に肥厚したものという定義が存在するらしい(武藤の定義)
- 正直,この診断基準を意識したことはないが...
- Rokitansky-Aschoff 洞 (RAS) の増殖・拡張+固有筋層肥大,壁の線維化による胆嚢壁の限局性 or びまん性肥厚
- 筋層内を種々の程度に拡張した腺管が増生し,腺管の異型は乏しい
- 神経周囲侵襲のような像がある,,,らしいが元文献を見ると末梢神経自体の侵襲ではなさそう
- 鑑別診断でも述べるが,筋層の肥厚や RAS の拡張をどの程度拾うかで胆嚢腺筋症と診断するか否かが変わってくるが,厳密な基準はないようだ
- 腺癌:腺管の異型は乏しい,間質の desmoplastic reaction が見られない
- Rokitansky-Aschoff 洞形成:筋層の肥厚があるかどうかだが,厳密な区別は難しい.程度問題?
- 特になし(調べても見つからなかった)
- 胆嚢腺筋症自体は予後良好
- 胆嚢癌発生のリスク因子であることを示唆する報告はいくつかあるが,コンセンサスには至っていない(分節型がリスク因子かも?とのこと)
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