胎盤病理は難しい.見えている現象すべてが必ずしも胎児や母体の異常と相関が付けられる訳ではないから.その上胎盤が提出された時点で治療後の状態であり,特殊な事例を除いて特に還元できることがない.
とはいえ,実務上胎盤病理の診断が求められておりここでは比較的有用と思われる本を紹介する.
・胎盤病理アトラス(2021)
著者いわく,10 年は使えるように書いたとのこと.内容もそこそこ充実しており確かに使いやすい.2021 年は胎盤関連の書籍が一気に出版された年.特に和書は品切れになることも少なくないのでほしいと思ったら早めに購入を.
・目でみる胎盤病理 (2002)
昔からあるよい本.薄い本ながらよく書けている.おそらく病理部で見ることが多いだろう.今では絶版になっているようで,敢えて高いお金を払って購入するほどでもない(他にも良い本がたくさんある).職場にあればぜひ参照してみてほしい.
・周産期医療にかかわる人のためのやさしくわかる胎盤のみかた・調べかた (2016)
どれか一冊と言われたら,確実にこの本をおすすめする.比較的新しい本で実際に診断をする上で疑問に思うようなことはだいたい記載されている.もう少し内容が多くても良いような気もするが,現在日本語で入手可能な教科書としては群を抜いて良い.
・Atlas of Placental Pathology (2021)
AFIP の胎盤病理の本.こちらも網羅的でおすすめ.5 版が直近で出版されている.
・Pathology of the Human Placenta (2021)
胎盤病理界隈ではおそらく大御所とされている Benirschke による胎盤病理の本.おそらく情報量としてはこれが一番多いと思う.直近で出版されており,今が一番の買い時か.
・Manual of Pathology of the Human Placenta: Second Edition (2011)
個人的には一番のおすすめ,なのだがいかんせん出版からかなり時間が経過しているのがとても残念.非常にわかりやすく記載されており,疑問に思うようなこともきちんと説明がなされている.早く第三版を出してほしい!!と思っている.そこらへんを全て併せ飲むことができるのであれば,日本語の本は「周産期医療にかかわる人...」で英語はこの本を買うと胎盤病理の大半は網羅でき,さらに深く勉強したい人は Pathology of the Human Placenta まで行くと良いだろう.
・Pathology of the Placenta: A Practical Guide (2019)
比較的最近出版された本.本来は読んでから感想を書くべきなのだが流石にここまでは手を出せていない.ぱっと見良さそう(笑)
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