# Introduction
- 出血性壊死 hemorrhagic necrosis は,循環障害により,組織壊死と同時に出血を伴う病態である.
- 虚血性壊死が主に血流遮断による酸素欠乏で生じる
- 出血性壊死はうっ血や再灌流による血管壁の破綻を伴う
- 脳では,組織が軟らかく血流の再開により容易に出血を起こすため,出血性梗塞あるいは出血性壊死をきたしやすい.
# Body
出血性壊死は,壊死による出血と,血管損傷による二次的出血が関与する.
## 機序
- 血管閉塞または破綻により局所的に循環障害が起こり,結果として虚血性変化を来す.
- 再灌流や圧上昇に伴って脆弱化した毛細血管が破裂し,壊死組織内へ赤血球が漏出する.
- これにより壊死+出血が混在し,血流再開の影響が強い場合ほど出血が顕著になる.
- 脳では閉塞血管の再開通,心臓や肺ではうっ血性循環障害などが誘因となる.
## 脳出血の形態学的変化
- 急性期(数時間 1日):
- 出血巣周囲に壊死性変化を伴う血腫形成
- 血管周囲の浮腫と圧迫による二次的壊死
- 亜急性期(2 - 7日):
- 赤血球が崩壊し,マクロファージが出血巣へ侵入
- これらはヘモジデリンを貪食し,鉄沈着 hemosiderin-laden macrophages を形成
- 慢性期(2 週間以降):
- 壊死組織は吸収され,線維性瘢痕あるいは空洞形成(脳軟化)として残る
- 周囲にはアストロサイトの増生によるグリオーシスが生じる
## 形態学的特徴
- 壊死組織内に赤血球がびまん性に混在し,組織構築が崩壊する.
- 細胞は膨化・崩壊し,核の濃縮や融解像を見る.
- 回復過程で,マクロファージと新生毛細血管の出現
- 脳では「壊死→吸収→空洞化」という経過をたどり,他臓器の凝固壊死とは対照的.
# Practical Approach
- 出血性壊死を観察した際には,壊死先行か,出血先行かを推定することが重要である.
- 脳では出血が一次的(高血圧性血管破裂)か二次的(梗塞後再灌流)かを区別するが,実際は判断が難しいことも少ない.
- 矛盾しない臨床経過かどうかも併せて推定する.
- 壊死部の吸収やグリオーシスの程度,ヘモジデリン沈着の分布を総合的に見て,発症からの時間経過を推定する.
- 出血性壊死は単なる「血が混じった壊死」ではなく,血流動態の変化と修復過程が同時に見える現象である.
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