まずは予想の前に過去を振り返ってみましょう.
2020; 筋萎縮性側索硬化症(非腫瘍)
2019; 肺癌(重複癌)→ PTTM(腫瘍)
2018; SLE(非腫瘍)
2017; 脳アミロイド血管症(非腫瘍)
2016; 肺小細胞癌→血球貪食症候群,SIADH(腫瘍)
2015; コレステリン塞栓症(非腫瘍)
2014; 陳旧性心筋梗塞→弁置換→感染性心内膜炎(非腫瘍)
2013; SLE(非腫瘍)
2012; 悪性リンパ腫,DAD(腫瘍)
2011; 前立腺癌,(加療後の)敗血症(腫瘍)
2010; 肺癌,Trousseau 症候群,心筋梗塞(腫瘍)
2009; 急性心筋梗塞(非腫瘍)
2008; 薬剤性肝障害+ショック肝+CMV 腸炎(非腫瘍)
2007; SLE(非腫瘍)
2006; 全身性硬化症(非腫瘍)
2005; 心筋梗塞+敗血症(非腫瘍)
2004; 同時三重がん(ATL+肺癌+前立腺癌)(腫瘍)
2003; 肺癌(腫瘍)
2002; Intravascular lymphoma(腫瘍)
2001; ATL(腫瘍)
2000; 関節リウマチ+アミロイドーシス(非腫瘍)
これを見てわかるのは,過去 21 年間で非腫瘍が 12 例,腫瘍が 8 例出題されています.腫瘍はかなり偏っていて,ほぼリンパ腫か肺癌です.非腫瘍性病変は多彩ですが,概ね血管性病変と膠原病に集約されます.特に SLE は定期的に出題されており,ぜひとも注目すべき疾患だったかと思われます.
剖検問題では疾患の多彩さが求められます.最近では複数の症例から併せて一つの出題がなされているのですが,多彩な症例が出ても良さそうな基調的な主病変が必要です.免疫抑制状態でもなんでもないのに CMV 感染が出てくるのは変ですよね?
そしてもう一つ重要なことは症例が手に入ることと医療ミスなどを匂わせないこと.例えば潰瘍性大腸炎からの toxic megacolon になりコントロールがつかず敗血症性ショックでなくなった症例があったとしましょう.現在では潰瘍性大腸炎が原因でなくなる方は稀です.もちろん toxic megacolon も放置をすれば亡くなるのでしょうが,剖検問題では clean で全力を尽くす世界が要求されます.治療を放置して死亡したというのは CPC になりえないのです.
つまり,積極的に治療をしたけど,甲斐なく亡くなったという症例が選ばれているので,癌の terminal で半年持った,みたいな話は出てきません.すると感染症や血管障害というのは(それが主病変であれ,副病変であれ)必ず出てくることになります.言い方は悪いですがそうしないと問題のリード文に収まりません.
さて,この中で今年の症例を予想すると,
- ANCA 関連血管炎:血管性病変の中では過去 21 年間に出題されていない.
- アミロイドーシス:21 年前に 1 度出題されている.多発性骨髄腫からのアミロイドーシスあたりは問題としても作りやすいが,これはまだ未出題
- 心筋梗塞:ベタであるが,責任血管と梗塞巣との対比も含めて出題をしやすい.合併症が多く症例に多彩感を出しやすい.
この 3 題を予想します.
あたったらぜひジュースおごってください.
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