2022年9月17日土曜日

スイスを行った旅行記みたいなもの 2

 # ヨーロッパ病理学会

内容的なものは多分書いてもすぐ陳腐化しそうでとりあえず置いておくにしても,すごく印象的だったのが,誰もマスクをしていないということ.正確にはマスクをしている人はいたけど,感覚的に 20 人に 1 人くらいで,屋内でも屋外でもあまり変わらない印象であった.ただ,つけている人をよく観察すると N95 マスクに近いような,ごついマスクを付けている人が多かった.そうそう,あとは会場の受付のスタッフはマスクを付けていた.

そこで会った病理医の先生にちょっと聞いてみたところ,「規制自体は撤廃されているからつけていない人が多い.自分は心配だから室内ではつけているけど」とのことで,一応マスクを持ち歩いているようだった.

後日談としても会場でコロナが集団発生という話も聞かないから,結局は大丈夫なのだろう.ヨーロッパにいると,どうしてもコロナなんかもう問題ではない,過ぎ去ったイベントだという印象を強く持つ.

# スイスの物価

言うまでもないが,非常に高い.比較のために Coca cola zero 500 mL ペットボトルの値段を定点観測していたが,ホテルの自動販売機だと大体 5 CHF くらいで為替は刻一刻と変わっているが,大体 700 円くらい.スーパーとかだと比較的値段は安めで,1.5 CHF 程度で購入可能だがそれでも,210 円で日本よりも明らかに高い.日本の 3-4 倍くらいと言う認識がちょうどよさそう.

スイスの人もやはり高いと認識しているようで,ジュネーブでは国境を超えてフランスに買い物に行くみたい.国境を超えると安くなるというのも変な話だが,全然価格が異なるそう.

# スイスの言語

公用語とされているのはドイツ語,フランス語,イタリア語で,結構場所によって話される言葉にだいぶ差がある.とりあえず英語は通じるが,バイリンガルとはいえないような人も少なからずいる.

バーゼルからジュネーブに移動する際に電車の中で途中から聞こえてくる言語が変わったことは気づいていたが,どこらへんが境界なのか興味のあるところではある.

フランス語を duolingo で勉強していて,ジュネーブでフランス語を少しだけ披露するととても喜ばれた.本当はもう少し話したかったけど,フレーズが出てこなくて残念.おそらくあと 1-2 年くらい勉強をすればいけそうなきがしている.

# 学会の中

学会の講演やポスターはまぁ一般的なもので新しいと感じた話題がいくつかあったほかは特段なく,あまり言及するほどでもないが,一つ挙げるとすると,

企業展示の多くがデジタルパソロジーと NGS を中心とした遺伝子パネル検査の 2 つが主流となっていたこと.他にごく少数の染色機器や顕微鏡があったくらい.オリンパスの人と話をしたけど,特に目新しい話題は出てこなった.

# 検査センターへ

ジュネーブにある,とある検査センターに訪問をさせてもらった.なんと時差ボケで 2 時間遅刻をかますという大失態をしたが,とりあえずなんとかなった.なんとかなってないかもしれないけど,遅刻したものはしょうがないので,ごめんなさいを繰り返すのみ.

検査センターは検査センターでなかなか興味深い話を沢山聞けたけど,多分 compliance の問題があってちょっと難しいそうなので詳細は省略.

# 結局学会に行ってよかったのか

当院(当科)はどうやら,国際学会は筆頭でも自腹か研究費をとって行けという方針になった?ようで,しょうがないのでしばらくは自腹でいくことになりそう.そのために検査センターの標本を眠い目をこすりながらぼちぼち診断をしている.検査センターに文句を入れたらコスパの悪い外勤を切ろう,そうしよう.

そこまでして国際学会に参加する意義があるのかと言われそう.個人的には多分あるんじゃないかと思って約 7 年くらいなるべくコンスタントに参加をしてきた.結果的にはありそうな雰囲気はあって,昔某放射線科の先生に言われたことは間違いではなかったのかなという気はしているが,本当の正解は誰にもわからない.

# 海外が better とは限らない

一応自分としては日本では他の大学への同一ポジションでの平行移動はしないと決めていて,次行くとすれば市中病院か検査センターか廃業(産業医?etc)と決めている.これまで複数回平行移動をしてきて,大学病院がどういうものかは十分分かっているし,経験の多様性という意味でもこれ以上よそを経験することで得られるものと異動による不連続を考えると,異動することのメリットが上回ることはさほどない.

他のオプションとして考えているのは,海外で病理医として働くというライン.某国であればすぐ行っても歓迎されそうだし,そうじゃない別の国でもいいかもしれない.資格上あるいはポジションの問題もあり,すぐには実現しないとは思うが,とりあえずアンテナは張り巡らせておく.

ただ,海外だからより自由で payment もいいという考えは多分捨てたほうが良さそう.フランスの病理診断事情を聞いていた時に,あれこれ日本と同じじゃない?と変に納得しながら聞いていた.おそらくどこの国でも大体の傾向は同じで,多少の差がある程度なんだろうと思う.どこにいても自由でかつ不自由.


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