2022年7月24日日曜日

情報をいかに取得するか

 # 病理診断でもなんでも結局は同じこと

このアカウントではというよりも自分自身があまり HPV ワクチンや新型コロナウイルス感染症のワクチンに興味がない.興味がないというよりも,いわゆる陰謀論のような議論に参画するほどの暇はないしワクチンを推進するほどの運動をしているわけでもない.職場でもそうだが,そういう議論とは距離を置いている.というわけで端的に結論を言うと

結局ワクチンは打ったほうが良さそう

ということで,自分はコロナのワクチンは 3 回打っているし,とりあえずマスクもしている.

# 適切な情報を取得するということ

Twitter を眺めていると,よく「コロナに関する情報を収集するために twitter をはじめました」という発言を見かけるが,自分からすると twitter は新型コロナウイルス感染症にまつわる情報収集としては適切とは言い難い.

一応自分も軽く skimming をしているが,基本的には Yahoo! ニュースなどのニュースで発表される情報と自分の病院の感染症診療科の先生たちの言っていることが情報源になっている.なぜか.Twitter で流れてくる情報は玉石混交していて情報の信頼度という意味では必ずしも高くはない.自分で吟味して取捨選択をする必要があり,そのコストを考えるとあまりコスパが良いとは言えない.

よくニュースサイトの情報に嘘が含まれているという陰謀論を語る人がいるが,それは情報に対する態度として適切ではない.そもそも一般的に流れている情報には少ならからず嘘が含まれていると考えたほうが良い.100% 正しい情報もなければ 100% 間違った情報もなく,0-100% の間を動いている.嘘ではなくても後々間違っていることが分かることもよくある.

# 効率的な情報取得

自分は一応医者ではあるけれども,ワクチンの詳細な仕組みやこの新型コロナウイルス感染症の細かいことはわからない.勉強すればある程度は理解できるとは思っているが,そのためにはウイルス学から始まる基本的な教科書を読み込んで,さらにその上で mRNA ワクチンに関する歴史的経緯や他のワクチンの適応事例などを勉強し,さらにさらに感染症疫学についても勉強をする必要がある.

「私はコロナについて理解している」と主張をするにはそれくらいの勉強が最低でも必要.もともと公衆衛生や感染症を専門にしてきた人なら比較的親しいのかもしれないが,自分は病理学,病理診断で感染症病理は比較的遠い領域にいるので正直難しい.

そういう状況だとどうやって情報を取得すべきかというと,結局ある程度は無批判に誰かの主張を受け入れざるを得ない.否定するための知識や経験を持っていないのだから.はっきりいうととある主張に対して適不適かの取捨選択などすらできない.そういう状況下では「この人なら大丈夫そうだ」という人を数人立てて,その人達の主張していることの足し算あるいは平均値を出してそれを無批判に受け入れることにする.

大丈夫そうだと選択する根拠というのは難しくて,国の機関はとりあえず大丈夫そうだと判断している.というか国を信用できない状況では自身の安全も含めて危ない状況と言えるわけで,そうなったら自分は多分日本を脱出しているだろう.アメリカや中国を信じるのかと言われると微妙で,信じるというよりも国の状況がだいぶ違うので彼らの出したメッセージがそのまま日本にいる自分が受け取ってよいかは悩ましい.

# 得られた情報と得られなかった情報

得られた情報について議論をすることはもちろん,得られなかった情報についても思いを馳せる必要がある.本来は出てもいい情報が出ていないのはなぜか.そういうところから現在の状況を推定し,自分が取るべき行動を考えていく.

コロナに関しては,個人レベルでできることは残念ながら限られていて,手洗い,マスクをする,ソーシャルディスタンスを保つ,そしてワクチンとその程度.余談だがうがいについては殆ど言わていないな.むかしインフルエンザの予防でもっとも費用対効果が高いのは手洗いだと学んでそこから手洗いはなるべくするように心がけていたが,今回のコロナではうがいはだいぶ順位が下がっている.

# 結局大多数に従うのが得策

色々思案をしていても,結局大多数の人に従うのが一番であることが多い.株で一儲けみたいなときには

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