本編~
はじめての病理部・病理診断科ローテーション.病理部って普段行かないからどういうところか分かりにくいですよね?病理の先生って気難しそうだし...ここではどどたんせんせのところへかつてやってきた初期研修医(一部後期研修医)の先生たちの行動パターンを元にして,病理部のローテーションを成功させるための秘訣を紹介しましょう.キーワードは
頑張らない
です.では早速行きましょう.
1. 挨拶
まず初日.あなたは初研修中に病理部でのローテーションをすることに決めました.目的はだいたい次の 3 つに分けられることが多いです.
- 病理医になりたい!病理診断が好き!
- 行きたい診療科は決まっていてそれに関連する病理診断について勉強したい!
- 夏休み・春休みを気兼ねなく取りたい(特に 2 年目の 2-3 月あたり)
あなたはどれですか?どどたんせんせの印象としては,2 > 3 > 1 の順に多いです.ここで重要なポイントです.
いかなる事情があったとしても病理医になりたいなどと口に出さないこと
病理医になりたいなどというと,相手に変な期待をさせてしまう恐れがあり,もし何らかの事情で違う進路を選んだら,かなり恨まれます.止めておきましょう.
じゃあ本当に病理医になりたい人はどうしたらいいのかって?そもそも病理医になること自体はあまりおすすめはしていないのですが,どうしてもっていう人は 2 年目の 7-8 月頃に相談してみましょう.そうすると我々としては「あのときはそっけなかったのになんだやる気じゃん」と評価が急上昇します.また我々の教育により行動変容を促せたという自己肯定感でいっぱいになります.
一般的に病理医になると早く宣言して得られるメリットは初期から手厚い指導を受けられる,定員に制限があっても優先的に入れるという程度ですが,そもそも手厚い指導をしているところなんてほとんどない上に,定員をフルで満たせるような超人気病院は数えるほどしかなくほぼ気にする必要はありません.
後期研修でゼロから病理診断のトレーニングを始めても全く問題ありません.どどたんせんせもそうでしたし.
2. 早速の有給消化,春夏休み
さて,早速の挨拶も終わり,病理部の一員として無事迎えられることが出来ました.どのように挨拶をしましたか?まさか病理医になりたいだなんて言ってないですよね?
そしてすぐ取り掛かることは何でしょうか?教科書を読む?切り出しの見学をする?診断端末の使い方を習う?全て違います.有給消化のスケジュールを組むことです.
皆さんは,臨床各科をローテートしたときに自由に有給を消化できましたか?やれ手術だのやれ検査だので思ったように取れなかったと思います.でも病理は違います.完全有給取り放題です!それはなぜでしょうか?少し詳しく説明してみますね.
そもそも病理診断というスキル自体が一定以上の経験が必要で,1-2 ヶ月ローテートするくらいでは全く戦力にはなりません.もちろんカセットを書いてもらったり,といった補助的な作業はできるかもしれませんが,多くの場合は教えるコストが大幅に上回ってしまいめんどくさいから自分でやるとなりがちです.
研修医の先生がいて仕事が片付いて助かったよ,ということをいう病理の先生はほとんどいませんし,もしいたとすれば
- ただのお世辞(勧誘)
- その先生が超絶優秀すぎ
のどちらかに限ります.自他共認める超絶優秀研修医でなければ,暫定的に 1. と解釈したほうが無難です.
以上の理由から病理部のローテートにおける研修医は「別にいても(にぎやかになるし空気が変わるから)いいけど,いなくてもいいかな」みたいな絶妙な立ち位置にいることになり,有給取得で嫌な顔をされることはほぼありません.
実際どどたんせんせも嫌な顔は一切しませんし,むしろ「夏休み(春休み)取りたくない?2 週間くらいとったらどう?」とか「病院見学行かなくていいの?」とか有給を取得するように積極的に促しています.とても良好な職場環境だと思います.
3. 業務時間中に調べ物と称して研修医室に籠る
一度来てみればわかると思いますが,病理部はとても閉鎖的な環境です.どどたんせんせも会話する相手はほぼ病理部の中の人達だけで,実際は 1 日 10 人以上の人と話すことはそんなにありません.小さい病理部であれば 1 日数人と 30 分程度話をするだけ,ということも十分ありえます.
さて,病理部での研修医の業務とはなんでしょうか?これは厳密な定義やルールといったものはないと思います.しかしながら上述したように,なんの知識もない研修医が頑張れば頑張るほど指導医の仕事が増えていく傾向にあります(途中から指導医の仕事が減るのですが,大体多くは減り始めたときに研修が終わり,また 1 からのスタートになります).
すると,仕事を振ること自体が面倒になり,多くの病理部では研修医は興味のある症例について自分で勉強をすることが仕事,となりがちです.勉強が仕事ってまるで学生みたいですが,唯一学生と異なっているのが給料をもらえるという点ですね.
繰り返しになりますが,病理部は閉鎖的な空間なので,狭いところで指導医と一緒にいるのが辛いことが多いと思います.そういうときは「図書室(図書館)に調べ物をしに行ってきます」や「研修医室で調べ物をしてきます」と言って,そこから抜け出しましょう.
もちろん迅速診断や剖検に入れない可能性はありますが,別に入れなくてもその後には全く影響ありませんし,迅速診断はしょっちゅう抜け出すのでなければ研修期間中に 1 回は見ることができるはずです.やっていることは基本的に同じことの繰り返しなので,1 回見れば十分です.
* たまに勘違いしている研修医がいますが,内科専門医に使う剖検症例は病理側で入ってもだめです.あくまで臨床医として参加する必要があり,病理部のローテーションでは要件を満たせません.
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