# AI diagnosis vs Cytogenetic diagnosis
https://twitter.com/kiko12139/status/1541028333428678656?s=20&t=Yq_JE94J9uzQuj51YAtUUQ
この話題はもう今では使い古されたようにも見えるが,テーマを若干変えて時代を超えて脈々と受け継がれており,興味深いので取り上げてみる.
# IHC solves everything
1990 年代から 2000 年代初頭において,免疫染色が台頭した時に次のように言われてきた(その頃は病理をしていなかったというか学生だったので直接は知らない).
免疫染色をすれば癌か癌じゃないかすぐ分かるようになるので,病理は失業するだろう
しかし, 現実的には HER2 を始めとして,PD-L1 の免疫染色等様々な治療適応あるいは予後予測因子を含めて様々な抗体が登場しており,失業どころか仕事がどんどん増える傾向にある.面白いことに,どの免疫染色の抗体のマニュアルを見ても次のような記載がされている.
HE 染色で病理医が癌(当該の適応のある腫瘍)と診断していること
いくら陽性であっても癌でなければ評価には意味がない.実際問題,HER2 の clone によっては胃腺窩上皮にも陽性になるため,結構判断を慎重にせざるをえない.
# History repeats itself or generates an epoch-making event.
免疫染色が登場した時に臨床医から「病理医なんて要らなくなるよ」と言われていた病理医は多分ほれ見たことかーと思っているだろう.ただ,細胞遺伝学的な定義となってもその状況が続くかは分からないが,個人的には多分変わらないんじゃないかなと思っているところ.
これは今までずっと言い続けてきたところだけれども,遺伝子異常そのものは腫瘍か否かを定義できない.実際 IgH の再構成は健常の人の末梢血からの検出されうると言われている.
腫瘍であるという前提がある場合は遺伝子異常は診断(区分)に非常に有用だが,腫瘍かどうかという前提がはっきりしない状況下では判断が難しい.
もちろんこれは現時点での知見に基づく話であり,今後,変わるかもしれない.腫瘍・非腫瘍を区分するような,診断上有用な新しい遺伝子異常が見つかるかもしれない.そうすると組織標本の HE 染色を評価すること自体が陳腐化してしまうだろう.
# Paradyme shift changes everything.
臨床医の「病理医不要論」はパラダイムシフトが起きれば可能かもしれないが,その際には臨床医だって不要になる可能性がある.病理診断に drastic な革命が起きるとして,その時に臨床医は従来のままだということはありえない.医療は相互に関連しているのだから.
その時にはどうなるのか予測をすることは難しい.結局そういう変化に不安を抱くのか,楽しむのかという違い程度でしかない.
# Efficiency is not all.
もう一つ指摘すべき点として,「病理医不要論」の中には無駄が一切省かれている前提が多い.ただはんこを押すだけのいる意味がないような人たちは存在しないような前提である.しかし,天下りを始めとして様々な職場にはそういう人達がいる.ルールを少しいじるだけでいかようにでもなる.論理的には正しいかもしれないが,実際にどうなるかはわからないし,変数が多すぎる.
最初の方のハイライト部は白地に灰色の文字があって、読みづらいです。
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