2018年6月2日土曜日

病理診断を学ぶ 〜 乳腺

2022/01/01 掲載されている本について情報をアップデートしました.
特に大きな変更はない.結局のところ,WHO 分類が基本にあってあとはそれを補うような位置付けになりがちである.乳腺疾患は非腫瘍性疾患も含まれているが,結局臨床的には癌か癌じゃないかの二択で十分であることが多いのと,免疫染色を行えばある程度蹴りがつくのでバリエーションとしてはそこまで多くはない.

2021/05/05 掲載されている本について情報をアップデートしました.
* 特に大きな変更はありません.
乳腺の本を参照することって実際問題あんまりなくて,なんといっても取扱い規約と WHO,あとは AFIP といったところ.

こういうことを言うと乳腺を専門とする先生には失礼かもしれないけれども,乳腺病理における疾患のバラエティは少なくて,鑑別診断でポイントとなることは限られている.難しい病変でも免疫染色を行うことである程度は決着がつくこともある.

現実的には WHO 分類及び規約,及び鑑別診断アトラスを見ながら診断をすることが多い.規約と WHO 分類に乖離が生じており悩ましい.

Breast Tumours (World Health Organization Classification of Tumours) (2019)

WHO bluebook はもはや,乳腺腫瘍(のみならず)全領域の基本的な本と言える.今回の改定ではそこまで大きくは変わっていないが,髄様癌が消えてしまい,invasive breast carcinoma の一亜型になっている.Rosen や AFIP もあるにはあるが,少なくとも腫瘍については WHO に従っておけば問題ない.5th series に入ってから,定義や診断に必要な要件などの記載がより鮮明になっている.

Rosen's Breast Pathology (2020)

これも言わずと知れた Rosen の教科書.大したこだわりはないのだが,まぁ細かいことも含めてよく載っている.腫瘍性病変については定義などの問題もあり WHO に軍配があがるが,特に非腫瘍性の病変で悩んだときに使う本ではある.

Biopsy Interpretation of the Breast (2017)

洋書で比較的新しく,かつそこそこ安い本としておすすめ.特にこれと言ってすごいというわけではないのだが,一通り揃っている.洋書でなにか一冊といったとき,ハンディなので専門にするのでなければはじめの一冊としてよいかも.

臨床・病理 乳癌取扱い規約 第18版 (2018)

だいたい,大して内容が変わっていないのに,18 版も重ねて何しているの?という批判はさておき,まぁ実際問題取扱い規約に書かれている内容で十分日常業務は事足りる,という意味では個人的に気に入っている.

浸潤性乳管癌の亜型の変更も結局何が言いたいのかよくわからないし.まぁともかく,個人持ちする必要はないけれども,日本で病理をやっていく上ではやはりこれが基本.しかし,稀な組織型については,WHO 分類を参照してくれというのは投げやりすぎないか?

乳癌 (腫瘍病理鑑別診断アトラス) (2016)

日本語の本としては,結局のところ,規約とこのアトラスで 9 割程度は網羅されている印象.これで書いていないあるいは不十分な記載があれば,腫瘍であれば WHO, 腫瘍あるいは非腫瘍であれば Rosen を参照するというのが大体のルーチン.しかし,規約の前に規約に改訂してしまってどうするんだろうか.また改訂するの?という感じ.




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