★ Pathology = pathos + logos
- pathos = 苦難,病気
- logos = 理,ことわり,学問
- 病理(病理診断科)は 1 診療科として扱われている(標榜診療科)
- 患者さんから採取された小さい組織(生検)や手術検体の細胞・組織学的診断
- 治療方針の決定や治療効果(・予後)判定など幅広く関与
- なんでこの患者さんは点滴をしているのだろう
- なんで発熱しているのだろう
- なんでこの癌の人はなんですぐなくなってしまうのだろう,でもあの癌の人はこんなに長生きなんだろう...
【病因論】
★ 病因 etiology とは
- 病気の原因を病因という
- 外因 外部から生体に対して障害性に働くもの
- 内因 生体側の因子で病気にかかりやすい準備状態
- 栄養障害 核酸過剰摂取(痛風),ビタミン欠乏(脚気)など
- 物理的因子 外傷,熱傷,放射線障害など
- 化学的因子 重金属中毒,医薬品など
- 生物学的因子 ウイルス,細菌など
- 一般的(生理的)素因 年齢,人種,性別など
- 個人的(病理的)素因 アレルギー,糖尿病の易感染性など
- 遺伝・染色体異常,内分泌障害,免疫
どどたん先生のコメント:内因と外因を区別することができることが重要(変えようとしてできるものはたいてい外因,変えようとしても変わらないものは内因).時に厳密な区別ができないこともあるけれども,大まかな概念として知っておくことは,臨床上非常に重要.
【内因(内的要因)】
★ 素因とは
【内因(内的要因)】
★ 素因とは
- 素因とは,先天性 or 後天性に身体の中にある,病気に対するかかりやすさをいう
- 一般的素因 年齢,性別,人種,臓器など,ある切り口から,人間を集団的に見た場合の共通の素因.例 高齢者 → 動脈硬化が多い
- 個人的素因 遺伝的あるいは後天的(後から!)に得た個人の特性.例 アレルギー体質 → アトピー性皮膚炎や喘息になりやすい(必ずなるわけではない!!)
- 親から子へ受け継がれる遺伝子や染色体の異常により起こる
- 生体機能の調整を行うホルモンを産生する内分泌器官の機能障害(亢進 or 低下)により起こる → 詳細は各論で
- 微生物や毒素などに抵抗し,疾病を予防する仕組みである免疫機能が亢進 or 低下することにより起こる
【外因(外的要因)】
★ 栄養障害
- 生命を維持するため,栄養素の摂取が必要 → 3大栄養素(タンパク質,脂肪,炭水化物) + 水,無機物(ミネラル),ビタミンも必要
- 体内に摂取された各栄養素が生理的限界を超え過剰 or 不足 → 代謝に障害(* 代謝:生命維持のための一連の化学反応)
★ 物理的因子
- 身体外部からの物理的な因子(熱,力など)により様々な疾患が起こる
- 例 高山病(気圧),熱傷・凍傷(温度)
★ 化学的因子
- 化学物質を体内に取り込むことで中毒や疾患が起こる
- 例 一酸化炭素中毒,公害病(水俣病など)
★ 生物学的因子
- 病原微生物が体内へ進入することで起こる
- 例 細菌,ウイルス,真菌,寄生虫
どどたん先生のコメント:栄養障害は外因(これはよく間違えるけど,ご飯は外から入ってくるものなので)!物理的因子と化学的因子は混同しやすいので注意,また医原病は公害,職業病といったたぐいは外因に分類される
【医原病・公害】
★ 医原病 iatrogenic disease
★ 公害病 pollution-caused disease
どどたん先生のコメント:医原病,公害病も外因の一つであることはよく看護師等の試験で問われる.4 大公害病は一般常識に近い知識なので原因物質とともに大まかに覚えておく.
【職業癌】
★ 職業がん
★ アスベストと中皮腫,肺癌
★ 胆管癌とジクロロプロパン
どどたん先生のコメント:職業癌は本来は最も避けなければならない病気の一つ(そもそも仕事をして病気になるのは管理上とてもまずい)だが,過労死も含めて社会的に問題となっている.
【医原病・公害】
★ 医原病 iatrogenic disease
- 検査あるいは治療が原因となって引き起こされた病的状態.例 ステロイドによる糖尿病,骨粗鬆症,内視鏡検査での出血,注射針による神経障害
- 社会的に問題になったもの SMON(スモンという整腸剤;キノホルム → ビタミン B12 欠乏→神経障害),薬害エイズ(HIVを含む輸血製剤による)
どどたん先生のコメント:薬剤性で表舞台から去った薬も再評価されて戻ってきているものもある(上記に挙げたキノホルムや,他にはサリドマイドとか).キノホルムも薬害問題は被害の悲惨さからも問題として根深いけれども,薬は毒に,毒は薬になりうるわけで医療従事者としては常に柔軟な発想を持つことが必要.
★ 公害病 pollution-caused disease
- 大気汚染,水質汚濁,騒音など環境破壊による「公害」が原因
- 4 大公害病
- 水俣病 1956年 熊本県水俣湾 有機水銀
- 第二水俣病 1964年 新潟県阿賀野川流域 有機水銀
- 四日市ぜんそく 1960-1972年 三重県四日市市 亜硫酸ガス
- イタイイタイ病 1910-1970年代前半 富山県神通川流域 カドミウム
どどたん先生のコメント:医原病,公害病も外因の一つであることはよく看護師等の試験で問われる.4 大公害病は一般常識に近い知識なので原因物質とともに大まかに覚えておく.
【職業癌】
★ 職業がん
- 特定の職業に従事し,その作業環境に存在する発がん物質の暴露により生じる腫瘍
- 仕事をしていなくても家族や周辺住民が罹患する例もあり,複雑な問題になっている
★ アスベストと中皮腫,肺癌
- 例 クボタショック.2005年6月に兵庫県尼崎市の大手機械メーカー・クボタの旧工場の周辺住民にアスベスト疾患が発生するという報道を契機として,社会的なアスベスト健康被害(中皮腫,肺癌,肺気腫など)の問題が急浮上
- 問題点 アスベストは現在新規の使用を禁止されているが,まだ建造物内に残っており,建物解体時など今後もしばらくは暴露は避けられない
★ 胆管癌とジクロロプロパン
- 例 20-30 歳前後の印刷会社従業員に胆管がん(肝門部胆管)が多発して死亡していることが 2012 年に明らかになり,印刷機の洗浄物質に含まれる 1,2-ジクロロプロパンとの関連が指摘された
- 問題点 従業員の健康を守るべき産業医の存在意義を問われている
どどたん先生のコメント:職業癌は本来は最も避けなければならない病気の一つ(そもそも仕事をして病気になるのは管理上とてもまずい)だが,過労死も含めて社会的に問題となっている.
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