2024年5月13日月曜日

カンボジアの病理診断(終わりの始まり編)

 # 終わりなんてものはそもそもないが,,,

ひょんなことから自分のカンボジア病理診断の個人的な支援が終わり近付こうとしている.これが本当に終わりになるかどうかは自分にも(誰にもわからないし)もしかしたら新しい形で違う取り組みが始まるかもしれない.いずれにせよ,これまでのような支援の形は一度終わりにするということ.

今回はわずか滞在2日間という強行スケジュールで来てみて,最初から最後まで自力で旅行を終えようという試み.もしさらに言いたいことがあれば違う記事で追加するかも.

はじめに言っておくけど,今回は病理診断に関する話題はほとんど出ません.

# 羽田空港から北京空港,プノンペン空港まで

今回は中国国際航空を trip.com でチケットを発券.決して評判がすごくいい組み合わせではないのだが,チケットが非常に安くてこれならいいかなと思ってポチってしまった.チェックインが 36 時間前ということで羽田→北京行きは簡単にチェックインできただが,北京→プノンペン行きはチェックインできなかった.普通乗り継ぎ便の場合は一緒にできることが多いが,中国国際航空はチェックイン時刻がそれぞれ違うらしい.

結局,羽田→北京だけしたのだが,そのあと時間が来て北京→プノンペンのチェックインをしようとしてもエラーが出て全然進めなかった.10 回くらい時間をおいて試したがだめで結局諦めて空港でチェックインすることにした.

というわけで,チェックインのためにかなり早めに空港についたのだが,案の定チェックインカウンターは空いておらず,機械でもできない仕様のよう.こればかりはしょうがないので,時間を潰して待ってチェックイン.それからぶらぶら散歩やアイスを食べながら待って制限エリア内へ.

機内は普通で可もなく不可もなく.ただ,羽田→北京便なのに日本語が全く通じないのはちょっと不満.しかも自分の見た目が中国人と大差ないせいか中国語で聞いてこられるけど,当然返答できないため??となる.まあ聞かれることなんてビーフかポークかチキンかフィッシュかと飲み物くらいだからなんとかなるんだけどね.

うとうとして本を読んでいたら,北京へ到着.北京首都空港は広いけど,閑散としている.最近あたらしい空港に大半の飛行機が移ったみたいで?人通りも少ないし,お店もちょこちょこ閉まっている.大丈夫か?とちょっと思ってしまうけど,まぁ心配するほどのことでもないでしょう.トランジットまで暇だからベンチで寝転がっていると,なんか中国語で何やらアナウンスがあって,よく聞き取れないけど E58 という自分の搭乗ゲートの番号だった.しかも二回アナウンスされているので,いやーまだ搭乗時刻の 20 分前なはずなんだけどなぁと思い行くと普通に搭乗が終わろうとしていたわ.乗り遅れて北京で一晩過ごすのもどうしようもないので,とりあえずよかった.

# プノンペン空港からホテルへ

プノンペン行きの機内は特に大きな問題はなく,比較的空いていた.着陸してから以前ダウンロードしてアクティベートしていた grab を試しに使ってみようと配車ボタンを押したら本当に配車されてしまった.まだ機内にいるのに,あと 5 分で到着とか無理ゲーでしょと.

慌てて待ってもらうかキャンセルするかできるかと聞いたが返事がなく,うーんどうしようと思っていた.ビザは以前取得した 3 年マルチプルがまだ有効で,入国や税関の申告書はすでに書き終えているので,プノンペン空港の小ささからすると入国審査も含めて全力で走ればなんとか行けなくもない距離.しかもなぜか荷物が最優先で降ろされており(あるいはもしかしたら自分は後ろの方だったか?),荷物のピックアップもスムーズで,結局 5 - 6 分程度で grab の meeting point に到着することができた.

とはいえ,ドライバーのお兄さんは自分を探すために出歩いたり,クソ重たい荷物を持ってくれたりもしたので,最後に少しチップを弾んでおいた.ホテルについたのは結局飛行機から降りて 30 分程度という,無駄に爆速で,シャワーを浴びて速攻寝た.

# プノンペン市内を散歩

機内でまあまあ寝ていたのでそんなに眠くもなく,プノンペン市内を散歩しながらどうしようかなと考えていた.今までは送迎から食事の手配まですべてやってもらっていたので,全然気づかなかったが,いざ自分で歩いてみるといろいろなことがわかった.残念なこともわかった.

  • 誰も歩かない:基本車かバイクでの移動が前提になっていて歩道があまり整備されていないし,横断歩道も飾りだけ.歩いて移動している人は自分以外に一人しか見つけられなかった.そして車も交通ルールを遵守するという感覚が乏しく,隙あらば赤でも突っ込め!みたいなのが多い
  • 薬局が異様に多い:クリニックはそこそこあるが,それ以上に薬局が非常に多い.恐らくカンボジアの人たちは具合が悪くなると病院に行くのではなくまず薬局に行くのだろう.それでもだめなら病院に行くという感じなのだろう
  • 生活水準のアンバランスさ:薬局の人が朝に洗濯板で洗濯物を洗っていた.多分そこの薬局で売っている薬を買えるような水準であれば洗濯機を余裕で購入できるはずである.スマホもそうだけどあるものは最先端で高価,あるものは廉価あるいは古い物を使うなど,生活水準のバランスの悪さが目立つ
  • 目立つもの好き:これは今朝見て気づいたというよりも以前からだが,家や車,あとコスメなど表面的なものを好む傾向がある.レクサスの販売代理店?のようなものを 2 件見つけた
この事実から推測できることとして,今後高齢者が増える状況の中で,心血管イベントが確実に増える.現在は食事もそこまで栄養価の高いものがあるわけではないので,ぱっと見の肥満者は多くはないが,今後は経済成長とともに摂取カロリーも確実に増えるし,このような生活習慣をしていると確実に心血管イベントが増える(そうでなくても高齢化という点で増えるけど).あとは高齢化の中で担癌患者も確実に増えるだろう.その時に薬局の存在が早期癌の発見を遅らせる大きな要因となる.

そもそも薬局が多いのは昔の人口は若く,多くは急性期の疾患で安静にしていれば治るものが多かったということなのだろう.対症療法や感染症治療薬くらいであれば(本当は「くらい」では決してないのだが),薬局でなんとかなっていたのだろう.でも人口構成,社会的な要因の変化及び市民の要求水準が高まるに従い,なんとかならなくなる時期が来そうだ.そう遠くない未来に.

病院という存在は一般市民からするとなるべくお世話になりたくない,生活の中心からすると端っこの位置している.もちろん,病気になればその端っこが一気に中心にやってくるのだが.病理診断も同じで,普段は病院業務の中で端っこに位置しているがいざとなれば主役になる.

今自分がやっていることは端っこの端っこ(一体どこ?笑)の仕事であって,カンボジア国内では正直自分が活動をして大きく貢献できるかと言われると厳しい.他の優先度を考慮すると現在のカンボジア国内には病理診断は別になくてもいいんじゃないか?という極論すら実は完全に否定することは難しい.

今後どのように関わっていくかは難しいが,チャンスがあれば病理診断以外の別の専門領域を持って対峙するなどが必要かもしれない(あくまで現時点での考えだが).

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